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ユーザー佐藤の暴露 前編 「メンエスデビュー」



 佐藤の財布には二万円しか入っていなかった。

 この二万円を見つめながら、メンズエステに行ってみようかどうか悩んでいる。



 きっかけは上司が飲み会の時に、メンズエステにハマっているということを話していたのを聞いたからだった。

 その上司曰く、風俗ではないが、良い思いが出来ることもあるという。

 さらに、風俗よりも可愛い子が多く、性格的にも危なくない子が多いと言っていた。


 メンズエステという存在自体知らなくて、帰りの電車の中で調べてみると色々な店のホームページを見つけた。


 どれを見ても、色っぽい写真ばかり並び、一瞬にして惹かれた。

 ただ、どの子も顔を全部出しているのはほとんどいない。

 大体は口から下か、片目をスタンプで隠した様な写真ばかりだ。

 

 そのせいか、どの子も可愛く見える。




 だが、佐藤は料金を見て、ためらった。


 90分で1万8千円、120分で2万2千円くらいの店が多く、安月給のサラリーマンである佐藤にとっては大きな出費となる。

 見かけもさえないし、今まで女性にモテてきた経験もない。それなのに、良い思いが出来るのか、不安でもあった。



 佐藤はメンズエステのことを調べていると、いつもは長く感じる小一時間の帰宅までの電車が、あっという間に最寄り駅まで到着した。





 家に帰ってからも、佐藤はメンズエステのことが頭から離れずに、撮りためていたテレビ番組を後回しにして、メンズエステについてさらに調べ始めた。


 そのうちに有料ブログと呼ばれるものを発見した。



『新宿D店 モデル美女がまさかのトップレスで……』


 というタイトルの記事で、何のためらいもなしにクリックした。


 すると、記事は以下のように続いた。



『今回は新宿のD店に突撃してきました。

 セラピストはモデル体型のハーフ美女です。

 マッサージは短く、カエル足になったころからモロに息子に触れてきます。4TBではオイルたっぷりの手コキで、早くもイキそうに!

 そのことをセラピストに告げると、「またあとで気持ちよくしてあげるから、出してもいいよ」とw

 お言葉に甘えて一回目の発射!』



 それ以上詳しい内容と店名、セラピスト名は有料ブログを購入すると見ることが出来るシステムとなっていた。


 佐藤は気になりつつも、2000円払うのをためらった。


 他の記事も見てみると、手コキだけでなく、セックスまでしてくれるセラピストが存在することを知った。


 有料記事を無料で読めるところまで色々読み漁った。


 しかし、ひとつも買うことはしなかった。




 それから、会社の行き帰りにメンズエステのことを調べるのにハマってしまった。

 最初の一回はかなり重要になってくるので、気軽に決められない。


 セラピストのTwitterをチェックして、しっかり顔出ししている子なら間違いないだろうと思い込み、好みの可愛い子、数人に目を付けた。



 そこから、そのセラピスト達のTwitterを過去に遡って読み漁り、口コミサイトでも彼女達について調べた。



 その口コミサイトは、投稿するとその内容に応じて他人の口コミが閲覧できる日数が付与されるシステムとなっている。(現在は完全有料制に変わった)


 佐藤は今までに一度も投稿したことがないから詳しい内容までは見られないが、投稿主が付けた点数だけは確認することが出来た。


 目をつけたセラピストのひとりで、口コミサイトで点数が高く、風俗行為があると噂されていた子に入ろうと決めて、店に電話した。



「はい」



 店名も名乗らず、男の声が短くした。



「あの、予約をしたいのですけど、明日XXさんって空いていますか?」



「12時から空いていますけど」



「では、12時からお願いします」



「コースはどうしましょう?」



「90分でお願いします」



「かしこまりました。では、明日のご予約時間の一時間前に確認のお電話をください」



「わかりました」



 佐藤は電話を切った。

 初めて美容室を予約するのにもこんなに心臓がバクバクしただろうか。

 

 佐藤は興奮し、その日は明日入るセラピストのTwitter写真をオカズに自慰行為をした。






 そして、次の日。


 楽しみにしていたその日を迎えた。

 続く....

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