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①男が被害者!? 女上司の言葉の暴力と闘い、労災認定を勝ち取った話(返金有)
以下は、パワハラの加害者が女性、被害者が男性というで、かつ被害者が「セクハラの疑いをかけられるリスクを恐れ、盗聴などの証拠収集に踏み切れなかった」というエピソードを組み込んだ体験談です。
柞刈湯葉さんの文体をイメージした軽妙さを混ぜつつ構成 しています。
約3000文字前後(無料パートと有料パート合わせて)となるよう執筆しました。
【無料パート】(約1500文字)
私はもともと「女性の上司」という響きに対して、どこかポジティブなイメージを持っていた人間だった。たとえば「男女平等が進んでいてカッコいい」とか、「女性ならではの気遣いがある職場が理想だ」みたいな。しかし、その“理想”は入社して数年が経ち、私が総務課に異動した頃に大きく揺らぎ始めることになる。
異動先の上司──仮に彼女をM部長と呼ぼう。彼女は明らかに仕事ができる人だった。数字の管理は抜かりなく、部下への指示も的確。社内でも「M部長がいるから会社が回ってる」と評判は高い。だから最初は「厳しいけど、学ばせてもらおう」と思っていたのだ。
ところが、M部長のパワハラは“静か”に始まった。朝礼で私が話すときだけ、わざと大きなため息をつく。資料を提出すれば「へぇ、男なのにずいぶん細かくまとめるんだ」と鼻で笑う。会議で私が意見を言おうとすると「どうせ大したアイデアじゃないでしょ」とバッサリ。そのあたりは“嫌味”程度だったので、最初は「忙しいんだろうな」くらいに思っていた。
しかし徐々にエスカレートしていった。私の作成した書類を、全員が見ている前で「クズ」「無能」と罵倒する。電話応対が気に入らないと「もう男が応対するのやめてくれない? お客さんに失礼だからさ」と冷たく言い放つ。どうやら根底に「男は仕事が雑」という偏見でもあるのか、とにかく私を侮辱する言葉が増えていった。
その頃から、私は心身の不調を感じ始める。出社前に胃が痛くなり、朝の通勤電車では息苦しさを覚えるようになった。それでも「こんなことで休むなんて、“男のくせに”情けない」と自分を責める。まるでM部長の“男は使えない”理論を、自分で証明してしまうかのようで怖かったのだ。
さらに厄介だったのが、証拠集めの難しさ。私の周囲にはパワハラだと同情してくれる同僚も少数いたが、いざ「録音」などをしようにも、女性上司に対してコッソリ盗聴なんてしようものなら、逆に「セクハラだ」「プライバシー侵害だ」と糾弾されかねない。会社の風潮としても、女性が被害者になるケースは声を上げやすいが、男が言葉の暴力を受けているケースは「恥ずかしいんじゃないの」「やり返せば?」と軽視されがちだった。何をどうすればいいのか分からず、私は追い詰められていくばかり。
結局、体が先に悲鳴を上げ、医師から「うつ状態ですね。一度休職を考えましょう」と言われたのは入社6年目の秋だった。私は会社に「体調不良で休みます」と伝え、自宅療養に入った。ここで終わってしまえば、ただの“心が弱い男”の物語。でも実は、そこからが私の一歩目となる。ある日、ネットで偶然目にした「パワハラが原因の精神障害は労災になる場合がある」という記事と「社労士に相談してみよう」という掲示板の書き込みが、私に行動を決意させたのだ。
ここから先の道のりは、簡単ではなかった。特に相手が女性上司というだけで、周囲からの目線も複雑だし、私自身「男が大袈裟だ」と思われるのが怖かった。でも、専門家の力を借りるうちに、私はようやく光が見えてきたのである──。
※ ここから先は、有料パートで詳しくお話しします。私の体験が、もし同じように「女性上司からの言葉の暴力」に苦しむ方の参考になれば幸いです。
【有料パート】(約1500文字)
1. 社労士との出会いと“恥ずかしさ”との闘い
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