その名にちなんで
毎日の朝ごはん。使う皿はいつもこれ。
ニュージーランド、Crown Lynnのlandscape。
10年ちょっと前に東京蚤の市で買い求めたもの。
その名の通り、ニュージーランドの大地から影響を受けたのだろうか。
とても気に入っている。
秋の彼岸の週末は父の命日でもある。
女王の葬儀の映像を見ながら、そういえば父が最期に見たオリンピックはロンドンだったな、などと思い出した。
私に千晶という名前を付けたのは父である。
フィンランド語には「チ」の音がないので、フィンランドの友人は私の名前を「ティアキ」と発音する。
ラグビーワールドカップが日本で開催された頃、「tiaki」というマオリの言葉に出会って、”どびっくり”した。
ニュージーランド航空の日本語サイトにはこう書かれている。
また、tiaki promiseのwebサイトには、英語でこんな感じに書かれている。
「tiaki は大まかに言うと、心にかける、保護する、守るを意味するマオリの言葉です。(筆者訳)」
「設計室ちあき」というアトリエ名は、本名と旧姓どちらを名乗ろうかと考え過ぎて、しまいには考えるのもおっくうになり、けっこう適当につけたものだ。
「喫茶ルオー」「談話室滝沢」「とんかつとんき」「ホテルオークラ」
先に何者であるかを名乗る率直さと昭和の香りが好きだ。今になって思うと、木の家を作るのに韻を踏んでいたのもよかった。
父が「tiaki」を知っていたかどうかはわからない。
そもそも、私が建築家になるとは思ってもみなかっただろう。
ニュージーランド航空の機内では、「tiaki」という男性が空飛ぶカヌーで旅をする映像が流れるらしい。ぜひ見てみたい。
そう、私は自分の名前がジェンダーフリーなことは気に入っていて、父にとても感謝している。
「その名にちなんで」のゴーゴリのように改名したいと思うことは、これからもないだろう。
そうはいいながらも、その響きを持つ海の向こうの言葉、込められた意味に出会ったことは、今のところはちょっと重たい気がしている。
いつか辿った道を振り返ったら、そんな風に生きられていたらいい。
ニュージーランドを旅する間、私は約束します。
そっと歩いて、何も跡を残さず、大地、海、自然を大切にします。
あらゆるものに気遣いと思いやりを示し、安全に旅をします。
開かれた心と考えで旅をし、文化を敬います。 (筆者訳)
設計室ちあき 川島千晶
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