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第5章 人工色素 紫の閃光が照らした産業革命

「何だ、この輝きは…?」
1856年、イギリス、ロンドン。
当時18歳という若さの化学者ウィリアム・ヘンリー・パーキンは、マラリアの治療薬であるキニーネの合成を研究していた。
実験室で彼はアニリンという物質を使った複雑な反応を行っていた。
目的の物質を得ようと慎重に実験を進めていたのだが、結果は思わぬ方向へ転がった。
試験管の底には黒いタール状の沈殿物が残った。
実験は失敗に終わったかに見えた。

試験管の中に咲いた紫の花

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