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2021年11月の記事一覧
短編小説 麗しのボジョレーヌーボー
ナズナはクールでいつもサクラを見ない。二人で乾杯をする時だって視線を合わせたりはしない。チン、とグラスが重なったような音がするとその方にちらりと視線をやり、そしてワインを口に含む。口の端を軽く舐めるのを見たくてサクラはグラスを持ったまま、ナズナに向かって微笑んでいる。
「なに?」
ナズナはグラスを置くとサーモンカルパッチョに手を付け始める。サクラは早く口に含んだところが見たい。口腔内に溜まった唾
ナズナはクールでいつもサクラを見ない。二人で乾杯をする時だって視線を合わせたりはしない。チン、とグラスが重なったような音がするとその方にちらりと視線をやり、そしてワインを口に含む。口の端を軽く舐めるのを見たくてサクラはグラスを持ったまま、ナズナに向かって微笑んでいる。
「なに?」
ナズナはグラスを置くとサーモンカルパッチョに手を付け始める。サクラは早く口に含んだところが見たい。口腔内に溜まった唾