公共とデザイン
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【試し読み】『クリエイティブデモクラシー「わたし」から社会を変える、ソーシャルイノベーションのはじめかた 』はじめにを公開|公共とデザイン
はじめに「どうせ、何をやっても変わらないのではないか」 2020年のCOVID-19の爆発的流行、気候危機、経済成長の鈍化、少子高齢化……複雑になり続ける社会の問題は、不確実さ・予想のできなさに直結し、それは未来に対する希望の持てなさにもつながって、「投票しても変わらない。制度や行政だけに頼って声をあげても限界がある。暮らしはよくならない」─ そんなどんよりとした空気感の蔓延を肌で感じます。 「でも、社会を変えていくのは行政や国でしょ?」「この状況は政治家がなんとかするべ
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誰もがデザインする世界へ。武蔵野美術大学・岩嵜博論さんにきく、内発性の発露とあいだをつなぐ「メディエーション」から、公共を再編する
今回は、武蔵野美術大学クリエイティブ・イノベーション学科教授の岩嵜博論さんと、公共とデザインの石塚・川地・富樫による対談を行いました。岩嵜さんは、ストラテジックデザインとデザイン理論、マーケティングを横断的かつ実践的に教育の場で試されている方。 ソーシャルイノベーションやコデザインの文脈でも話題にあがる「専門家によるデザイン」から「全ての人がデザインする時代になる」という大きなパラダイムシフトのもと、いかに公共の全体性と個人の創発のバランスの舵取りをしていくか、そこにおける
家の間取りから郷土玩具まで、日常に潜む「ステレオタイプな家族観」を相対化したい|デザイナー・秋山慶太、デザイナー・越出つばさ、建築家・齋藤直紀
ペンギンは同性カップルで、フクロウは養子縁組で子育てする?──越出さんが活動しているアーティスト&デザインデュオ・TAK.STUDIOと、秋山さんが運営するデザインスタジオ・ふしぎデザインは、展示『産まみ(む)めも』に向けて共同で作品を制作しているのですよね? 越出:はい。私たちは『ハリコドモ』という作品をつくっています。同性カップルでも子育てをするというペンギン、自分たちが産んでいないヒナをカップルで育てた事例が報告されているフクロウ、主にオスが子育てすると言われているエ
オープンイノベーションの真髄を小学校の先生から学びましたーー。尾山台リビングラボ・坂倉さんに聞く、ともに変化し未知に向きあう関係・場の創発論
ゲストプロフィール 聞き手・編集:石塚 理華・富樫 重太 執筆:水藤 琴乃 継続して「コトコト煮込む」コミュニティの味噌汁化とは?石塚:今日はインタビューよろしくお願いします。まずお聞きしたいのが、おやまちラボで何かプロジェクトを行う時に、周りに住んでる方や学生は、どのように関わっているんですか。 坂倉:プロジェクトごとにその都度考える感じですね。今年から始まったプロジェクトなので、いろいろなやり方を試しているところです。いわゆるリビングラボの一番素朴なユーザー参加のデ
のび太くんはルールメイキングのモデルとなるか?法学者・稲谷龍彦と批評家・杉田俊介が考える、「弱さ」を包摂するアーキテクチャ設計
わたしたちが「民主主義」という言葉を使うとき、無意識に「強さ」を求めてしまっていないでしょうか? 政治リテラシーを高め、正しい情報を手に入れ、適切な意思決定をする──「投票に行こう」と呼びかける言葉には、そうした主体たることを暗黙のうちに要求する考え方が潜んでいるように思えます。 もちろん、よりよい民主主義の実現に向けて、個々人が妥当な意思決定をできるようリテラシーを高めることは必須です。マイノリティであるがゆえに、「弱い」立場に追いやられてしまっている人々が、「強さ」を