ハピマテ祭りを忘れない
ちょっと前の話になりますが、Twitterで、アニメソング総選挙というのがトレンドに上がっていまして。
ああ、なんかネット上でそういうのやっていたのかな?と思いきや、テレビ朝日でゴールデンタイムに放送していたとのことで。れっきとした地上波だ。しかも深夜アニメの曲がふつうにランキングに入っていたことにも驚き。
自分が小中学生の頃にもこの手のテレビ番組がなかったわけではありませんが、昔はほとんどが幼年向けアニソン(『アンパンマンのマーチ』とか)と懐かしアニソン(『アルプスの少女ハイジ』の主題歌『おしえて』とか。ていうかさっきググって初めてあの歌のタイトルを知った)だけで構成されていて、なんか若い奴らに人気らしいから一応『残酷な天使のテーゼ』を突っ込んどくか、くらいの温度でした。
そもそも昔は基本的に、アニメソングおよび声優さんのCDはどれだけ売れてもテレビの歌番組で紹介されることはなく、『めざせポケモンマスター』の映像が番組内で一瞬だけ映ったことが翌日の小学校のビッグニュースになるほどでした。
そのような状況はゼロ年代に入っても続きましたが、2005年にとある革命が起きます。
その革命は当時「ハピマテ祭り」と呼ばれ、ネット界の片隅を賑やかしました。
深夜アニメ『魔法先生ネギま!』の主題歌である『ハッピー☆マテリアル』をみんなで買いまくってオリコン1位にしよう、という計画がネット上のとある掲示板で立てられたのが発端。
そこから「ハピマテ騒動」と呼ばれる一連の事件も発生するのですが、それはここでは省略します。ググれば当時の記事がいくらでも出てきますので、興味があればそちらで。
この『魔法先生ネギま!』は、まだ10歳ながら教員免許を持つ天才少年のネギ・スプリングフィールドくんが麻帆良(まほら)学園という学校の2年A組の担任になるところから話が始まるのですが、この麻帆良学園は女子校で、2年A組の生徒は30人。
ヒロインが30人いるんですよ。原作の第1巻には、2ページの見開きで、しっかり全員ぶんのデータが載っています。
もちろんその中でもメインを張るキャラとそうでもないキャラというのは分かれているのですが、完全なモブキャラで数コマしか登場していない佐々木まき絵という子が人気投票で1位になってしまい、以後いきなりレギュラーに昇格なんていう現象もありました。
まるで某国民的アイドルグループの総選挙のようですが、そのアイドルグループが秋葉原で活動を始めるちょっと前に2次元で似たようなことをやっていたという。
そして、この『ハッピー☆マテリアル』、略称ハピマテ、なんと6ヶ月連続で発売されました。30人の生徒たちのうちそれぞれ5人ずつに分かれて歌って6パターンがレコーディングされ、それをアニメが放送された1月から6月まで、各月ごとに順次リリースしていったのです。
チームに分かれて歌うのも某国民的アイドルと同じですが、前述のようにまだ秋元先生は本気を出していなかった時代。
出だしの1月や2月はオリコンの10位前後を彷徨う、まずまずの順位でしたが、4月バージョンは初のオリコン3位入りを達成。
そこからネット界は盛り上がっていき、もしかしたら本気で1位を狙えるのではないかと掲示板はやたら白熱。
当時の自分が週4で通っていた京都の四条河原町のアニメイトでも大々的なポップが掲げられ、特にネギま!のファンじゃなかったのに謎の圧を感じて買ってしまいました。
でも、こんな露骨な萌えアニメが歌番組で堂々と紹介される絵面を見てみたいと思ったのも嘘ではないです。
結果としては、ラストの6月に再度の3位を獲得したものの、MステのタモリさんにもHEY×3のダウンタウンにもスルーされ、知る人ぞ知る伝説のアニソンに。
『涼宮ハルヒの憂鬱』が大ヒットし、しょこたんこと中川翔子さんがバラエティ番組で自身のオタク趣味を全開にしたキャラクターで人気を博すのは、もう少し後のこと。
しかし、俺たちはハピマテという歴史の一部の中に確かに存在した。ハピマテ祭りを忘れない。時代が俺たちに追い付いたのだ。μ'sもAquorsもスルーしない今のタモリさんなら、きっと麻帆良学園のみんなを歓迎してくれるはずだ。
と宣うミドルエッジオタクはとりあえず『紅蓮華』を頑張って覚えようとしています。原作は10巻まで読みました。映画はどうしようかな……。
p.s 僕は和泉亜子ちゃん推しでした。キングレコードの公式YouTubeにはこのような狂った(褒め言葉)動画があります。
サウナはたのしい。