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短編小説1000字

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2021年8月の記事一覧

短編小説 ハンドクリーム、除菌シート

汚れた雑巾を洗いに、三奈は教室を出た。教室で吐いてしまうというのは、どういう気持ちなのかと考えながら。背中の方からざわめきが聞こえる。みんな、吐瀉物を見たこと無いんだわ。三奈は納得して蛇口を捻った。
「おい、河野」
水しぶきの音に紛れて三奈を呼ぶ声がする。三瓶だとすぐに分かった。
「お前、大丈夫か?」
「何が?」
三瓶が隣にやってくる。三奈は雑巾をしぼった。
「ゲロなんか掃除して平気なのかよ」

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