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手放すのに増える?:【捨てる】と【拾う】の漢字の覚え方】
前を通りかかったお寺の門前に掲げられた言葉に『捨』の文字が含まれていた。
ここでこの『捨』と『拾』の漢字は、私にとって似ていると感じられ、それをどのように理解して憶えたのかを振り返ってみた。
小学生の頃
よくもまああれだけの漢字を憶えたよなぁ、と小学生の自分に驚きもするが、『捨てる』と『拾う』は自分にとって工夫が必要だった。
両者は『つくり』が非常に似ている。
そして『捨てる』のに、『拾う』より画数が増えていることが腑に落ちなかった。
だが逆さまに憶えることは極めて危険なので、
このように憶えることとした。
手放して身軽になったはずの『捨てる』』の方が、何故だか画数が『拾う』よりも多い。
それでなんとか大人になることが出来た。
大人になって
先のお寺の門前であらためて気づかされた。
そこで調べてみた。
まずは『捨てる』
「扌(て)+舍(簡易な宿舎)」 の会意形声。舎は簡易な宿舎で、軍隊が一夜の宿をおいてのち、その宿をすてる(はなれる)意にも使われ、その意味を強調するため、扌(手)をつけた捨ができた。
そして『拾う』
「扌(手)+合(あわせる)」 の会意形声。落ちているものを手とあわせること。ひろう・ひろいあつめる意となる。また、発音が同じ十ジュウの大字(代りの字)となる。
なるほど、それぞれ成り立ちの経緯が異なる。
手に新たに触れる(合う)ことから『拾う』となり、『捨てる』はまず『つくりの舎』が宿舎の意味で、なおかつ、「はなれる」という意味を持っていたことによることがわかった。
私は元々の意味や成り立ちに迫ることなく、ただ『捨てる』と『拾う』の両者の漢字を関連付けて記憶しようとする余り、『画数が増える?』という自己都合解釈では矛盾が生じていることを「ルールアウト案件」として憶えるハメとなり、少々複雑なステップが必要となっていた。
ところで『すてる』には『棄てる』という漢字もある。
棄てる
『棄』の漢字はその形から、
「子を流す」+「ごみを押しのける」+「両手」
を意味しており、『より強めに排除する』という意味を含むそうです。
こうやって考えると、
私が最近頑張った『断捨離』は、
『捨』に『ほどこす』という意味も含んでいるようで、『捨』は手放したものがまた誰かの何かとして存在する。
一方で『棄』は放棄、棄て去る、というように再生の意味は無さそうです。
おわりに
時は大分流れましたが、
かつてのこじつけ記憶に意味を付け加え、少しものを知ることが出来た気がします。
少しはオトナになれたのかもしれません。
おしまい
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