拒絶~「保つ」ための受容と拒絶~②
第1節 拒絶するということ
死というものは誰しもが起こるものだと知っていながら、人間はそれについてあまり深く知ろうとはせず、遠ざけようとする傾向にある。
これは、死は誰も生きているうちに知ることができないため、得体のしれない恐ろしいもの、という認識があるからではないだろうか。よって人は時に死を避けたり隠したりする。
人の死体を日常生活で見ることはない、グロテスクなものや怪奇現象は恐怖の対象として遠ざけられる、といったことが例として挙げられる。
これは、人々は死を拒絶しているからだといえると考える。
死以外に関しても、日常で私たちはものや人、ある言動、現象に対して嫌悪感を抱いて怒りをぶつけることや、そっけない対応をすることがある。
これらのことは拒絶の対象である死と結びつけて考えることができるのではないか。
よって、ここでは死の理解を深めるために「拒絶」というものに対して考えていく。