忍たま乱太郎の映画『ドクタケ忍者隊最強の軍師』を観てきた感想とつれづれ
※注意※
映画『ドクタケ忍者隊最強の軍師』の内容に触れる文章となっております。まだ映画を観ていないよという方は回れ右でお願いします。
また個人的な感想や思ったことを好きなように綴っていますので、なんでも許せる方向けです。
それではどうぞ、抹茶クリームフロートでもお飲みになりながら是非楽しんで頂けたら嬉しく思います。
忍たま乱太郎ってどんな作品だったっけ?
太古の昔、私が小学生の頃。
転勤族、一人っ子の私の周りには自然と子供より大人の方が多く居た気がする。共働きの両親に、月曜日から日曜日まで毎日が習い事の日々。夕方は誰も家にいないのが我が家にとっての当たり前だった。
だから、そんな夕方の時間帯に放映されるいわゆる子供向けの番組はそろばん教室の休憩室で同級の子供達がで見ているのを通りかかる程度で(課題中にたまに抜け出したお手洗いの合間にそっと部屋を覗くと観れた)、ほとんど記憶がない。
どれくらい知らないかというと、まず主人公が誰だか知らない。そのレベルだ。
ゲ謎に熱狂していた頃から囁かれ、ざわついていた忍たま乱太郎の新作映画『ドクタケ忍者隊最強の軍師』
白装束の男と記憶の中でなんとなく覚えているし名前も聞いたことのある土井先生。忍たま乱太郎のイメージからはかなりかけ離れたシンプルで少しシリアスそうな雰囲気のする広告を初めて見た時、自称シリアス愛好家の私の心を秒速で鷲掴みにしたのを覚えている。
この映画、何かある。そう、私は数々のシリアスをこよなく愛し、沼ってきた女。
ペルソナ3、ファイナルファンタジー零式、7クライシスコア、ニーア、Fate、キングダム(キングダムは未完)、チ。他。
私の壊れた心が生み出した結論はこれらの作品はシリアスなんかではなく、皆ハッピーエンドだったということだった。※壊れた女の見解です※
そんな数々の不条理シリアス&ハッピーエンドを乗り越えた私だからわかっちゃうね。この映画、何かある(2度目)。
そして私は1年間そこはかとなく感じ取れるわずかな一抹のシリアスを頼りに映画公開その時を密やかに待っていたのだった。
──これ、ばりばりのコメディだよ
※当時の言葉を忘れたので捏造しています※
映画公開が迫る中、いよいよ映画に忍び込む段取りをする頃かとスケジュールチェックをしていた時である。
自称ハピエン厨兼ニーアオートマタ大好き兼忍たま乱太郎は原作から愛しているぜの規則正しいオタクである、どるちゃんが教えてくれた。
コメディ。
あのポスターが、コメディ。まじで言ってんのか。
ちょっとわかんない。どうしたことか。私の嗅覚が鈍ったとでも言うのだろうか。おかしい。そんなはずは。だって見てよこのなんとも言えない表情。死と血を乗り越え、枯れた涙の先に悟ったような表情を。
SNSだけではなく新宿駅にもちらほらと張り出された始めた土井先生のポスターを横切りながら悩む日々が続いた。
と、とりあえず雑誌を読んでみよう。
たまたま見つけたダ・ヴィンチ 2024年12月号をkindleで読み始めた。
「私の初恋、土井先生」
「初恋泥棒」
ちょっとまって、ますますわからなくなった。つまり、あのそろばん塾の休憩室で夢中になって忍たま乱太郎を観ていたあの子達の中には土井先生に心奪われていた子もいたというわけか。なるほどね土井先生は罪な男ってことで頭に刻んでおけばいいのね、わかった。
それから主人公が猪名寺 乱太郎(読めない)ということ。絵が得意らしい。目が悪くて、ひどい乱視なので影分身の術が効かないとか設定が面白すぎる。
銭が大好きな摂津の きり丸。いいぞこの子は覚えていた。いつもバイト頑張ってる子だ。調べたら戦争孤児で両親がおらず、今は土井先生と一緒に住んでいるらしい。
福富 しんべヱ。商人の家の子。鼻水とよだれ。そしてたくさん食べる子。なんとなく覚えている。小学生の時は、この子が一番親しみやすかった気もする。美味しいものいっぱい食べたい。わかる。
は組。は組ってなんだ? あそっか、この三人が通っている忍術学園ではクラスの採番をいろはにほへとから取っているらしい。
すごく戦国らしくてイイな。
時代は室町時代。ついこの間平安を舞台にした光る君へを見ていたからなんとなくわかる。平安が去り、鎌倉バーサーカーの時代が到来し、その後が室町時代だ。つまり足利尊氏の時代。京都に幕府が置かれ、金閣寺などの建物が建てられた時代らしい。まだまだ武士と戦乱の世の真っ只中と言って良いだろう。
ちょっとずつ思い出してきた。かつてそろばん塾では忍びのように休憩室を覗いていたから、私も少しくらいはね、齧っているってわけ。
(何も知らなかった
アニメ観てみようかな。うん、32期もあるの?おかしいね
どこから食べていいのかわからない大食い選手権に参加しちゃったくらいわからない状況である。私はNetflix、AmazonPrimeビデオ、U-NEXTでそれぞれ検索をかけ、一度思考を放棄した。
ならばいいだろう、みりしらで観に行ってやる。
といきがってみたはいいが、やはり映画前日になればこのままでいいのかと不安がよぎる。みりしらと言えどやはり教えを与えてくださるSNSの先輩ファンの皆様の恩恵には甘えさせてもらおう、人の話は否定せずまずまっさらな気持ちで聞く。そして素直になって受け入れるということを社会人人生で学んできたじゃないか。この世の中、1人では生きていけない。今こそ社畜の学びを活かす時。
6年生の話ではこれを観ておくといいよ!!と流てきた『忍たま32期64話 若い人の段』を視聴したらあまりの可愛さに震えた
6年生とかそんな上級生までいるんだ忍たま乱太郎っていう驚きと共に、動画を見る。
えっ、かわいい…こんな純粋で大人の心を疑わない子供たちがこの作品で言う1年生という存在なのか……天使かな、天使だわ。子供という存在の愛らしさとその子供達を温かく見守る大人達──土井先生や山田先生。忍たま乱太郎は子供の時見た時よりもずっと大人達の愛を感じる物語だったんだ…なんて優しい物語なんだ、脱帽した。
当日、映画を観た
まっっっって……忍たま乱太郎の登場人物達が、ちゃんと忍者してる。
私の認識では忍者アニメというものは二通りある。
コメディ全振りなのが忍たま乱太郎。
ガチ忍者してるのがNARUTO。
なのに、開幕から想像以上にガチ忍者をし、室町時代という戦国の世を草の者として生きる忍者達がそこにいた。
あれ、こんな血なまぐさい世界だったっけ?と不安を覚えながら、やっぱりシリアスなのでは?と警戒度が上がる。
しかし今作は良い意味で、シリアス愛好家である私の感を裏切ってくれた。あれよあれよという間に、格好いい上級生達が竹林を舞い戦い……ってもしかしてこの子達、私が唯一予習していった忍たま32期64話で6年生じゃないか!? 土井先生の殺気に怯えていた子達が大きくなって、いつの間に、土井先生に真っ向から何度も挑めるようになったのかと唐突に子供達の成長に感動し、ほろっときてしまった…。そうか、あの子達こんなの大きくなって……しかもぼろっぼろなのに「こんなのかすり傷です」って必死になっちゃって。そういうところがまだ青年というか、眩しいなあって思いました。いつの日か、彼らにとって笑い話になる日が来るのだろうなって思うとまた切なくて……(シリアス愛好家の私の癖。勝手に自分地盤をたたき割ってセルフ情緒不安定もっていく生き物です)
六年生が命削るように奮闘している最中、ほどよい塩梅でほっとするような低学年のコメディが入る。なんだこの癒しぬるま湯とガチ忍者さん達の交互の演出は。まるで私とどるちゃんの間に置いたポップコーンのようではないか(どるちゃんと一緒に観に行った)。
焦がしバター・キャラメル、焦がしバター、キャラメル。子供向けアニメだなんて思っていたのが、大人目線の今だからこそ視える、共感できる、理解できる要素盛りだくさんの世界がそこには広がっていた。
自分が大人になったからこそ気づいたことがある。子供達が考えて一生懸命やったことが結果的に危険と隣合わせの死地へ向かったとしても上級生や先生達は誰一人怒らないという点。褒めたりもう大丈夫だと安心させてくれる。これって彼らが昔同じように優しくしてもらったり、自分が失敗したことがあるからこそなんだろうなと思う。優しさに溢れた作品だったんだなって大人になって知ることができた。
私が最近浴びてきたどの作品よりもぬるいのに、全てが面白くて飽きない。
社会人になってから癒しというものに圧倒的に飢えていたと思う。
久々に不意にくすくす笑って、感情ジェットコースター展開とかもなくて安心して観れる、しかも起承転結のしっかりしてるアニメ映画だった。
いいんですか、こんなぬるま湯があって……浸かっていても許されますか?とシリアス愛好家の私は片足を深い沼へと突っ込んだのだった。
なるほどあのそろばん塾で観ていた子達が夢中になっていたのも頷ける……!
あんまりはまりすぎたので30期全部観た
U-NEXTに30期が全部あったので観た。
全部良かった。OPのアニメーションもたまらなく可愛かったし、らんきりまるの三人と先生二人しか知らなかった私が一学年から六学年そして個性的な先生達や、山田先生とその息子さん利吉くんや奥さん、雑渡昆奈門とその一派のことまで大体わかるようになった。そうなると映画との答え合わせができるので小松田さんの入門票にサインしている利吉さんの面白さを理解できたし、きり丸の寂しさや不安が映画を観て数日後に突如として全身を貪ってくるという苦行に耐えているところである。
あと「お兄ちゃん」セリフがありましたが、あれ利吉さんも結構堪えてたんじゃないかって頭抱えるしかなかった。相当心配してたんだろうなと。利吉さんって大人になってから子供じみたことをするのを恥ずかしがっている回があったので、多分普段なら絶対言わない「お兄ちゃん」呼びをしたって余程のことだと思った。非常にずるい演出です。
原作漫画も少し読んだ。アニメ以上に室町時代の辛い現実をコメディにして仕上げている先生凄すぎる。そんな中自動販売機でジュース買いましょって気軽く現代のもの出してくるあたりツボすぎて、大人でも楽しめるコメディ漫画でした。
アニメ30期、全部観るのに一週間かからなかった。楽しすぎて、寝込んだ。良アニメは用法・用量を守って接種することをおすすめします。最高でした。ありがとうございました。次は21期観てみます。
映画観に行った記念に描きました🥷🥚6