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もやしを着飾ってみる

かつて足繁く通っていた台湾料理店では、少しランチタイムをずらしてお昼を食べに行くと、カウンターに腰掛けたアルバイトのお姉さんがボウルを並べていつももやしのヒゲ根を取っていました。

実に手間のかかる作業ですが、味は確かでありながらも勝手に、がさつで無骨な印象のあった店主であっただけに、細やかな仕込みを行っていることに見方をあらためたというのが、初めてみたときの想い出です。

というわけで、私はいつももやしを買ってきたら、洗って容器に移して保存するのですが、今回はもやしを水洗いした後に、このヒゲ根をとってみることにしました。

ヒゲ根を取るのには、簡単な方法というものはないそうで、方法はただ一つ、地道に手で取り除くほかないようです。

この単純でありながらも簡単には出来ない作業を行っていると、自らの精神が集中するので、一種のマインドフルネスとなりました。

そしてあらためて台湾料理店のお姉さんの大変さと、店主の料理への愛を思いながらお店に行きたくなりました。そうはいってもお店は残念ながら閉店してしまったのですが。

このもやしの「ヒゲ根」。

取った方がいいの?

取ったら何かいいことあるの?

と思ったりしました。

ヒゲ根を取ると見た目は綺麗ですので料理店などでは映えるでしょう。

しかしヒゲ根を取ると、その断面からビタミンやミネラルといった栄養が流れ出るとか。

それならば結論としては、取らない方がよいということなのでしょうか。

そうだとすれば、見た目だけだとちょっとお姉さんの頑張りが報われないと思ったのですが、ヒゲ根を取り除くとシャキシャキと口当たりが良く仕上がるらしいので、店主は味のクオリティを上げるために努力なさっていたのだと思いました。

店主、元気かな…。今はどこで何をしているのだろう?


おしまい

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pirokichi
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