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働かないふたりが人生の真理を教えてくれるガチ名作だっていう話

いや~~~~~
これはまた名著に出会ってしまいましたよ。
全くこれだから人生は辞められませんなあ

もうこの本は、、素晴らしい!
この感じがすごい好き。
基本的に完結したものをラストまで読んで感想を書くスタイルに
していたのだが、もうコレは充分わかった。
キミはもう充分名作だって分かったよ。もう。皆まで言わなくても

働かないふたりが名作な点はまあ挙げれば無限にあるんだけど
何がいいって物語全体通してノーストレスな所。
離乳食の様なのど越しで通ってくるストーリーが胃にもたれずスルスル入ってくる。この食感が大変すばらしい。

優れた物語にはしばしば強いカタルシスを体験させる為に
悪役が配置される事があるのだが、それが時に刺激的すぎて胸やけしてしまう時がある。
悪役もまあ魅力的なキャラクターである時はまあいいのだが
ガチクズキャラクターが悪役だと、もうさっさとコイツぶちのめしてくれよ
みたいな感覚になってカタルシスの瞬間までイライラしながら、フラストレーションをため込む事になってしまうのだが
この物語に関してはその要素ゼロ!

それがいいんですよ。それがいいの。
風邪で弱っている時の卵がゆが如き作品である。
それで良いのだ。
別に常に卵がゆが必要になる訳ではないだろうが
人生には少し休みたい時が必ずある。
そんな時この作品は少し休んでもいいんだよ、とそっと寄り添ってくれる。

それがどれだけこの現代社会の助けになってくれる事か。
読む抗うつ剤といっても過言ではない作品である。
精神科で処方されてもなんら違和感はない。
次回外来まで読んできてねと処方されていいレベル。
心療内科クリニックの待合室に置いておくべき1冊である。

まだまだ読んでいる途中で、キャラも随分増えてきたな~感があるけど
今んとこみんな大体好き。これだけキャラが増えているのにここまですっと入ってこれるのはホントに凄い。
倉木さんはめちゃ可愛いし、丸山は普通にいいやつ。

戸川さんと守の関係は今一番見てておもろい。
戸川さんが自分で小説を書く決心をした場面は読んでいるコッチも胸が震えたし、初めての本の感想を伝える場面、そしてそれがうまくいかずにリベンジをする場面、その一つ一つが全て輝いて見えた。本当にいい関係だと思う。

飯塚のじいさんの周りの関係もたまらん。みんないい人だなあと思う。

大人になって思うのが、学生時代みたいな友達を作る事ってすげー難しいっていう事。
昔みたいに自由にのんびり遊ぶなんて事が中々できない。けどこの作品の中では誰もが少年の日に戻り、自由に遊ぶ。その姿に強い憧れを抱く。

恐らくだがこの漫画を好きになる読者層に最も近いのは倉木さんなんじゃないかと思う。
要は社会人として真っ当に生きてはいるがどこか人生に疲れていて
自由に生きる事への憧れを持っている、そんな層である。
いわば二人にであう前の初期の倉木さん状態

それが徐々に二人の生活に取り込まれていって
また学生時代みたくのびのび過ごせるんだからこりゃ~~楽しいわね
社会人って何というか不自由なんよな。
子供みたく時間を忘れて、将来の事も特に気にすることなく遊ぶみたいな事が中々できない。
けど実はそんな風に日々の忙しさに追われているウチに、本当は大切にすべきだったものを失ってしまうという事に後になって気づく。
そしてその姿はまさに飯塚さんを通して描かれている。

そうじゃなくて本当にやりたい事があるなら戸川さんの様に全力で向き合う
そんな風に人間の本当の姿が描かれているからこそ私はこの作品がたまらなく大好きなのである。

そこには建前はなく、ただただ自由にやりたいと思ったならやる!
そういう子供の頃に持っていた原始的な自由が描かれている。
そしてそれを実現し続けられる人生って実は一番幸せな人生なんじゃないって思わせられる。

私自身まだまだ若手の立場であるが
既に出世コースから外れて、社会人としてはテキトーな感じの人生を辿りつつある。
が、それも色々悩んだ末に、本当に優先すべきものを考えて、それは仕事ではないと結論を出した上の道である。

人によってはそれは無責任にも映る態度かもしれないし
非難される事もあるだろうとは思う。
でもねえ、それでいいと思うのよ正直
まあもちろんみんながみんなそうすべきとは思わないよ。

将来の事とかどうするの??とか
そんな感じでいつまでもやっていけると思うの??とか
ド正論を突き付けられる事もあるし、自分でもまあそう思う事もある。

けどさあ、この二人を見てみてくださいよ
そんな事どーでもいいと思いませんか??
守くんが途中ブラック企業で病んだ友人と二人でインドに出かけるくだりがあるが、そこで見てきたものは非常に重要な教訓を与えてくれる様に思う。

インドには昼間からぷらぷらしているおっさんが山ほどいる
でも生きている。

いいんじゃない???
我々の人生もそんな感じで

別に生きていれば100点満点
日々楽しい事を追いかけられていれば更に100点満点
大事にできる友達がいれば一生幸せである。
それ以上のものは幸せになる上で必要不可欠なものではない。

何もなくても部屋でおならをしているだけでも
ヒトは幸せを感じることができることを教えてくれる
素晴らしい作品である。

守くんの言葉を引用してこの作品の感想を締めくくる。

万人に受ける作品ではないかもしれないが
ある種の人を惹きつける深く豊かな表現にあふれていた。
美しい言葉
世界の肯定
この本に出会えてよかった。


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