【1日1事例】地域在住高齢者の体重減少ならびにアルブミン低値と 死亡との関連とその影響要因 ―システマティックレビュー― #地域在住高齢者 #体重減少 #アルブミン

参考文献:地域在住高齢者の体重減少ならびにアルブミン低値と 死亡との関連とその影響要因 ―システマティックレビュー―
筆者:矢野 朋子, 樺山 舞, 神出 計
発行日:2020年
掲載元:日本老年医学会雑誌 57巻 1 号
検索方法:インターネット
キーワード:体重減少, アルブミン低値, 死亡, 地域在住高齢者, メタ解析

要約
【目的】地域在住高齢者の体重減少ならびに血清アルブミン低値の死亡に関わる影響を検討し,そこに関わる食行動や嚥下機能,食形態の要因を検討すること
【方法】
・MEDLINE,Cochran Library(CENTRAL),Web of Science,CHINALから検索式を用いて3,812文献を抽出
・このうちコホート研究で65歳以上の地域在住高齢者を対象とし,体重減少群ならびに血清アルブミン低値群と対照群を設定した研究の中で観察期間中の死亡を分析した研究を対象とし,メタ解析を実施
・さらに、その関連に影響を与える要因を検討
・分析方法は,体重減少ならびに血清アルブミン低値群と対照群の2群者数と死亡者数から相対リスク比と95%信頼区間を算出し分析
【結果】
・地域在住高齢者の体重減少と死亡が検討された文献検索の結果,1,180件を抽出し,条件に合う11件を分析した.
・メタ分析の結果は,体重減少群が維持群に比べて,死亡率を1.69倍高くする有意な結果を示した.
・また血清アルブミン低値の文献検索の結果,2,632件を抽出し,10件を分析した
・結果,血清アルブミン低値群が保持群に比べて,死亡率が1.92倍高かった
・食行動や嚥下機能,食形態の関連要因は,今回抽出した文献内で明らかにされていなかった
【結論】
・地域在住高齢者のコホート研究をメタ分析した結果,死亡率は対照群に比べ体重減少群が1.69倍,血清アルブミン低値群が1.92倍高い可能性がある.

・食行動や嚥下機能,食形態の関連要因について,検討された研究がなかったため,今後,高齢者の体重減少ならびに血清アルブミン低値から死亡に至るプロセスの中で影響を及ぼす栄養関連項目を明らかにし,高齢者の在宅療養生活の継続を可能にすることへのエビデンスを蓄積し,今後介入していくことが必要となると考えられた
【メモ】
・地域在住高齢者の5%体重減少はADL低下,入院中の新たな疾患への罹患率や死亡率に影響す ることが報告されている
・体重減少ならびに血清アルブミン低値の死亡のリスクとの関連要因には,基礎疾患や加齢的変化を含む身体的要因、認知機能低下や抑うつなどの精神的要因,収入,社会階層などの社会的要因が明らかにされている
・脂肪体重の減少は筋肉組織の細小化,筋力低下等を引き起こす.また,除脂肪体重が減少すると生体の防御機構である細胞性免疫能が低下し,その結果,誤嚥性肺炎や 膀胱炎などの感染症を繰り返す.さらに除脂肪体重が減 少すると歩行や座位保持が困難となり,50% 以上の減少では生命維持が難しく,高い死亡率につながると考えられている
調べた単語:「アルブミン」
・約600個のアミノ酸からできた分子量約66,000の比較的小さなタンパク質
・アルブミンは血漿タンパクのうち約60%を占めており、100種類以上あるといわれる血漿タンパクの中で最も量が多いタンパク質
・アルブミンは血漿タンパクの中で、血管内に水を保持する働きが最大
・血液中のアルブミンが低下すると、血管内の血液の量が少なくなったり、血管外(お腹や肺など)に水が溜まったりする。
・また、アルブミンは脂肪酸やホルモン、薬物など様々な物質と結合して、必要な部位にこれらを運搬する働き(各種物質との結合と運搬)もしている。
・14~18日間(半減期)体内で働いた後、アルブミンの多くは筋肉や皮膚において分解される

参考URL:
https://www.jstage.jst.go.jp/article/geriatrics/57/1/57_57.60/_pdf/-char/ja


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