「公共空間活用」のススメ
株式会社地域科学研究所の西田です。PUBLIC+では、各地域で公共空間活用のプロデュースや、伴走型によるプロジェクト支援などを行っています。
今回、都市経営プロフェッショナルスクールの開講に合わせて、「公共空間の活用のススメ」と題し、案外知られていない公共空間の活用の基本的なことや、実践プロジェクトの裏側を紹介していきたいと思います。
公共空間活用のススメ、第1回は、「公共空間の使い方」についてお送りします。
そもそも公共空間と一言でいっても、幅があります。
公共施設である駅、学校などはもちろん、道路や公園、広場、空地、山、海、港など、街なかにあるパブリックスペース(公共空間)は、多岐にわたります。活用法ひとつでまちにインパクトをあたえ、大きな変貌を遂げる可能性がある空間です。
日本にある公共資産は総額約570兆といわれ、民間不動産大手事業者よりも多く、自治体単位でみても、一番の不動産王でもあると言えるぐらい資産を持っています。しかし、民間の不動産であれば、賃貸、売買などが不動産事業者により一般に流通しているので馴染みがありますが、公共不動産はあまり身近に流通しているとは言えません。
第1回は、そもそも公共が所有している公共空間≒公共不動産の定義はどのようなものか?から整理していきたいと思います。
「公共」が持っている不動産の定義
地方自治法上の定義
公共空間≒公共不動産を大きく定義すると、行政が所有する土地と建物・工作物等に分けられます。会計上は、物品や、ソフトウェア資産などもありますが。これらの資産は、地方自治法238条第3項、4項で、行政財産と普通財産の2種類に区分されています。
簡単にいうと、行政財産は、住民サービスに直接使うもの、普通財産はその役割が終わった(例えば、廃校など)ものです。
案外知られていない公共空間の使い方
では、この公共空間を使うにはどのような手続きが必要でしょうか?
一般的に行政サービスとして使われている図書館などは無料ですが、公共の体育館や、プール、キャンプ場などは予約手続きをし、使用料を支払います。これは一般的に認識されているところかもしれません。
この手続きをすると分かるのですが、行政の資産は、縦割り管理されています。例えば、教育部門が持つ学校は教育委員会、公園であれば、公園緑地化、スポーツ施設は、スポーツ振興課など所管課といわれる課ごとでの資産管理体制となっています。そのため、所管課ごとに手続きを行う必要があります。
前述した普通財産化した資産は、主に管財課などで、管理されている場合が多く、未利用状態で活用の可能性がある物件も多くあります。
次に、一時的な利用だけではなく、公共不動産自体を賃貸したり、買ったりすることもできます。大枠としての使い方としては、下記のとおりです。
使用料を払って使う(使用方法、料金が設定されています。)
使用許可をもらって使う(イベント、社会実験など行政側と個別の使用条件をすり合わせて使用する仕組み)
賃貸契約する(行政に個別相談をして、契約する仕組み)
買う(入札制度により落札する仕組み)
指定管理事業者として、公共空間を運営する(運営事業者を公募する仕組み)
前述通り、これらの手続きはそれぞれの資産を所有する所管課が窓口となるのが一般的です。普通財産化した土地、建物は民間事業者でも活用が可能なため、賃貸、売却について専用窓口を設けて進めている自治体もあります。
大分県中津市の事例
これから広がる「公共空間の使いかた」の可能性
ここまでが基本的な公共空間の使い方のルールです。
自治体においてはこの公共空間をはじめとする不動産をまちづくりや、行政サービス向上に活かしていこう、という流れがあります。
これを機に、まち(エリア)のビジョンやコンセプトを明確にしつつ、民間事業者が公共空間にサービスを付加させることで、利用者、行政、民間にとって3方良しの公共空間になる可能性があります。
また、いきなり公共空間を買って、事業するのはハードルに感じる事業者さんも多いかと思います。行政と対話を重ねながら事業化していく民間提案制度という仕組みも全国の自治体で、広がってきています。
津山市の民間提案制度
次回からは、様々な公共空間活用の取り組みをしている事例も含めて、「公共空間活用のススメ」として事例をベースに紹介していきます。
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