私がクライアントと喧嘩をした話
私はとあるサイトでYouTubeのシナリオや台本を書いていた。大体相場は(仕事にもよるけれど)一本3000円。契約により単発や継続契約など、色々な内容がある。
私は基本的に事実を元にした事件系のシナリオを書いていて、天職なのではないかと思っている。時系列を確認し情報の取捨選択をし、イメージを膨らませて書く。そこにどんなやり取りがあったかを想像したり、何故そんな風に事件を起こしてしまったのかを犯人や家族の気持ちになって考える作業は、小さい頃から人の顔色を伺って生きてきた私にとってはとても想像しやすい。
そんな中で、もう一つ書きたいジャンルがあった。頑張った人が報われる、感動系の話。私は頑張った人が報われる話や、心の拠り所がある人が辛くてもそれを思い出して頑張れる話がとても好きなので、数あるクライアントの中からこの人なら安心して作業できるかもしれないと思ったクライアントに応募をした。
そして、先に公開したシナリオの前段階をクライアントが要望する文字数でテストライティングとして1000円も満たない額で書いた。
クライアント側からは「主人公が終始明るい人にしか見えない」「どのような障害があり、どのような不当な扱いを受けてきたのかがわからない」と言われたので、自閉症である甥っ子をベースに私や妹や母が心配している「これから先こんな風に扱われるのではないか」という不安を書き出してみた。
更に、甥っ子や他の自閉症の子、発達障害の子達の特性である、「素直すぎる故にボカした表現」が苦手である事、「聴覚過敏で大きな音が苦手」である事、「感情の整理がつかずパニックに陥ってしまう」事等もそこに含めて書いた。
そしてクライアントからのダメ出しは「他人に対して優しく接しても障害者だからと冷たくされる意味がわからない」だった。
もうこの時点で私はこのクライアントに信頼を失っていた。私だって、優しく接しているのに邪険にされる経験は多々あったし、甥っ子に対して私や妹や母が心配している一番の要素であったからだ。「障害者だから、自閉症だからいじめられるのではないか」「他者と違う人間に対して、冷たく、また不当に扱われるのではないか」これは障害を持つ全ての親が心配する事柄だと思う。
そして更に私は付け足した。そして先に書いたシナリオを送った。4000文字の希望に対して6000文字以上になっていた。
そしてクライアントからきた返事は「そもそも、自閉症って何かご存知ですか?インターネットで検索したら主人公とは真逆の性格でしたけど。」であった。
それを見た私は「は?」と口から出た。
何なら甥っ子が自閉症なのではと真っ先に心配したのは私で、妹を説得し支援に繋げたのは私だったからだ。
なので私はクライアントに対しこう返信した。
「まず、そもそもが私の甥っ子が自閉症であり、自閉症と一口に言いましても症状も様々です。また、幼少期の適切な療育環境や投薬治療により、性格も変わります。実際、甥っ子は療育に通い始め、明るくコミュニケーションもとれる子でございます。申し訳ありませんが、このお話は無かったことにさせていただきます。」と。
そして、契約解除の申し出をした。相手からはその事に対しての返信はなく、契約解除の受理だけがされた。
そして、昨日の晩、私は何故腹が立っているのかを冷静に分析した。
そして導き出したのは「己(クライアント)の無知を私のせいにされ、終始高圧的な対応をされたから」なのだと結論を出した。
クライアントも人だし、クリエイターも人だ。
お互いに対等ではなく一方的に言いたい放題言い始め、ネットで調べただけの知識で、私が身近で見てきた妹の苦労や甥っ子の素直さを小馬鹿にしてきた人と、二度と仕事はしたくないと思った。なので私はそのクライアントをブロックした。
別にそれで構わない。お金はないけど、そこを我慢してまでその人と仕事をしたいとは思えないから。
誠意ある人には誠意ある対応をするし、誠意がない人(優しく接しているのに邪険にされる意味がわからないと言い放てる無意識に加害をしていそうな人)には近付かないのが一番良いと思った出来事だった。
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