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2023年12月の記事一覧
短編小説 お年玉戦争
今年も兄の息子、甥っ子がやってくる。年末にやって来て正月に帰るのである。綾太は独身で実家に住んでいる。だから必然的に甥っ子にも会うのである。
子供が嫌いというわけではなかった。ただ、結婚も子育ても未知のもので綾太は兄たちが来た時にしかそれを近くで見るすべがないのである。職場の人間の子供に会ったことは無いし、友達は少なくみな綾太と同じ独身なのだった。
「しょぼ」
去年の事だった。甥は綾太があげ
短編小説 冬、みかんの味
みかんの皮を剥いて果実を取り出すと白い筋が気になる。祐未は筋を一本づつ取りながら口の中にみかんを一房放り込む。じゅわっと果汁が広がって思わず頬が緩む。こうなるとこたつが欲しいところだが、インテリアを考え毎年我慢している。温もりと見た目の板挟み。悪い悩みではないと祐未は思う。
寛二は風呂に入っている。スマホをジップロックに入れて持ち込んだはずなので小一時間は出てこないであろう。祐未は残りのみか