『うたうポケモン図鑑』がイケてた頃
スーパーマリオシリーズが35周年なのだそうです。
自分が初めてプレイしたゲームは『スーパーマリオブラザーズ』でした。おばあちゃんの家にいとこのお古の初代ファミコンが置いてあって、夏休みや冬休みのたびにやっていました。
初めて買ったソフトもスーパーファミコンの初代『スーパーマリオカート』。以後に買ったのはカービィやドンキーコングなどで、さながら任天堂推しユーザーのようになっていました。
これにはいちおう理由があって、「ゲームは1日1時間」という、古代のファミコン名人に倣った厳格なルールが我が家には存在したため、時間がかかるRPG系統や、操作方法を一から覚えないといけない他社のソフトは難しいと判断していたのです。
まあこれは、あくまで据え置き型ゲームの話。
その後、ゲームボーイポケットという、どこへでも持っていける神器を自分が手にしたのとほぼ同時に、主にコロコロコミック編集部とテレビ東京の方々の陰謀によって、日本中の小学生が151匹のポケモンの育成に夢中になるという現象が起きました。
自分もまた例に漏れずにその渦中へと飛び込んでいき、外で8時間くらいセキチクシティでのケンタロス狩りに没頭していたので、名人と親との約束なんぞろくに守っていませんでした。ポケモンも任天堂なので、ここでも貢いでいますね。
それにしても、ケンタロスの出現率の低さよ。奴に使ったサファリボールの消費量よ。つーか未だにゲットしてねえよ。ミュウツーはゲットしたのに。ミュウもゲットしたのに。あれ?どうやってゲットしたんだっけ?セレクトBBはレベル100にするやつだから違うよなあ。
そして次に買ったハードがこれまた、ニンテンドー64。
時代としては、プレイステーションの人気が猛威を奮っていた頃でした。ヘンテコな踊りがインパクト絶大だった『クラッシュ・バンディクー』のCMや、実在の車でレースができるという『グランツーリスモ』のCMがバンバン流れていました。
さらに、CDが再生できるというのも魅力でした。
当時はCDが売れまくっていたバブル期で、お兄さんお姉さんはみんな街中でCDショップの袋をぶら下げていました。
子供の自分たちは、せいぜいTSUTAYAで1泊2日レンタルくらいしかできないのですが、それでもCDを借りるという行為にどこか大人っぽさを覚えていました。
そのCDがたとえ『エキセントリック少年ボウイのテーマ』などであったとしても、大人と同じことをしているというだけで、どこか快感だったのです。
友達の家のプレステで聴いた『ああエキセントリック少年ボウイ(カラオケ・バージョン)』は小学高学年にはエモく思えたものです。
当時のCDにはカラオケバージョンという、要するに歌なしのインストゥルメンタル音源が入っていることが多かったのですが、本当にこれでカラオケの練習をしていた人はどのくらいいたのだろうか。
しかしながら、1998年のお正月のお年玉で買ったのは、プレステではなくロクヨンでした。
ほんの数ヶ月前まではプレステを買う気まんまんだったのですが、年末年始商戦のこのタイミングで、任天堂はキャンペーンを仕掛けてきたのです。
期間内にニンテンドー64を購入すると、ここでしか手に入らないレアなポケモンカード2枚とシングルCDが付いてくるという、「Wゲットだぜキャンペーン」。
自分のなかでプレステとポケモンを秤にかけた時に圧倒的にポケモンの比重のほうが大きかったので、これは今しかないと思って即座に買いました。
Wおまけのうち、興味をそそられたのはどちらかというとポケモンカードよりもCDのほうでした。前述のように、小学生の自分にとってCDとはなんとなく大人っぽいものの象徴だったのです。それがたとえ『うたうポケモン図鑑』であっても。
この『うたうポケモン図鑑』、全4曲入りで、ノーマルポケモンPart1・2、むしポケモンPart1・2という構成。
ゲーム中のポケモン図鑑に載っている説明文にメロディーを付けて歌われているのですが、各ポケモンごとに曲調もテンポも変わるので、4トラックしかないものの実質的に何十曲も入っている、ある種ではお得といえるCD。
唐突に英語のナレーションが入ったりラップっぽくなったりとなかなかにカオス。そして、なぜにノーマルの次にむしをチョイスしたのか。
むしポケモンなので当然ながら説明文も虫っぽいわけですが、「♪お尻の毒針で刺しまくる」「♪5センチくらいの小さく鋭い毒針を持つ」などと虫っぽい説明文をそのまま歌詞にされたシュールさといったらもう。毒針を持つやつが多いんだよな。
ジャケットには第1巻と銘打たれていましたが、現在に至るまで第2巻以降はリリースされておりません。ポケモンのベストアルバムなどにもどうやら未収録のようなので、本当にここでしか聴けない。超貴重。買って良かった。
……んだけど、その10年後にバイト先の後輩に貸したらそのまま借りパクされたので、手元にありません。もしこれを読んでいたら返してください(無理ゲー)。
いやメルカリに結構あがっているんですけどね。ポケモンカードのほうはプレミア価格みたいだけど、こっちは投げ売られぎみ。
スーファミもロクヨンも家のどこかにあるはずですが、20年以上スイッチを入れていません。果たして起動するのやら。ファミコンはいつしかおばあちゃんの家から消えて、自分はスマホゲームすらしなくなった。
ありがとうマリオ。ありがとうポケモン。ありがとう、うたうポケモン図鑑。マリオとポケモンはこれからも何度も会えそうだけど、うたうポケモン図鑑は通信ケーブルとともに思い出のなかへと融けていくのだろう。
ええ、通信ケーブル。
Wi-Fiなどというもののなかったあの頃、ポケモンを交換したりポケモンで対戦したりするには専用の通信ケーブルが必要だったのです。当時1500円もした高級品で、持っているだけでイケていたのです。
無線LANがどこでも当たり前に飛んでいる現在からすれば、なんてしょぼかったんだと思ってしまいますが。
『うたうポケモン図鑑』もたぶん、当時は自分にとってカッコ良かったはずなんだ。……のはずなのに、ツッコミどころしか書いていない感じになってしまった。あの頃の感動をもう一度。
なので返してください(けっこう根に持っている)。