真夜中のおとぎ話
人間の心は厄介だ
押しては引いて、引いては押し寄せる波のように
いつも、ざわめきながら、不安定に揺れ動く
小さな出来事に一喜一憂して
急に落ち込んだり、元気になったり
「ずっと幸せだったら、幸せかどうかなんてわからないじゃない。不幸な瞬間があるから、幸せを感じるのよ」
使い回された、誰かのセリフ
不幸を正当化しなきゃ、幸せにはなれないって本当?
幸せになるのに、条件って必要?
今まで目にした、耳にした、いろいろな言葉がフラッシュバックするけれど
どれもぽっかりあいた、最後の1ピースにはあてはまらない
探しているあのコがなかなか見つからないように
私に必要なあのピースも、どこで出会えるのかわからない
本当はそんなものないのかもしれないって
ちょっと心細くなって、ある晩、神様に聞いてみた
私の探しものは、見つかるのでしょうか?
神様は一言こうおっしゃった
よき哉
・・・えーっと
ちょっと意味がよくわかないので、誰か通訳してください
思わずそうつぶやくと、片目をあけてちらりとこちらを見た白猫がふん、と鼻をならした
そんなこともわからないで、よくライターとかやってるね、あんた
そう言うと白猫は、再び目を閉じて、夢の中へと戻っていった
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