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落ち着かない時はポコニャンのウィキペディアページを見よう

気持ちを落ち着かせるためにしていることが、自分の中でいくつかあります。

銭湯に行く、サウナに行く、人の少ない公園に行く、宮本むなしに行く、放置車両を見に行く、酒を呑む、寝る、マ◯◯ー◯ー◯ョンをする、などが主なのですが、それでもまだ収まらない場合もあります。

現代はスマホがあればだいたいなんでもできるので、本を読んだり、映画を観たり、音楽を聴いたり、気分転換できるものにはすぐに触れられるわけですが、気持ちが震え上がっているような時は、どうにも集中できない。

そういう時には、ひたすらウィキペディアを読みます。芸能人、バンド、漫才コンピ、ユーチューバーなど、とにかく手当たり次第に検索していき、下にある関連項目へとテキトーにジャンプしていく。

普段そんなに興味があるわけでもない芸能人とか、1曲も知らないバンドとか、うっすら名前を知っているだけの漫才コンピとか、動画を視たことのないユーチューバーでも、関係なくザーッと見ていく。

誰でも編集できてしまう構造上、地獄のミサワ先生のキャラクターのごとく「それどこ情報よー?」と言いたくなるようなものや、明らかに内容が矛盾している文章なども見つけたりするのですが、中には、これ無料で読んでいいのか?というくらいハイクオリティーなものもある。

たとえば、『ポコニャン』のウィキペディアページ。

『ポコニャン』は、『ドラえもん』などで有名な藤子・F・不二雄先生の漫画作品で、1975年から1978年にかけて雑誌「希望の友」にて連載されていたのですが、その後、1993年から1996年にかけて、NHK系列のチャンネルにてテレビアニメが放送されていました。

この、テレビアニメの項目の充実度が凄まじい。

アニメ版は原作からかなり改変されており、太郎くんという男の子が主人公だったのが、女の子のミキちゃんに切り替えられていたり、基本的に喋らない設定だったポコニャンがアニメでは普通に話したり、原作では元からポコニャンが家に居着いているのに対して、アニメではミキちゃんが家族でハイキングに行った時に出会ったことになっています。

これらの説明が事細かに書かれているのはもちろんのこと、キャストやスタッフの名前も、しっかり調べあげられている。

脚本や監督、制作会社はもちろんのこと、動画や背景の担当スタッフまでずらずらと載っている。ここまで詳細なページはなかなか見かけたことがない。

そこそこ長いあいだ放送されていたとはいえ、大々的にヒットしたわけではなく、ファンブックなどが出版されていたわけでもないので、各話のスタッフロールをひとりひとり書き写したのかと思うと頭が下がる。

さらに、作中でポコニャンが使う特殊能力「へんぽこりんパワー」の、おそらく全種類についての説明がなされていたり、エンディングのおまけコーナー「ポコニャンスロット」の全170回の出目をも完全に網羅。

これをもし仮にひとりで書いたというこなら、尋常ではないアニメ版ポコニャンへの執念を感じるし、全く別々に複数人が編集してここまで完成させたのだとしても、全国のアニメ版ポコニャンファンたちの熱量を感じる。

こういう感動がたまにあるものだから、ウィキペディア巡りはやめられない。

歴代の主題歌についても、きっちりとまとめあげられています。

一般的なアニメは、クール中はずっと同じ主題歌を流すものですが、なぜかアニメ版ポコニャンのエンディングに関しては、複数の主題歌がランダムに流れるという謎の仕様。

それだけに、通常のアニメ主題歌よりもまとめるのが大変なのですが、どの回でどの主題歌が流れていたのか、全170回ぶんを見事に記録。

何がアニメ版ポコニャンウィキペディア編集者をそこまで奮い起たせているのかはよくわかりませんが、素晴らしい完成度のページであることは間違いない。

日常のストレスなどどうでもよくなる。へんぽこりんパワーが作動しているのかもしれない。

というか、ポコニャン自身がへんぽこりんパワーで編集したものなんじゃねえのかこれ……。ウィキポコリンとかで。

ちなみに、エンディングのうちの1曲である、大事MANブラザースバンドによる『おやじと話す』は、自分の知る限りでは、最もアニメの内容に合っていないアニメソングとして殿堂入りです。

よくネタにされる『るろうに剣心』の『そばかす』や『1/3の純情な感情』の比ではない。

なぜ、ネコとタヌキの合の子みたいなすこしふしぎキャラが小学低学年の女子の家でドタバタを巻き起こす日常コメディーの主題歌に、不景気で仕事の減ったおやじに自分の将来や彼女のことを相談する青年の歌が選ばれたのだ……?

歌詞の締めは「まっすぐ帰っておやじと話す」なのに、その部分の映像は、丘の上から夕陽を眺めるポコニャンとミキちゃんの後ろ姿である。

いや、絶対にその丘は帰り道じゃねえだろ……陽が暮れてるんだからまっすぐ帰れよおまえら……。同バンドによるオープニングの『賽は投げられた』もなかなかだが、あちらはまだアニメーションには合っているのに対して、こちらに関しては違和感がすごい。

前述のようになぜかエンディングはランダムだったのですが、初代のこの曲に関してだけは最初期の頃しか流れず。なのになんとなく記憶にうっすら残っているのは、この違和感のせいか……?

あと、原作者の藤子・F先生が作詞なされた『ポコニャラ音頭』がいかにキている内容なのかについては以前にテキストに書いたことがありますが、たぶんいちばん有名な『湯あがりハッスル』の歌詞もなかなかにブッ飛んでいてですね……。

というようなことをグダグダとnoteに書くのが、なにげにいちばん落ち着きますね。

本当は芸人のヒロシさんのウィキペディアページがいかに感動的かとか、黒柳徹子さんの交友関係の項目はもはやテレビの歴史であるとか、そういうことを書きたかったのですが、アニメ版ポコニャンの話しかしてねえ。

しかし、こんなグダグダしたテキストをnoteに出すこともまた、気持ちを落ち着かせるために有効なのです。よし、うまく編集できた。

あと、初代プレイステーションのウィキペディアページもゲームマニアのうちでは今でも語り草の紆余曲折があって読み応えがあるし、漫画家のつげ義春さんのページの旅の項目も、これまた濃厚な内容で……。ああ止まらねえ。

サウナはたのしい。