見出し画像

14ひきのせんたく(14匹シリーズ 第7回/全12回)

【はじめに】

7作目です。
今回から後半戦です。

本作は季節は夏。
まさに今の時期から読むのにピッタリです。

【解説】
1.家の庭にて

天気の良い朝。長雨がやんだ後のようです。
我が家でもある木の根っこの凸面を利用して、子供達が手分けして布団を干しています。
その傍らではおじいちゃんが薪を割っています。
アブラゼミが鳴いているというので、真夏ですね。                                 

2.子供部屋(子供の寝室)にて

子供達がそれぞれに手にしたシーツやパジャマなどを階下のお母さんに見せています。

それを見て、

シャツも パンツも シーツも パジャマも、みんな まとめて せんたくしましょ

とお母さんは応えます。

3.再び家の庭にて

薪割りに疲れたおじいさんは汗をふきふき、
お父さんが後を引き継いで薪を割り始めています。

洗濯物の入ったザルを頭に載せたごうくうを先頭に、
なっちゃん、にっくん、はっくん、お母さん、ろっくんが洗濯物を抱え洗濯場へと向かうようです。

にっくんとごうくんは二人で1本の棒を担ぎ、洗濯物が沢山入った2つのザルを下げています。

ろっくんは洗濯板を携え、シーツを頭にかぶっています。
この洗濯板が後ほど重要なアイテムとなります。

4.やまゆり咲く野道

遠近法で描かれた手前のやまゆりの花冠は大迫力です。
いわむら先生の植物の描き方は本当に素晴らしいです。

5.洗濯場にて

さて一行は、本日の舞台である洗濯場の「たにがわ」に到着しました。
水のせせらぎや風が吹いているようで、
暑い夏の日中でも川辺の涼しさが伝わってきます。

第1陣(なっちゃん、にっくん、はっくん、お母さん、ろっくん)が水に足をつけて涼んでいるところへ第2陣のくんちゃん、よっちゃん、とっくん、おばあさん、さっちゃんが洗濯物を抱え到着しました。

先頭のくんちゃんはいつも一緒の「ネズミのぬいぐるみ」を籠に入れて右手に下げ、左手では葉っぱの日傘を差しており幼いながらも既に女性らしさの振る舞いですね。

いよいよ洗濯がはじまりました。
お母さんとおばあさんは洗濯板でゴシゴシ。
にっくんとさっちゃんは足でフミフミ。
ごうくんは木の棒でペッタンペッタン。

見所は自分のズボンを脱いでお母さんに差し出す可愛らしいとっくんと、
背後では「ネズミのぬいぐるみ」の服を脱がせている最中のくんちゃんがいます。
ぬいぐるみの籠にはしっかりと先程差していた葉っぱの日傘を結びつけており、日よけ対策は万全です。

くんちゃん気持ちはすっかり「ネズミのぬいぐるみ」のお母さんなのです。

洗濯は大物に取りかかり、数人がかりでシーツを洗っています。

その横ではなにやら奇怪な行動をとる…

そうです、ろっくんですよ。

出発時から携えていた洗濯板にカエルを乗せています。

6.全員集合

第3陣のお父さん、いっくん、おじいさんが長い木の棒とロープを持って到着し、全員が揃いました。

洗濯は一段落したようで、
当然子供達は遊び始めますよね…。

ごうくんとなっちゃんの仲良しコンビは笹舟を作って水に浮かべています。

あらら、はっくんとにっくんはシーツで魚を捕まえようとしたのか、魚が高く跳ねています。

そしてろっくんの洗濯板の船ですが、カエルが乗ったまま流されて行き始めた模様で、本人も焦り始めていますし、おばあさんも心配そうに見ています。

7.ほらやっぱり…

カエルくんの乗った船(洗濯板)はドンドン流されていきます。
もうろっくんは追いつけません…

にっくん、はっくん、ごうくんといった運動能力の高い三人が石を
風雲!たけし城の竜神池よろしく飛び越えてはカエルくんを追いかけます。

目前はです!!

滝から落ちた洗濯板はにっくんの手に。

カエルくんは岩の上に座っています。

そして船を追っていた彼らは水の中。

これはもしやカエルくんを追っていたのではなく、洗濯板をロストしないように追っかけていたのでは…という思いがよぎります。

そもそもカエルは大丈夫ですものね、水の中。

8.物干し場ができた!

お父さん、おじいさんがロープで物干し場を作ってくれました。
水に入っていた男子達は自らの服を木の枝に引っ掛け携え、
洗濯場へと向かっています。

皆で手分けして洗濯物を干しています。

ここでまたもやろっくんがハプニングを引き起こします。

なんとズボンを下に落としてしまいます!!

9.入道雲

洗濯干しも終わり、皆が上を見ています。
どうやら描かれてはいませんが入道雲を見ているようです。

ごうくんとおそらくはっくんの2人がハンモックに寝転がっています。

ろっくんの落としたズボンはいっくんが拾ってくれて、ろっくんに届けています。
ここぞというときにしっかりと仕事をこなすさすが長男です。

ミンミンゼミやギンヤンマが飛ぶ小川にて、
思い思いに過ごす14匹です。

おや
とっくんはお母さんに抱かれて眠ってしまったようです。                         


【読み聞かせ】

今回は愛すべきトラブルメーカーろっくんに注目です。

もし刊行順に読んでいるとすると、ろっくんのキャラクターは熟知していますし、また何かやってくれないかな?という期待すら生まれてきていますので、
カエルくん船が流されるまでの流れは、緊迫した様子や無事に解決するまでを臨場感あるように読んであげられると楽しいですよね。

そして
ズボンを落とすシーンでもう一発笑いが起こります。

【おまけ】

表紙だけではわからないのですが、表表紙と裏表紙を拡げて一望しますと、小川で洗濯の作業をするみんなの視線が1点に集中していることがわかります。

なぜかといえば、見出しの写真にありますように

ろっくんのしっぽにトンボがとまっているのです。

このことからも本作はろっくんが主役であることは間違いなさそうですね。

【(独断の)対象年齢】

いつもと同じく1歳半くらいから楽しく読めると思います。

【書誌情報】

14ひきのせんたく
いわむら かずお
童心社


この記事が参加している募集

最後までお読みいただきありがとうございます。 いただいたサポートは麦チョコ研究助成金として大切に使用させて戴きたいと思います。