分数ができない中学生にならないために
算数数学を学ぶためには、計算ができないとお話になりません。でも、中学校に入っても、分数のたし算ひき算で苦労している子どもは、かなりの数います。
分数はもちろん、わり算やかけ算の筆算で苦労している中学生もけっこういます。中には、かけ算九九はもちろん、暗算のたし算があやしい中学生います。
どうしてそんなことになっているのでしょう?
それは、学校では多少つっかえたり、考え込んだりしても、一応正解が出れば合格点がもらえ、授業はどんどん先に進むからです。
最初のたし算は半月で終わる
小学校1年生のカリキュラムをみてみましょうか。
5月まで、数字の書き方と数の概念についての授業があり、6月上旬には形のお勉強をします。その後、6月中旬からの一ヶ月くらいで、10までの数のたし算とひき算を学びます。
つまり一ヶ月でたし算もひき算も終わってしまうのです。しかもそのすぐ後は夏休みです。
くもんなんかで先取り学習して身についているお子さんなら、それほど困ることはないかもしれません。けれども、小学校に上がったときは、数字を書くのもあやしいといったお子さんには、このペースはかなりきつい。
そんなお子さんに対する特別な配慮、なんてものは、ふつうありません。
たし算が落ち着かないうちにひき算を学ぶお子さんの、なんと多いことか。
身についていなくても満点が取れる
でもそんなお子さんであっても、指折り数えて考えれば、多少の時間はかかりますが、正解は出せるんですね。
くり上がりやくり下がりがなければ、それほどの苦労はないからです。手の指は10本ありますから。
だから、テストでは満点だったりするんです。するとご本人はもちろん、保護者の方も、ほとんど心配しません。
そして2学期になれば、くり上がりのあるたし算やくり下がりのあるひき算を学ぶことになります。
足と手を合わせれば、指は全部で20本ありますから、指で確かめることはできなくはない。でも、テストでは足の指は使えませんよね。すると、時間が足らなくなってくる。
暗算のたし算は覚えるべきです
こうなると暗算のたし算を覚えきれていないお子さんは、少しあやしくなります。
テストの時間内に全部の答えを数え切れなくなるからです。ミスが増えたり、時間内に終わらなくなる。すると、当てづっぽうに答えを書くお子さんが少しずつ増えてくるのです。
そうこうしているうちに2年生になりかけ算九九に入ります。
すると「たす・ひく・かける」の三つどもえで混乱していくお子さんも増えてきます。
学校でもかけ算九九はていねいに指導されるので、その時期はかけ算に専念しますよね。するとたし算のときも、ついうっかりかけ算をしちゃうお子さんが出てきます。
たす・ひく・かけるが交代で出てくると、脳が混乱しちゃうお子さんが増えてくるのです。だからといって、学習障害なんてことじゃないんですよ。ただ練習が足りないだけ。
そんな状態で筆算に入ると、やることのステップが倍々ゲームで増えていきます。テストになると、ぜんぜん時間が足らなくなってきます。
かけ算九九になると、学校でもていねいなチェックが入ります。でも、暗算のたし算のチェックはまずありません。ゆっくり考えれば正解が出せるからです。
当てずっぽうをする練習?
そうこうしているうちに、テストではもちろん実際の授業でも、たとえば時間をかける余裕はどんどんなくなっていきます。
宿題もなかなか終わらなくなってきます。あたりまえですが、時間がかかればかかるほど、やる気もなくなってきます。
すると、じっくり考えるのをやめて、テキトーに答えを出すようになるお子さんが出てくるんですね。宿題なんかは答え合わをはしないことが多いから、終わればいいんですから。
こうなってくると、勉強をすればするほど、当てづっぽうに答えを出すクセをつけているようなものです。
そんなことをしていると、7+8は3回に1回くらい14になったり15になったりするようになる。
こうして、たし算の穴が3つも4つもある中学生が、かなりの数、できあがっていくのです。
ていねいにたし算の練習をすること
こうなってしまったら、まずお子さんの計算のどこに穴があるかを探すことです。そして暗算のたし算があやしかったら、まずたし算の練習をすることです。
心がけることは、
1. ていねいに落ち着いて正解を出すこと
2. 終わったらすぐに答え合わせをすること
3. スラスラと正確にできるまで次に進まないこと
です。