【1日1事例】当院訪問リハビリテーション利用者における、栄養状態と生活への意欲について #訪問リハビリテーション #栄養状態 #摂食嚥下機能
参考文献:当院訪問リハビリテーション利用者における、栄養状態と生活への意欲について
筆者:山田 忠明, 雑賀 仁美, 中野 真也, 泉谷 健太朗, 笠原 克己, 入江 保雄, 高宮 尚武
発行日:2018年
掲載元:第53回日本理学療法学術大会 抄録集
検索方法:インターネット
キーワード: 低栄養, MNA-SF, Vitality Index
【はじめに、目的】
・高齢者の低栄養は非常に多く、栄養状態に合わせたリハビリテーション(以下、リハ)を実施する必要がある。
・生活への意欲もリハ効果や食事動作との関連が報告されている。
・また、在宅高齢者においては他職種を含めた包括的なケアが必要である。
・今回は訪問リハ利用者の摂食嚥下機能と栄養状態、自己の栄養状態の理解と生活への意欲について検討した。
【方法】
・対象は、平成29年6月から10月まで、当院訪問リハを3か月以上継続実施した利用者61名(男性24名、女性37名で年齢80.7±7.4歳)とした。
・栄養状態はMini Nutritional Assessment-Short Form(以下、MNA-SF)を使用した。
・聖隷式嚥下質問紙を用いて、質問項目を「肺炎の既往」「栄養状態」「咽頭機能」「顎口腔機能」「食道機能」「声門防御機構」の6項目に分類し、各々リスクの有無で群分けし、リスクあり・なし群をMNA-SFおよび生活の意欲と比較した。
・生活の意欲の指標はVitality Index(以下、VI)を使用した。また、現在の栄養状態が十分足りていると思うかを本人に聴取した。
・検定はt検定を使用して有意水準は5%未満とした。
【結果】
・咽頭機能および顎・口腔機能にリスクがない群がMNA-SFに有意に高値を示した。
・また、栄養状態が十分であると思っている群はVIが有意に高値を示した。その他は有意差を認めなかった。
【結論】
・訪問リハ利用者では咽頭機能および顎・口腔機能にリスクがある場合にMNA-SFが低値であることがわかった。
・高齢者においてこれらの機能に問題が多いことはすでに報告されており、同様の結果となった。
・咽頭機能および顎・口腔機能の問題は、加齢により咀嚼嚥下関連筋力が衰えることも原因として挙げられ、摂食時の姿勢やポジショニングによっても引き起こされる可能性がある。
・また、栄養状態が十分であると理解している人ほどVIが高値を示すことからも、その人に合った食形態や食事内容を正しく指導することも重要であることがわかった。
・訪問リハにより咀嚼嚥下関連筋の機能向上やポジショニング等で摂食嚥下環境を整備することが低栄養防止につながる。
・在宅生活者への訪問栄養指導件数は非常に少ないため、必要時には言語聴覚士による摂食嚥下指導や管理栄養士による訪問栄養指導などの介入につなげ、包括的サポートが必要であると考えた。
・在宅で生活する利用者の環境を整え、摂食嚥下の機能向上を図ることは、低栄養防止とともに生活の意欲を向上させることに繋がると考えた。
・今後は訪問リハや訪問栄養指導などの包括的ケアが介入した場合の効果についての長期的な検討が必要である。
参考URL:
https://www.jstage.jst.go.jp/article/cjpt/46S1/0/46S1_C-59_1/_pdf/-char/ja