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【MHW:IB】操虫棍ギャラリーおまけ・猟虫編その3
前回に引き続いて切断属性の猟虫を紹介します。今回はスピード型です。
虫画像が苦手な方はご注意ください。
※猟虫性能についての評価はありません
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!!!猟虫画像注意!!!
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クルドローン
今回も比較用にクルドローンちゃんを置いておきます。かわいい。
カゼキリバネ
ド直球のネーミング、カゼキリバネちゃんです。
「風切羽(かざきりばね)」とは鳥の羽の一種で、翼の一番先端、人間でいうと指先の部分にあたる大きな羽です。羽根ペンでよく見るアレです。
推進力と揚力を得るために重要な部分で、風を切って飛ぶこの子にはよく似合う名前だと思います。
見てくださいこの羽!大きいですね~。体長と同じくらいの長さがあります。紫色もミステリアスでかっこいい!
これは紛れもなく蝶の仲間ですね。蝶?蛾?
じつは蝶と蛾には明確な区別はないそうです。一応、分類学的には定義がされているようですが、見た目の上で「この部分がこうなっているからこっち!」と見分けることはできないそうです。
それでもおおまかな傾向はあるようです。たとえば蝶は羽を立てて止まりますが、蛾は羽を寝かせて、広げたまま止まる場合が多いらしいです。
その例でいけば、この子は蛾の仲間みたいですね。
顔はこんな感じ。あらっ小顔!ハンサムですね~。目まで紫色になっています。
暗い色を基調とした中で、戦隊モノのヒーローのようなV字の黄色い触角がまぶしく映えます。
これも蝶と蛾の違いですが、蝶は触角の先端がプクッと膨らんでいることが多いそうです。この子はシュッとしているのでやっぱり蛾ですね。
前脚はスピードスケートのブレードみたいになっています。
そういえば、この虫には鋭い角も大きな顎もありませんでした。切断属性なのに。
ということはこの前脚で敵を切り刻んでいるわけですね。カマキリみたいでかっこいい!
……しかし、ハンターさんは大丈夫なんでしょうか。そんな鋭いナイフのような前脚で腕にガッチリ掴まられてますけど……。
肘とかズタズタになったりしないんでしょうか。それともカゼキリバネちゃんが気を使って前脚だけ浮かせて……?
なんて優しい子なんだ……!
飛行中はこんな感じ。やはりというか、スピード型だけあって胴体はスリムですね。
現実の蝶や蛾と違って、カゼキリバネは羽を広げ切らずに飛びます。写真にすると飛んでいるのか止まっているのかわかりませんね。
でもなんか、アレみたいですね。漫画とかでよくある「腕を後ろに伸ばしてそのまま前傾姿勢で走る」みたいな……。
やっぱりこの形だと空気抵抗が少ないんでしょうか。
オオシナト
カゼキリバネからの分岐進化の一つ、オオシナトです。
「シナト」というのはMH4に登場する「シナト村」が由来なんでしょうね。シナト村原産なんでしょうか。
原産っていうとちょっと作物っぽくてアレでしょうか。でもおそらくその近辺で育てられていたんでしょうね。
青い体色がかっこいいですね~。クールな感じです。人間だったら壁に腕組んで寄りかかってるタイプですよね。
さて、この青い体色というのは自然界ではなかなか驚くべきことです。レジナヴォランテの項目でもちらっと話しましたが、構造色によって青い光を反射する生き物は意外といます。しかしオオシナトのように青い色素を持つ動物は自然にほとんど存在しないんです。
その理由は完全に明らかになってはいませんが、「もともと存在しない色素を作り出すより体表の構造を変える方が進化的に楽だったから」と考える研究者もいるようです。色のことには詳しくないんですが、確かに新色の開発ってすごく大変そうですよね。
……と、ここまで長ったらしく語っておいてアレですが、モンハン世界には青い生き物って結構います。新大陸だけでも、トビカガチ、ツィツィヤック、レイギエナなどなど……。
猟虫はこういったモンスターからエキスを採取しますが、オオシナトはこの際に青い色素も取り込んでいるのかもしれませんね。
羽をよく見ると、丸い模様があります。これ、いわゆる「蛇の目模様」でしょうか。
特に動物の模様を指すのは「眼状紋」と言って、ジャノメチョウという蝶の仲間によく見られる模様です。天敵に頭の位置を誤認させたり、大きな目で怖がらせたりする意味があるんだとか。こんな強そうな子にも天敵っているんですね。
フォルムはカゼキリバネからさらにスリムになりました。なんかスリムすぎて生き物に見えませんね。なんか、矢みたいです。
食べ物とかどこに行ってるんでしょうか。
「あたし食べても太らない体質なんだよね~」
そんな自慢気な声が聞こえてきそうなのは私だけでしょうか。
前から見るとこんな感じ。緑色の目が凛々しいですね~。
ブレードのような前脚も健在ですが、やはり目を引くのはモリのように鋭くとがった巨大な一本角です。すごいですよね~コレ。
やっぱりこれでグサッといくんでしょうか。角で甲殻の隙間をこじ開けて、そこから前脚でザクっと。それを一瞬でやってのけているとしたら、すごい早業です。さすがスピード型。
飛行中はこんな感じ。
やっぱり生き物に見えません。これもう、飛行機ですよね。
航空力学はさっぱりわかりませんが、いわゆる超音速機と呼ばれるものはこういう形の機体が多い気がします。細長い機首で、後ろの方に縦長の翼がついていて、みたいな。調べてみたら、この細長い機首はしっかりした理由があって設計されているようです。
「ソニックブーム」ってご存知でしょうか。名前は聞いたことがあるという方も多いと思います。これは物体が音速を超えて動くときに発生する衝撃波による轟音のことで、バゴーーーーン!!!と、かなりすごい音がします。
超音速機を実用化するうえでこれがすごく厄介で、このソニックブームが飛ぶたびに鳴ると尋常じゃない騒音被害につながるわけですね。そもそも、衝撃波自体もすごいエネルギーなので近くの家の窓が割れてしまったりしまいます。
そこで開発されたのが、この細長い棒状の機首だということです。仕組みはよくわかりませんが、これでソニックブームを低減できるそうです。すご~い。
まあこの子はさすがに超音速で飛んだりしていないでしょうけど、素早く、静かな飛行を可能にしているのはこの構造なのかもしれません。
シナトモドキ
カゼキリバネからの分岐進化のもうひとつです。
「モドキ」ということで「オオシナトに似た猟虫」ということなんでしょうけど、正直そんなに似てないですよね。
この姿はヤママユガという蛾をモチーフにしたものだと思います。
「クジャクヤママユ」がおそらく日本では一番有名なヤママユガでしょうか。ヘルマン・ヘッセの小説『少年の日の思い出』に登場します。小学校の国語の教科書に掲載されていて、「そうか、そうか、つまり君はそんなやつなんだな」というセリフが有名ですよね。私もよく使っていました。
お顔はこんな感じ。か、かわいい~~~!!!
長いお耳と真っ赤なお目々、白いモフモフの毛がまるでウサギみたいですね。
この耳のような触角、ヤママユガではオスとメスで形が違うらしいです。この子のように鳥の羽のようにぶわっと広がっているのは、なんとオスなんだとか。こんなにかわいいのにオスなの!?それもまた良いですね~。
前脚は鋭い針のようになっています。なんかチョコンとしててかわいいですね。編み物とか得意そうです。
根元がポンポンみたいになっています。あざとい!
でもそこがいい!!!
ちなみに、ヤママユガは羽化すると口が退化して、一切飲まず食わずの生活を送るそうです。そのため成虫の寿命はとても短く、1~2週間くらいで死んでしまうんだとか。
たしかに口らしき部分が見当たりません。そんなになってまでハンターさんの手助けを……。シナトモドキくん……。
かわいくてあざとくて健気で男の子って、ちょっと属性過多じゃないですか!?
やっぱり羽が大きい蛾なだけあって、飛ぶ姿が絵になりますね。
肩?もモフモフしていて触り心地よさそうです。
そういえば、絹の原料を作ってくれるカイコ、彼らもヤママユガの仲間らしいのですが、羽化しても筋肉が弱すぎて飛べないんだそうです。そ、そんな……。
そう考えるとこんなに飛行能力の高いシナトモドキは恵まれている方なんでしょうか。なんにせよ、これからはもっと優しく接してあげたいなあ、と思った次第です。
シナトオオモミジ
スピード系最終形態、シナトオオモミジです。名前の通り、モミジのようなだいだい色が目を引きます。
羽の色と模様から察するに、元となった虫は「オオカバマダラ」だと思います。
南北のアメリカ大陸や太平洋の島々に生息する蝶です。飛行能力が高く、風に乗って長距離を飛ぶことができるのが特徴で、カリフォルニアからメキシコまでの大移動を行うらしいです。すごい。
また、この蝶は毒を持っています。なので、鳥なんかは「うわっ!オオカバマダラだ!」となって食べないらしいんです。
すごいのが、これにあやかろうとして、まったく関係のない他の蝶が似た姿に進化することがあるそうなんです。そうすると鳥も「ん?なんかこのチョウチョ……毒ありそうな見た目してるな」となって食べなくなるんですね。本当は毒なんてないのに。こういうのをミューラー型擬態というそうです。
そういえば、このオオカバマダラは英語で「モナークバタフライ」というそうです。直訳すると「帝王チョウチョ」。なんだかそう聞くとミューラー型擬態も、力を持ったオオカバマダラの守護を受けようとほかの蝶が集っているようにも見えます。
何より、最終形態であるシナトオオモミジにぴったりですね。
目の色ももみじ色。やっぱり小顔でイケメンですね~。
目つきもすこしキリっとしているように見えます。
そして、前脚。形がブレード型じゃなくなっていますね。
最終形態でハサミからブレードに変わったスタミナ型と対照的な進化を遂げています。
やっぱりこっちのほうが生活しやすいと思ったんでしょうか。指が2本あればものが掴めますしね。
飛行中はこんな感じ。そう、まさにモミジそのもの。
コノハチョウという枯葉に擬態する蝶がいますが、この子は体全体でこれをやっています。しかも飛んでいるときに。じゃあ意味ないじゃん。
日本でもっともポピュラーなモミジといえば、「イロハモミジ」です。7つに分かれた葉っぱを「いろはにほへと」と数えたのがその由来とのことです。
この子の羽も数えてみましょう。いろはにほへと……しっかり7枚ですね。
イロハモミジは「イロハカエデ」とも言います。
モミジとカエデの違いっていったい何なんでしょう。
これも蝶と蛾の違いみたいなもので、くくりでいえばどちらも同じものなんです。ただ、日本では葉っぱの切れ込みが深いものを「モミジ」、浅いものを「カエデ」と呼ぶことが多いようですね。
ちなみに、「モミジ」は草木が赤く染まることを指す「もみず」から、「カエデ」はその形がカエルの手に似ているので「かえるで」から言葉が成り立っているそうです。たしかに水かきの張ったカエルの手に見えないこともないかも。
……ん?っていうか、ちょっと待ってくださいよ。
昆虫というのは普通、前翅と後翅、それぞれ対になった計4枚の羽を持っています。
見てくださいこの子。
7枚。
なんで!?
百歩譲って6枚なら許しましょう。前後どちらかの羽が分裂してそう見えるだけなのかもしれませんし。
なんで奇数!?
意味が分かりません。その胴体に沿って生えてる羽はなんの役割を果たしているの!?
……これ、最初は「羽に見える少し太めの胴体」だと思ってたんですよね。でも違うんです。これ胴体とは分かれたれっきとした羽なんです。
……なんだか疲れてきたので、ここはひとつ「さすがは猟虫、奥が深いぜ。どこまでも俺たちを翻弄してきやがる」とでも言って締めることにします。
以上、切断属性スピード型、チョウ・ガ系の猟虫でした。
まだ紹介していない切断猟虫が1種類いるのですが、次回は一旦打撃属性に移ろうと思います。