「双極性障害」からの回復⑩ サイコドラマ(心理劇)
とうとう3月になってしまいましたが、、一つずつ書ける時に書いていきます。
前回の続き。就労支援デイケアで私がとても力になったプログラムに「サイコドラマ」というものがありました。
演劇の枠組みと技法を使った心理療法で集団精神療法の一つ、ということなんですが、治療で実際にやられている所は少ないのかもしれません。私はデイケアに行くまで全然知りませんでした。
自分の中でトラウマになっていることや引っかかっている出来事・場面などを思い出しながら(嬉しかったことなどでもよい)自分が主人公になり、ディレクター(私のデイケアの場合は、精神科医などその訓練を積んだ治療者)と一緒に心理劇を作り上げていきます。
私は、デイケアを卒業するまでに3回自分の劇をやりました。題材は、亡くなった母のこと、直近で辞めた職場で一番ストレスがかかった場面、少し前の職場の上司に言えなかったこと、の3つでした。
即興劇なので、内容が固まってなくてもディレクターと一緒に作っていき、セリフなどはその場で決まり、登場人物は観客(デイケア利用者)の中から協力してくれる人にお願いします。
このサイコドラマの何が良かったかというと、自分の中だけに埋まっていた感情や吐き出せなかった思いが視覚化され、客観的にその出来事に向き合えたことです。
例えば、亡くなった母についてのサイコドラマでは、私の感情「悲しさ」「罪悪感」「怒り」「寂しさ」などそれぞれに役がついて、視覚的に、「あぁ、こんなに沢山の感情があったら、それはしんどかったね」という感じがよくわかったり。
あるいは、一時的に私が「母」役になり、この状況を見て母は何と言う?みたいな投げかけがあり、それに私が答えたらそれがセリフとなり、もう一度自分に戻り「母」役の人に同じセリフを言ってもらい、それを聞いた私はどう感じるか、みたいな。言葉で説明するのはとても難しいのですが。。
終わった直後に、役をやってもらった方や観客やもちろん自分自身も感じたことや気づいたことをシェアします。かなり心のエネルギーを使うので、その後は放心状態で、ディレクターからはゆっくり休むように言われます。
サイコドラマで多くの人の前で吐き出せたこと、それを視覚的に見れたこと、自分の本音を否定されずに(良いも悪いもない)丸ごと包み込まれる感覚で、そういう経験は中々できなかったので、充実感や達成感がありました。
いま振り返って思うのは、苦しい時にどれだけ客観的になって、ベッタリ張り付いている苦しさと本来の自分との間に隙間を空けられるかが大事だなぁと。そうやって一つずつ自分の気持ちに向き合って、整理して、時間をかけてまた発見して、の繰り返しで、段々と、ほんの少しずつ回復していったように思います。
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