エスカルゴのキッズライドに想いを馳せて
普段はゲームをすることはまるでなく、たまにとてつもなく暇なときに将棋ウォーズをプレイする程度で、ポケモンは全151匹の時代で止まっているし、最近はカービィが自販機になったり、マリオが象になったりするらしい、ということもなんとなくしか知りません。
モンスターハンターは昔ちょっとだけ触ったのですが、ひとつのクエストに40分もかかるというのがあまりにも億劫で、いつしか投げ出してしまい、初音ミクのリズムゲームも『初音ミクの消失』で見事に躓いて降参。
思えば、大人になってからまともにクリアしたゲームなんて、ほとんどないのではないか。
アダルトゲームもいくつかやったことがありますが、物語がいったん終わればそれでもういいやと思ってしまい、再び最初から同じ作業を繰り返さないといけないのがどうにもしんどくて、別のヒロインのルートまで辿ろうとは思わない。
なので、ゲームセンターに足を運ぶということも、昔はそれなりにありましたが、今ではほとんどありません。
あるときに友達に誘われたクイズマジックアカデミーは、せっかくカードを作ったことだからと、たまにプレイしていたものの、いつのまにかカードがなくなっていました。
まだアーケードにしかなかった頃のアイドルマスターは、酔った勢いでやってみたものの、プレイ料金が500円と他のゲームに比べて割高で、こんなものに手を出したら破産するということで早々に退却。
京都河原町にあるa-choというゲーセンは、格闘ゲーム愛好家にとっては全国的に有名で聖地とされているらしく、友達に何度か連れていかれましたが、ひとりで行ったことは一度もない。
対戦プレイをしている画面を後ろから観戦するギャラリーが何人も集まり、混雑時なんかはトイレに行くのもひと苦労なくらいの盛況ぶりを見せるのですが、格ゲーにまるで興味を持てなかった自分はどうにもついていけず、友達がプレイし終わるまでずっと喫煙所でケータイを弄っておりました。
ただ、ゲーセンの雰囲気そのものは、あまり嫌いではありません。
特に、こう言っては失礼ですが、あまり人気のない、古いゲームしか置いていないようなゲーセン、というか、ゲームコーナーが好き。
古いゲームしかないといっても、『ストリートファイターII』みたいな往年の人気タイトルが置いてあるようなところや、通天閣の近くにある昭和レトロを意識した店舗などは栄えていますが、そういう大人のマニアに向けているわけではない、あくまで子供向けのゲームばかり置いてある、なおかつ、モーリーファンタジーみたいなオシャレさがないところ。
もっと簡単にいえば、今どきワニワニパニックとかカニさんクレーンとかが、平気で稼働しているようなところ。
あと、そういうところに必ず置いてあるのがキッズライド。キッズライドというのは、車を模した車(変な表現だが他に説明しようがない)に子供が乗って遊ぶ筐体。ひと昔前は、商業施設のゲームコーナーには必ずあったものです。
アンパンマンやきかんしゃトーマスが描かれたキャラクターものが多いですが、中には実在の車種を模したものもあります。
だいたいスカイラインGT-Rとか昔のポルシェっぽいものが主流ですが、尼崎のキューズモールの映画館の手前にあるキッズライドは日産ミストラルっぽくて、なかなかマニアックだなあと思った覚えがありますね。
お近くにお住まいの方はぜひ確認してみてください。それなりに年季が入っている様子で、いつ撤去されるかわからないので……。
さらに、大阪の住之江区にある南港ポートタウンショッピングセンター内のゲームコーナーのキッズライドは、なんと日産エスカルゴである。
日産エスカルゴというのは、どの自動車メーカーもバブル時代でイケイケだった1980年代にリリースされた、「パイクカー」と呼ばれる期間限定生産車種のひとつ。
目と目の距離が近すぎる、地獄のミサワ的なデザインのヘッドライトを持ち、半円形に弧を描いた屋根が特徴で……、文章で説明するには難しい形状をしているのですが、まあ、ひとことでいえば、かなり変な形をした車です。鳥山明先生のイラストに出てきそうな雰囲気の。
中古車情報サイトで検索すればいくらでも画像がヒットしますが、今でも稀に街で見かけることがあるし、かつてはプロ野球のリリーフカーとして長く使用されていたので、そして、一度でも見たら忘れられない変な形をしているので、見覚えのある方はけっこう多いと思います。
というか、ひとむかし前のキッズライドは、大抵はエスカルゴか新幹線のぞみの300系でした。当時としては、最先端なナウいやつだったのでしょう。
この南港ポートタウンのエスカルゴもまた、いつ撤去されるかわかりません。新幹線のキッズライドはすでに700系にアップデートされているので、車のほうもいずれは、ハスラーとかに切り替わるのかも……。
ちなみにエスカルゴの隣のキッズライドはドラえもんのものですが、絵柄が平成中期のもので、ドラとのび太の顔が平面的で目が黒い。こちらもそのうち、現在のふっくらして白目がある絵柄に変更されてしまうかも……。
そういう思いを馳せて、さすがにこの歳でキッズライドに乗るわけにもいかず、エスカルゴにも昔のドラにもいっさい興味を示さない姪っ子に手を引っ張られていくのでした。
吹田駅前のイオンの中のゲームコーナーなんかも、味があって良かったんだよなあ。数年前にリニューアルされちゃったけど……。誰も聞いてねえ……。あーはいはい、トイレね……。
サウナはたのしい。