夜明けの隙間に心を覗く
2023年10月23日 07:29
薄暗い夜明けの屋上
カラスに混じる甲高い鳥の声
室外機のタービンの回る音
涼しげな風の中を車のクラクションが
犬の遠吠えのように呼応する
レンガの隙間がくっきりと見えるビルが
影もなく立ち並ぶ
静かな朝の魔法が作るおだやかな時間
鳥たちが西へ西へと次々に飛んでいく
夜が終わる
東の空がピンクに染まり
窓が金色に光る
その裏には真っ黒な影
人々の声が聞こえる
嗚呼、静かな魔法が終わる
下を見ればゴミだらけ
屋上には瓦礫の山
鳴り止むことのないクラクション
排気ガスで濁った空
それでも目の前で繰り返される
朝の一瞬の光景を美しいと思う
人々が押し合って暮らす
このゴミを固めたような巨大な街カイロ
動き出した人たちが奏でる
余りにうるさい音たちが
夜明けを壊しながら
眩しい朝に転がっていく
強い光とともに
底の見えないほど黒い影を街に落としながら