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14ひきのおつきみ(14匹シリーズ 第6回/全12回)

【はじめに】

6作目です。
今回にて前半終了です。

ところでシリーズ第2回目の「あさごはん」に登場したホタルブクロですが、以前に白い花が咲いているのを発見したところ、先日散歩の折、子どもが紫のホタルブクロを発見しました。
これも14ひきの絵本の御陰です。

ホタルブクロ—紫

ホタルブクロ—白

本作は季節は秋。

今回の舞台は主に「高所」です。
高いところが得意ではない私も感情移入するとゾワッとなります…。

【解説】

1.家の庭にて

ざるがゴンドラになったエレベーターによって、くんちゃんが水筒などの荷物と共に引き揚げられています。地上からロープを引っ張っているのはおとうさんとおじいさんです。
この光景でも高さを感じます。

2.枝の上にて

待ち構えていたさっちゃんとごうくんが、到着したくんちゃんを出迎えます。
ここからははしごで登るようです。

もうですね、地上のおとうさん達はとても小さく見えます。
相当な高さを感じます。
自分自身はここまで来られないな…と思います。

はしごは確認出来るだけでも7本あります。
どんどん登っていくと、子供達がいました。

細くてまっすぐな枝を集めて、組んで枝の上にロープで結び、
固定しているようです。

どうやら「お月見台」を作っていたようです。

くんちゃんは枝につくったブランコに乗って愉しんでいます。

枝を運ぶ作業中に、頭上にドングリが落ちてきて、痛い目に遭ってしまっているのは、今回も
ろっくんです!
今回は不運としかいいようがないのですが、とにかく彼はとことんツイていないです。

この木は14ひきの家の木です。
つまり本作にて、彼らの住む家はドングリがなる木であることが明らかとなります。

3.お月見台にて

お月見台が完成したようです。
ヤッホーと声を上げたり、おとうさん達を呼んだりしています。
ろっくんは、隣に座るにっくんが頭を撫でてくれています。
にっくんは本当に優しいお兄ちゃんですね!
さらにここではにっくんは、ドングリの帽子を頭にかぶっているのです。
ユーモアたっぷりの人柄がにじみ出ています。

ここで注目しておきたいのは、ブランコです。
さきほどまでくんちゃんが遊んでいたのですが、
いまはなんとテントウムシが乗っています。

実はこれには前振りがありまして、2頁前で、テントウムシが空を飛んで、木へと向かっている様子が描かれています。

そして次の頁では、ブランコ方面へ向かって枝を歩く姿が描かれています。

ブランコのテントウムシの存在も見過ごすかもしれませんし、その前でテントウムシの存在に気づいても、よもやブランコに乗りたがっていたなんてわかるはずもありません。

4.夕日〜夜

お月見台からとっくん以外の子供達が夕日を眺めています。

日が沈んだ頃に、とっくんと両親、祖父母の到着です。
おとうさんとおかあさんはススキや大きな籠を背に担いでいます。

ススキをお月見台の角に立てて、籠に入っていたお月見団子や栗などをお供えしています。

またここでも異なる種類のドングリの帽子をみつけて頭にかぶっているにっくん。本当にひょうきんでムードメーカーなんですね。
それをみているろっくんとおかあさんも笑顔です。

5.月が上ってきた

山の稜線から月が上ってくるのがみえました。
手すりの上に立ってそれを指さすのは、はっくんです。
彼はこれまでもバランス感覚や運動能力の高さを見せていました。

月へ向かっておじいさんやおばあさん中心に手を合わせて、収穫の感謝を唱えています。
ここでもはっくんは手すりにまたがり、片手をあげて月に向かって何か語りかけているようです。

でもそのはっくんの光景をみて感化されたのか、真似してみたいと思うコがいます。
そうです、ろっくんです!
それでもこれまでの災難や彼の能力も知っているさっちゃんが尻尾をギュッとつかんで制止しています。

ろっくんのチャレンジ精神は結構ですが、周りは気が気でないですね…。

満月を眺めながら、お団子など食べたり談笑したり、思い思いの時間を過ごしています。いっくんは、手すりに腰掛け「ぴくにっく(第5回)」でも披露していた得意の笛を吹いています。

このシーンではごうくんとにっくんも手すりに座り食事し、いまだはっくんも手すりに座って月を眺めています。
でもろっくんはもう、上ることをあきらめたようです。
ひと安心、ひと安心。

ラストは満月と目を光らせて飛ぶフクロウの姿が描かれており、
14ひきは眠りについたようです。

【読み聞かせ】

高いところまで木を登るさまを「とても高いとこまでのぼるね〜」などと話していくと、高さの感覚が伝わるかな、と思います。

面白いところは、前述のテントウムシの動きですが、
実はもうひとつありまして、シャクトリムシが3頁に渡って描かれております。
そしてシャクトリムシの足取りはゆっくりではありますが、少しずつブランコの方へと進んでいるのです。結果はわからないのですが、

「シャクトリムシさんもブランコに乗りたかったのかもね〜」

と話していると盛り上がります。


【(独断の)対象年齢】

いつもと同じく1歳半くらいから楽しく読めると思います。

【書誌情報】

14ひきのおつきみ
いわむら かずお
童心社

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