絵本からリベラルアーツを学ぶ
時折、子供の興味に任せて図書館で本を借ります。
興味のアンテナをチューニングするのは私の役割だと思っています。
でも何も『勉強』だとか『教養を身につける』ということを目的に本との出逢いを設けているのではなくて、ただ世界の広さと物事の存在を知るキッカケになるだけで良くて、その時に本人が興味を持つ持たないは本人任せだし、全く強要はしていません。
その時々で興味のアンテナが変化するのも面白いですし、本人が求めればアンテナを延伸するキッカケを傍に置いてみるのが役割だと思っています。
何より本が愉しい存在であり続けて欲しくて、それをキープor増加させるのが役目だと思っています。
近頃ですと、星や星座に興味を持ち始めたので、ギリシア神話が中心の漫画仕立ての本をプレゼントすると、内容を憶えてしまうほど繰り返し読み耽りました。
そして子供から『何の星座の話聞きたい?』と問われ、何か星座の名前を告げるとその神話を話してくれるという状態になり、『好きこそものの』と実に驚いていました。
そうして私自身が星座の神話を知ることも出来て愉しいです。
その影響を与えた本とはこちらです。
そうなってくると、今度は新たにギリシア神話の本を紹介してみると、やれ『ゼウスは奥さんが何人いたか』だとか、いろんな話が出来る様になります。
ギリシア神話など生きていく上で必要ないと言われればそうかもしれません。
しかし私自身もたとえば、消化器の講義で肝臓の話をする際には、冒頭においてギリシア神話に登場するプロメテウスが崖に鎖で括り付けられ、鷲に肝臓を食べ続けられるという苦しい刑罰を受ける様子の絵画を示しながら、この神話について紹介することがあります。
この神話では、肝臓を鷲により食べられますが、一晩で再生してしまう肝臓を再び鷲が啄むという日々を繰り返します。
このようき終わりなき苦しみを受けるプロメテウスなのですが、それもこれも肝臓が再生能力が高いというところがポイントとなるのです。
こちらの例のように神話の話をすると、テキストだけの無味感想な講義内容とは少し違った切り口でカラダに興味を持ってくれるのではないかという期待もあります。
得てして学生の中には雑談ばかりが記憶に残るケースが多いもので、なるだけサイドストーリーなどを話す機会を設けるようにしています。
ところで子供にとって、絵本がきっかけとなり開く扉は実に様々あります。
例えばこれまでに、我が家で今思いつくだけでも触れることがあった扉として、自然科学はもとより、解剖学、脳科学、民俗学、歴史、落語などがありました。
これらの詳細の紹介は別の機会にあらためるとしても、絵本の充実した世界に驚きをもって接しています。
おしまい