なぜ中学受験をすることになったか
そもそも我が家がなぜ「中学受験するぞ」ということになったか。
結論からいうと、ウチの場合父親(夫)の意見からだった。
「絶対に中学から私立に入った方がいい。大学受験で希望のところに入れる保証はないんだから。今頑張って中学受験すれば、そのまま大学まで行ける。大学付属に入れるなら絶対その方がいい。」
「大学受験の方が難しい。就職するのに大学は大事だから。後からわかるって。」
彼はザ昭和世代なので、まだまだ学歴優位な考え方だし、大手企業で役職である程度人事的なことにも関わっていて、就職活動や社会に出てからのことを第一に考えている所がある。
当時の私は、
「これからの時代、学歴なんてどれほど価値があるのかわからないし、考えが古いんじゃないの?」
と反論する一方で、
やっぱり普通に就活するならある程度名のしれた大学に行った方がいいんだろうなという漠然とした現実や
大学入試の仕組みが変更になると騒がれ始めた時期でもあり
高校受験について内申点の仕組みとかまったくの未知数で
今やらないと後悔するかもしれないという不安の方が大きかった。
それに夫が塾の費用や、私立に通わせるための学費を貯めているのも知っていた。
結果的に娘は、就職に強いとされている私立大学にエスカレーター式で進学できた訳で、今でも逆転合格で入学した娘のことを「サクラは本当に運がいいよね。」と話している。
エスカレーター式で行ける大学附属校がお得かについては、また別の回でじっくり考えてみるとして。
受験を決めた理由として実際に私の周りでも、子どもが先に「受験したい」と言ってくるケースよりも、
ある程度親の方から自然とこんな道があるよと勧めつつ、そこから学校説明会など参加していく中で「ここに通いたい」という子どもの意思が明確になるという流れが多いような気がする。
親が子どもの通る道のレールを敷くとか、親のエゴだとか、時折悪と取られがちな側面もある中学受験だけど、
子どもに良い環境を与えてあげたい、幸せな道を歩んでいって欲しい
と願い導くのは、親であればきっと誰しもが考えていることで、すべて否定できるものでもないと思う。
娘と一緒にある附属校の学校見学に行った時のこと。
ちょうど放課後の下校時刻だった。
かわいい制服を着た先輩の女子中高生たちが楽しそうにおしゃべりしながら、すれ違えば「こんにちは!」と皆明るく挨拶してくれた。
綺麗な広い人工芝のグラウンドでは、男子生徒たちが爽やかに部活動に汗をかいている。先生と生徒も仲良さそうに声を掛け合っていた。
なんかもうキラキラして見えた、まさにドラマの青春そのものって感じの学園生活に見えた。
そしてその気持ちは娘も同じだったようで、案内された学校の屋上からの景色を見ながら「私この学校がいい!」とそうはっきり呟いた。
「うん、いいよね。ママももう一度通いたい」なんて会話をしたことをつい昨日のように覚えている。
そんな訳で、我が家の中学受験は意外と自然な流れの中でスタートした記憶がある。
決して難関校などではなくGMARCHの偏差値50ちょっと。
当時娘の偏差値は48ぐらい。
日能研の入塾テストを受けて、数学はボロボロだったけど、国語は満点で、何とか狙えそうな大学附属の一貫校を第一志望校として目指すことになった。
正直難関校を目指す訳でもないし、勉強すれば普通に合格するものだと思っていた。
周りの友達も、みんな当たり前のように第一志望校に合格していた。
でもそんな考えは甘く、まだ中学受験というものの本当の怖さを、この時は私も娘も想像していなかった。
ところで
中学受験をすることにした理由って家庭によって色んなケースがあると思うが、もしかすると一番重要なポイントなのかもしれないなと、今振り返ってみるとわかる。
この調査を見ると、『子ども自身が希望した』が半数以上で一番多い。
確かに、友達が塾に行っているから私も行きたいとか、兄弟が私立に通っていて自分も行きたいとか、そういう積極的なお子さんの話はよく耳にする。
でもよく読むと、この回答3つまで!ってこと。
ウチもこの内容で3つ選ぶなら、一つは“子ども自身が希望した”を選ぶと思う。
何となく親が無理やり決めたんじゃなくて、あなたも希望したよね、って確認したいからなのか。
娘は、5年、6年になってどんどん勉強が難しくなって成績が落ち込んだ時も「辞めたい」とは決して言わなかった。それはなぜか。
実は高校生くらいになった時に判明したのだけど
「受験しないと中学に行けないのかと思ってた」と話してくれた。
「…え?だってクラスには塾に通ってない子だっていたし、すぐ近くに○中あるじゃん」
「でもわかんなかったの!その時は受験しないとどこの中学にも行けないのかと思ってたの!」
衝撃だった。
だめだったらすぐ近くの◯中に行けばいいねと話していたつもりだったし、そもそも中学は義務教育なんだから全員行けるんだよ、それくらいわかっているのかと思い込んでいたけど、そうじゃなかったのね。
だからどんなに辛そうでも「辞めたい」って言わなかったんだ…。
いずれにしても、受験を決める時ってまだ小学校3年の終わりか4年生くらい。
その時期に受験するって決めたことが、5年や6年になって
「こんなに大変なら受験やめたいい…」
と万が一なったとしても、それは決して弱いからじゃないと思う。
あの時憧れて行きたいなーと思ったことも事実だし、勉強が本当に大変でもう逃げ出したいって言うのも事実。
それを誰も責められないんじゃないのか。
それに、始めたばかりの頃は、成績がどれだけ上がるのかわからない。これからきっと伸びていくんだろう、と考えてしまうし、勉強すれば子どもの偏差値は多少なりとも上がっていくものだと思っていた。
でもうちの場合、結果的には、入塾の頃と6年の終わりと偏差値でいえばほとんど変わらないままだった。
もちろんどんどん成績が伸びていくお子さんだっていると思う。
でも一度塾に通い始めれば、簡単に途中でやめると決断するのは難しい。
こんなに頑張ったんだから、きっと受かる大丈夫と信じたいという想いだったり、挑戦する前に諦めてしまっていいのかもわからないし、そして何より、ここまで塾に通ってきたのだから今更後には引けない…という自問自答を繰り返してジレンマのような感情も大きい。
本人が行きたいと思う学校があるかどうか、そこに受かりたいという熱意があるかどうか、という意識の差。
も、もちろん重要だとは思うけど
結局は成績のいいお子さんはみんなすんなり受かっているし、進学してからの悩みもあまりなさそうに見える。
子どもの成績に余裕があるかどうか。
ギリギリのラインではなく、行きたい学校の偏差値より本人の実力がちゃんと上回っているかどうか。
やっぱりそれを見極めないと。入ってからもっとキツくなってしまう場合だってある。
本人の受かりたいから勉強をがんばるんだという強い意思と努力と、成績のバランスが取れているのか。
それが中学受験をするにあたっては大事な要素になるんではないだろうか。
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