第1回「川柳句会こんとん」に参加しての感想・「川柳の定型って何? どういう効果があるの?」
夏ごろツイッターでみかけた「家具でも分かる暮田真名展」という奇怪な名称の展示にひどく心惹かれてどぎまぎした。その字面を目にしたときは「木製とかの調度品や切子や刺し子とかに稀に見られる『暮田真』という珍しい文様、青海波の親戚みたいなもの?が、あまり知られていないけれども実は身近な家具においても観察することができますよ、と教える名作展示(名展)…?」とあらぬ誤解と誤読。自分の読解をむりやり正当化させて、わけがわからなかったのである。これは「暮田真」の漢字は横書きから縦書きにしたときに線対称できれいだからかもしれないな、とひとりで誰かに言い訳していたのだけれど、現代川柳を読むコードが自分には無いのだなと観念してから川柳が気になるようになった。文学史でもほとんど取り上げられない短詩なのにえらく尖っとるやんけといった塩梅で、川柳との最初の出会いは獅子舞やUFOに背中をどつかれて二の句が継げない感じと相成った。
しばらくして秋ごろには一日が終わって眠るまではとりあえずグーグルやツイッターで川柳を検索して、幾人かの既存の川柳を読んでみたけれども、「『家具でも分かる手品でしょうか』とか一瞬簡単そうって思ったけど絶対できないやつや」と思っているうちに「こんとん」という川柳大会?みたいなコンクール?を家具の人がするというのを知ったのが直接のきっかけで、これはせっかくだしちょっとやってみることにした。初心者の良いところはビギナーズラックが狙える?ことだろうさとおもい、いくつかの方針を立てることに。
①とりあえず16~18音くらいにして575の各句のことは気にしない。川柳と俳句の違いもいまいちわからないし。
②口語で言い切る感じで終わらせる
③情報量の少ない生活感のある緩い感じの句を作る
④情報量の多い生活感のない硬い感じの句を作る
今思えば、①はわりと現代川柳のコードを持っている人にとっては珍しがってもらえる?ことがわかったのがうれしかった。それに「ローリエ」の句の最後、吐息が抜けていく感じが字足らずと内容に上手くはまったのをちゃんと読み取ってもらえて大満足。②はそこまでこだわらなくともいいかな、といった感じ。口語の発話は便利なので毎回一句は使おうかなという感じ。③④の生活感の有無というのが、普通のにんげんの感覚の有無に自分の中ですり替えられるみたいだし、そうでなくとも普通のにんげんの感覚が基準になっているから句の幅を狭めたっぽい。
こんな感じで振り返ってみて、やっぱり川柳の定型というのは単なる音数だけではないみたいと実感できたのはとても大きな収穫で、参加してよかったな。方針①②が川柳定型の様式というか器の側面でまだほかにもあるし、③④が文体とか内容にあたるとこで句の味を決めるとこ。材料はもういっぱいありすぎてどうしようといった感じがする。にんげんだけじゃなくてこれから獅子舞とUFOの言葉も身に着けていけたらいいな。