見出し画像

自社情報を文書にまとめてRAG(チャットボット)を構築する方法

自社の情報を文書にまとめてRAG(Retrieval-Augmented Generation)を構築するには、以下の手順を踏みます。


ステップ 1: 自社情報の整理

RAGモデルの基盤となる知識ベースを準備します。以下の情報を文書として整理しましょう。

  • 会社概要(社名、所在地、設立年、ミッション・ビジョン)

  • 製品・サービス情報(特徴、価格、導入事例)

  • FAQ・ナレッジベース(よくある質問と回答)

  • 社内ドキュメント(マニュアル、ホワイトペーパー、契約書のテンプレート)

  • 最新情報(プレスリリース、ブログ記事)

文書形式は Markdown(.md)やPDF、CSV、JSON などを統一すると管理しやすいです。


ステップ 2: データの前処理

情報を効率的に検索・活用できるように、適切な形に整えます。

  • テキストのクリーニング

    • 不要な改行や特殊文字を除去

    • OCR(光学文字認識)を活用してスキャン文書をテキスト化

  • 分割処理

    • 文書が長い場合、適切なサイズ(例:1,000〜2,000文字)に分割

    • 章・見出し単位で整理

  • メタデータの付与

    • 各ドキュメントにタイトル、作成日、カテゴリータグを追加

    • 例: { "title": "サービス概要", "content": "当社のサービスは...", "tags": ["サービス", "製品情報"], "date": "2025-02-07" }


ステップ 3: ベクトルデータベースを構築

RAGは、検索効率を高めるために ベクトルデータベース(Vector DB) を活用します。

1. 適切なベクトルDBを選定

代表的なデータベース:

  • Pinecone(スケーラブルで使いやすい)

  • Weaviate(オープンソースで柔軟)

  • FAISS(Meta開発の高速検索ライブラリ)

  • ChromaDB(軽量で簡単に使える)

2. 文章をベクトル化

  • OpenAIの text-embedding-ada-002 などの Embeddingモデル を利用

  • Pythonでのベクトル化例(OpenAI API使用):

from langchain.vectorstores import FAISS
from langchain.embeddings import OpenAIEmbeddings
from langchain.chains import RetrievalQA
from langchain.llms import OpenAI

# OpenAIの埋め込みモデルを使用
embeddings = OpenAIEmbeddings(openai_api_key="YOUR_API_KEY")

# ベクトルDB(FAISS)をロード
vector_db = FAISS.load_local("faiss_index", embeddings)

# LLM(GPT-4)を使用
llm = OpenAI(model="gpt-4", openai_api_key="YOUR_API_KEY")

# RAGパイプラインの設定
qa_chain = RetrievalQA.from_chain_type(llm=llm, retriever=vector_db.as_retriever())

# ユーザーの質問に応答
query = "自社の主力製品は何ですか?"
response = qa_chain.run(query)
print(response)
  • 得られたベクトルをDBに保存し、検索時に類似度計算を行う


ステップ 4: RAGの構築

1. LLM(大規模言語モデル)の選定

  • 商用LLM: OpenAI GPT-4, Claude, Gemini

  • オープンソースLLM: Llama 2, Mistral, Falcon

  • オンプレ向けLLM: GPT-4 Turbo (Azure), LlamaIndex

2. 検索+生成の流れ

  1. ユーザーが質問を入力

  2. ベクトルDBで関連情報を検索

  3. 検索結果をLLMに渡して回答を生成

  4. ユーザーに自然な形で回答を表示

LangChainを使った実装例(Python)

from langchain.vectorstores import FAISS
from langchain.embeddings import OpenAIEmbeddings
from langchain.chains import RetrievalQA
from langchain.llms import OpenAI

# OpenAIの埋め込みモデルを使用
embeddings = OpenAIEmbeddings(openai_api_key="YOUR_API_KEY")

# ベクトルDB(FAISS)をロード
vector_db = FAISS.load_local("faiss_index", embeddings)

# LLM(GPT-4)を使用
llm = OpenAI(model="gpt-4", openai_api_key="YOUR_API_KEY")

# RAGパイプラインの設定
qa_chain = RetrievalQA.from_chain_type(llm=llm, retriever=vector_db.as_retriever())

# ユーザーの質問に応答
query = "自社の主力製品は何ですか?"
response = qa_chain.run(query)
print(response)

ステップ 5: Google Calendarとの統合(Difyを活用)

Dify を使えば、Google Calendarと統合してスケジュール管理を自動化できます。

  1. Difyに独自データ(RAG用)をアップロード

    • Settings > Knowledge Base で自社情報を追加

    • ベクトル検索を有効化

  2. Google Calendar APIを連携

    • Difyの「API & Actions」から Google Calendar API を接続

    • OAuth認証を設定(Google Cloud ConsoleでAPIキー取得)

  3. スケジューリングの自動化

    • RAGで適切な候補日時を取得

    • Google Calendar APIを介して予定を作成

    • メールで確認を送信

Difyの設定例

  • プロンプト: あなたはスケジューリングアシスタントです。ユーザーの希望日時を聞き、カレンダーの空き状況に基づいて最適な候補を提案してください。

  • APIアクション:

    • Google Calendar: Create Event

    • Google Calendar: List Free Slots


ステップ 6: デプロイと運用

1. APIとして公開

  • FastAPIやFlaskを利用し、RAGをAPI化

  • Docker コンテナを作成し、AWS/GCP/Azureにデプロイ

2. セキュリティ対策

  • APIキーの管理(環境変数 env で管理)

  • アクセス制御(OAuth認証やJWTトークン)

  • 社内情報の漏洩防止(機密データのフィルタリング)

3. モニタリング

  • ログ管理(Elasticsearch, Kibana)

  • パフォーマンス計測(Prometheus, Grafana)

  • ユーザーのフィードバックを分析し改善


まとめ

RAGの構築手順

  1. 自社情報を整理

  2. データを前処理

  3. ベクトルDBを構築

  4. RAGシステムを作成

  5. DifyでGoogle Calendarと連携

  6. デプロイ・運用

Difyを活用すれば、RAG+Google Calendar連携 により、メールでのスケジューリングを自動化できます。
まずは ベクトルDBの構築とDifyの設定 から始めましょう! 🚀


いいなと思ったら応援しよう!

テックジム創業者:藤永端(みんなのグラさん)のIT業界裏話
よろしければサポートお願いします。その際はご依頼に答えた執筆をいたします。サポートの際にご依頼文を添えていただけますと幸いです。