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短編小説1000字

100
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2024年4月の記事一覧

短編小説 海が、光る

 渚は走った。海沿いの歩道は潮の香りがして半袖の腕を舐めるように風が吹く。今日、決まった。夏休みの展覧会に渚の絵が出品される。この嬉しさを隠せなかった。一番に伝えたい!病院に早く着きたかった。
「なぎさくーん、待ってー」
 後ろから由奈の声が聞こえる。今日は一緒に帰らないって言ったはずだ。のんびりした声が息を切らしてついてくる。渚は舌打ちすると立ち止まり、由奈が追いつくのを待った。
「なんだよ、待

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短編小説 初めての子供

 美雨は可愛い。眠っている時のふわふわとした髪の毛もそうだし、舌足らずで正悟を呼ぶのも可愛い。少し重くなってきたが、抱えられないというほどではない。むっちりとした腕、すべすべの足、幼児特有の頬の膨らみ。
 ただ、好きなのかと問われれば首を傾げざるを得ない。正悟は大きな声が嫌いで、美雨は泣くしかできないのだ。
 この一点だけで、全てが台無しになるほど美雨の泣き声は大きい。しかも幼児とはいえ女なのだ。

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