見出し画像

パチンコ依存症者観察依存症(?)

たまに酔っぱらってスマホを弄っていると、無意識に検索している事柄があります。

それはもちろんエロサイトチャンネル……、ではありません。昔はそうだったかもしれませんが、最近はなぜかアルコールが入ると全くそちらの欲が膨らまなくなってしまうので、むしろ素面の時のほうが、というのはともかくとして、なにを検索するのかというと……。

「パチンコ 借金」
「パチンコ 破滅」

などである。要するに、パチンコにハマり過ぎて人生の危機に立たされた人々が、どのような調子でパチンコにのめり込み、どのような段階を踏んで消費者金融に手を出し、そこから借金地獄や家庭崩壊などへと凋落していく有り様を調べるという、ものすごく悪趣味なインターネットの使い方をしています。

自分はギャンブルはほとんどしたことがなく、パチンコに関しては18歳になった瞬間に友達とひと打ちしたところ、10秒で5000円(バイトをしていない受験生にとっては大金)がチリヂリに溶かされるのを見たのが未だにトラウマで、今後もすることはないし、パチンコという遊戯そのものの楽しさもあまりよくわからなかったのですが、どういうわけか、パチンコで人生を狂わされるというのはどういうことか、については興味があります。

念のために断っておくと、そのようにパチンコに振り回されて路頭に迷っている人を高みの見物で見下ろして嘲笑したい、という気持ちはありません。

あと、同じギャンブルであっても、競馬や競艇にハマって無一文になってしまった人々の話には、あまり興味がありません。これらでよく聞くのは一気に高額を賭けた結果としてそうなったパターンで、パチンコのように少しずつ転落していったという話はあまり聞くことがなく、めちゃくちゃ不謹慎な言い方ですが、あまりスリルがない。

大学生の頃に働いていたバイト先のコンビニでは、競馬を趣味にしている先輩がいて、先ほど書いた、パチンコで5000円を一瞬で溶かしたエピソードを話したところ、ギャンブルをやるなら競馬にしておけ、というアドバイスをいただいたことがあります。

なぜなら、競馬のレースは週末にしか開催されていないので必然的に週1でしかできないし、競馬場はどこにでもあるわけではないので、なかなか現地まで応援に行くことはできないが、パチンコ店は年中無休のところも多いし、どこにでもあるので、毎日のようにいくらでもできてしまうから、とのこと。

今でもこのアドバイスは的を射ていると思っています。当時はパチンコ店がアニメやゲームのタイアップを前面に打ち出し始めた時期で、おっさんくさいイメージのあったパチンコ店が若者を取り込むようになり、実際に、エヴァンゲリオンの台が出ると聞いてパチンコを始める同世代の友達もいました。

そして、生活に苦しむほどではないものの、見事にドツボにハマったらしく、持っていた大量の三国志カードをすべて売り払っていました。それでもその後も完全にやめたというわけではなく、たまに気分転換に打っていたそうです。

気分転換に軽いノリで入れるのは良い面もありますが、ある程度の節度を保てる人でないと、他のことをすべてに犠牲にできてしまうと思うとやはり怖い。

三国志カードならまだ良いけど、これが家の電気代や水道代を滞納してでもやるとか、友達や家庭をなくしてもやるようになっていくのが依存症なのでしょう。

ある日に突然スッカラカンになるわけではなく、順を追ってゆっくりと破滅していく、その過程を観察していくと、なんともゾクゾクする。やめられない。

パチンコ依存症者観察依存症なのかもしれない。インターネットはパチンコ店より身近にあるし、家でも外でも無料で無限にできてしまうしな。

ただただ「パチンコ 借金」「パチンコ 破滅」「パチンコ依存症」といった検索履歴が増えていく。親がうっかり私のスマホのGoogleページを開いたら本気で心配されるかもしれない。

心配無用。息子はパチンコはいっさいやっていない。それはそれで、じゃあなぜそんなもん検索しまくっとるんだと心配されそうだが。

かつて喫煙していた頃は、パチンコ店の中によく入ってはいました。しかし、それはすでに嫌煙社会が構築されきっていて、もはや合法的にタバコを吸えるのがパチンコ店の喫煙ルームしかなかったからです。

そもそもパチンコ店そのものの面積が広いので、たいていの喫煙ルームは広くて快適。大規模店だと休憩スペース自体がめちゃくちゃ充実していて、大画面テレビが置かれていたり、無料で読める漫画が並んでいたりする。

カフェやラーメン店が併設されているところとか、隣にコンビニがくっついているところなどもある。いようと思えば1日じゅういられるだろうし、ジャンジャンバリバリ玉が流れる爆音さえなければ、実に快適な施設でした。もうタバコは生涯をもって吸わないので、パチンコ店に行くこともないのでしょうが。

そう考えると少し寂しいような気もしなくもない。パチンコ店の喫煙所に独特の荒廃感は、あれはあれでなんだか落ち着くものであった。よし、また検索しよう。「パチンコ 破滅」「パチンコ 借金」……。

ああ、落ち着く。かつて喫煙していた頃のタバコのような鎮静効果がある。やはりパチンコ依存症者観察依存症なのだろうか。

サウナはたのしい。