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9月のシーズナルパターンと二日新甫について

弱気になる海外勢配当取りで活気づくTOPIX

株式市場には多くの格言がありますが、その中でも「9月は弱気相場」というのは広く知られています。しかし、この通説は本当に正しいのでしょうか?今回は、過去30年間のデータを基に、この「9月神話」の真偽を探ってみましょう。

まず、目の前のグラフをご覧ください。このグラフは、S&P 500、日経225、TOPIXの3つの主要指数について、9月の平均累積リターンを示しています。一目で分かるのは、S&P 500の線が他の2つの指数と比べて明らかに下向きの傾向を示していることです。

特にS&P 500に注目すると、過去30年間で9月にプラスのリターンを記録したのはわずか10回程度。それも、そのほとんどが小幅なプラスにとどまっています。一方で、大きなマイナスを記録した年も少なくありません。2002年、2008年、2011年などは特に顕著な下落を示しています。

しかし、ここで興味深いのは、日本の指数である日経225とTOPIXの動きです。これらの指数は、S&P 500ほど明確な下落傾向を示していません。むしろ、プラスのリターンを記録する年も多く見られます。2022年のTOPIXの大幅な上昇は特に目を引きます。

このデータから何が言えるでしょうか?

  1. S&P 500に関しては、確かに9月の弱気傾向が見られます。米国市場に集中投資している投資家は、この時期に特に注意が必要かもしれません。

  2. しかし、日本市場を含むグローバル分散投資を行っている投資家にとっては、9月の影響はそれほど深刻ではない可能性があります。

  3. 長期投資家にとっては、1ヶ月の変動は大きな問題にはならないでしょう。むしろ、この弱気傾向を利用して良い買い場を探ることができるかもしれません。

  4. 短期トレーダーにとっては、この9月効果は重要な指標となる可能性があります。ただし、過去のパターンが必ず繰り返されるわけではないことに注意が必要です。

2日新甫は荒れる

今年の9月は若干相場の波乱を予見しています。その理由は「二日新甫(ふつかしんぽ)」と呼ばれる現象です。「二日新甫」とは、月の初日が休日で2日から取引が始まり、その後全ての平日が営業日となる月を指します。

では、この「二日新甫」の過去20年分のグラフのデータを見ながら、その重要性を探ってみましょう。

  1. 「二日新甫」の潜在的な影響

グラフを見ると、9月の「Nishu Sanpu」(二日新甫に相当)の平均上昇率が約1.5%と、他の期間を大きく上回っていることがわかります。これは非常に興味深いデータです。通常、9月は株式市場にとって厳しい月とされていますが、「二日新甫」の年はこの傾向を覆す可能性があるのです。

  1. 他の月との比較

「二日新甫」効果は9月に限ったものではありません。グラフを見ると、11月にも同様の傾向が見られ、さらに顕著な上昇(約5%)を示しています。一方で、7月の「二日新甫」期間は大きな下落を記録しています。これは、「二日新甫」効果が単独で作用するのではなく、各月の特性や他の市場要因と組み合わさって影響を及ぼすことを示唆しています。

  1. 月初との対比

興味深いのは、多くの月で月初(First Day)の上昇率が高い傾向にあるにもかかわらず、9月の「二日新甫」期間の上昇率がそれを上回っていることです。これは、9月の「二日新甫」が特に強い上昇圧力を生み出す可能性を示唆しています。

  1. 投資戦略への示唆

このデータは、9月の「二日新甫」期間に短期的な投資機会があることを示唆しています。しかし、投資家は以下の点に注意する必要があります:

  • 過去のデータは将来を保証するものではありません。

  • 「二日新甫」効果は平均的な傾向であり、個別の年では異なる結果になる可能性があります。

  • 他の市場要因(経済指標、企業業績、国際情勢など)も考慮に入れる必要があります。

  1. リスク管理の重要性

「二日新甫」効果を狙って投資する場合も、適切なリスク管理が不可欠です。ストップロス注文の設定や、ポートフォリオ全体のバランスを考慮することが重要です。

追伸:取り越し苦労にならなければよいのですが

以前分析した高SKEWからの下落ラグ分析で9月注意日が高頻度で表示されておりました。 急激なリバウンドを見せた8月相場から極端な弱気は「二番底おじ」と嘲笑の対象になりかねないのですが、自分は警戒したいと思います


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