企画開発サプリ #1
商品が出来るまで
こんにちは。ご覧いただきましてありがとうございます。
今回はカプセルトイが世に出るまでの流れをお話したいと思います。取引先との交渉で「3か月後に発売できませんか?」と言ったご相談を受けることがあります。話題のモノ、ニュースにしたい企画などはより早く発売したいものですよね。そのようにカプセルトイを広告塔として見ていただけるのは大変ありがたいことです。ただし、商品の企画立案から生産、発売まではとても長い道のりなのです。
商品企画を考える
例えばこんな商品を考えたとします。流行りましたね、フィジェットトイ。これをカプセルトイで商品化したいと考えた場合、まず企画立案をしますよね。この商品のどこが面白いのか、誰が欲しくなるのか、大きさは?価格は?そういった情報を纏めていきます。そして、いつ発売出来るのか。流行の商品であれば、より早くお客さんに届けたいですね。この「商品企画」から「商品の発売まで」どれくらい掛かるのでしょうか?
発売までは半年以上も。
商品の企画立案から開発スタートまでは、恐らくは各メーカーによって違いますので仮に1か月とします。商品の仕様の決定や工場への見積もり依頼、フィギュアの場合は原型会社のスケジュールを抑えたり、キャラクターライセンス商品は、その版権を管理している会社への交渉などが必要となります。
そして無事、社内の稟議を通せれば開発がスタートとなります。
これはどんな会社でも同じですね。ここから、さらに細かくスケジュールを見ていきましょう。
9~8か月前
上記の通り企画立案から社内、社外の交渉の期間です。
8~6か月前
量産のための試作、業界用語で言うと「金型用原型」を作成します。今回のフィジェットの場合は3DデータをCADなどで作成していきます。フィギュアであれば粘土やロウで原型を作ります。キャラクターライセンス商品ではラインナップや形、色などの監修が版権元によって行われます。この「監修」のための資料作成なども全て企画開発の仕事です。
6~4か月前
量産のための原型やデータが完成したら、それを工場に送ります。そして、工場は受け取った原型を元に量産の金型を作成していきます。金型というのは簡単に言うと「量産するための金属の型」です。そのままですね(笑)数万個の量産をするカプセルトイでは、すぐに劣化してしまう型は使うことが出来ず、この金型を使っていきます。ですので、金属を掘って形にしていく訳ですから、どんなに最新の技術でも時間を要します。
4~2か月前
この頃になると、工場からの試作品があがってきます。それを元に動きのあるものはそのチェック、量産の場合のカラーリングの指定などをしていきます。その他にも、カプセルに同梱している説明書のデザインを作成したり、キャラクターライセンスの商品では版権元によるサンプルの監修が発生します。そして同時に、商品の受注活動を始めていきます。
3か月前には受注
カプセルトイの商流では商品発売の3か月前から2か月前に掛けて、営業さんが受注活動を行います。ここでやっと「3か月前」です。そして生産数量を決定し、工場にそのスケジュールを立ててもらいます。
2~1か月前
工場から最終のサンプルが届く時期になります。本当に量産出来る仕様となっているか品質の確認を行います。玩具安全基準の「ST」を取得する場合にはそのスケジュールも立てていきます。そして、最終承認がなされるといよいよ量産に入ります。合わせて重要なのが「販売機に入れる台紙」のデザインをスタートしなければいけません。商品の顔となるパッケージですので、デザインのセンスが問われます。
1か月前から発売まで
カプセルトイ商品も他のプロダクト同様に船による輸送が主となります。約2週間をかけて工場から船へ、そして日本の港から倉庫へと商品が運ばれてきます。ここから販売代理店を通して皆さんが目にする店頭へと並んでいきます。
このように1か月刻みで開発は進んでいき、休む暇がありません。これらを全てオンタイムでこなしたとしてもやはり9か月近い時間が商品発売には必要となります。※印刷だけの缶バッジなどはより早い時間で生産が可能です
そして、この一連の流れを同時に複数商品分行う事となりますので、企画開発にはマルチタスクのスキルが大変重要となってくるのです。
しかし、紙ペラ1枚の企画書から始まり、店頭で商品が発売された時の感動は、やはり企画開発の醍醐味です。
企画開発を目指される方はこの、マルチタスクとスケジュール管理についてスキルを磨かれておくと、きっと役に立つと思います。
今回はスケジュールについてお話しました。次回はカプセルトイにおいての企画書の作り方などをお話出来ればと思います。
ありがとうございました。