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公認会計士ってすごいの?ーー意外と知らないその実力のぷちエピソード
導入
公認会計士は「国家三大資格」の一つとされるが、その威厳や価値を実感する機会は案外少ない。少なくとも自分にとっては、資格を取得してからも「これ、本当に三大資格に入るのか?」と疑問を持つことが多かった。今回は、学生時代のちょっと懐かしいエピソードを通じて、公認会計士の威厳(?)について考えてみたい。
国家三大資格って何さ
「公認会計士は国家三大資格のひとつです!」
資格予備校のパンフレットやCMでは、こう謳われていることが多い。「TAC」「資格の大原」「LEC」など、名前を聞いたことがある人も多いだろう。ただ、日常生活で「国家三大資格」という言葉を使う機会はほとんどない。少なくとも自分は、この資格を取ろうと思うまでそんな言葉があることすら知らなかった。
国家三大資格とは、医者、弁護士、公認会計士のこと。文系に絞るなら国家一種公務員、弁護士、公認会計士あたりだろう。これをパンフレットや資格予備校がよく使うのは、公認会計士を目指す人間のやる気を煽るためだと思う。が、正直なところ、この「三大資格」なんて呼ぶのは、公認会計士側だけだろうと思う。
こうした呼称は、ある種の「当事者の主張」みたいなものだ。
例えば、こんな構図を想像してほしい。「国家三大資格!」と胸を張る公認会計士は、MARCHを名乗る法政大学生の仕業だし、もっと広げて「GMARCH」と言うのは学習院大学生の専売特許みたいなものだ。そして、「早慶上理」や「早慶上智ICU」などと言い出す人間に、早稲田や慶応の学生がいるわけがない。そもそも、彼らがそんな括りを気にするわけがない。大体、その枠に収まる上智大学や東京理科大学、国際基督教大学(ICU)の人たちが主張しているに違いない。全部霊感による私見だけど、妙に納得感があるのではないだろうか。
つまり、この「国家三大資格」という呼称も、実態というよりは業界内のプロパガンダみたいなものだ。資格そのものの価値は疑いようがないが、外から見ればそんなに重要なことでもない。
合コンで困る公認会計士の肩書き
だから、資格を取ったからといって、すぐに「自分はすごい」と実感できるわけではない。合コンや飲み会の場で職業を聞かれて「公認会計士です」と答えても、相手の反応は薄いことが多い。特に、業界外の人に説明するのは難しい。「EY」「Deloitte」「KPMG」「PwC」といったグローバルファームの名前なら通じることもあるが、日本での一般名で「新日本有限責任監査法人」や「あずさ監査法人」と伝えても、「え、それ会社名?」みたいな反応が返ってくる。これでは職業トークが盛り上がるわけがない。
異性ウケという観点では、看護師やアパレル業界の人たちと話す中で、公認会計士が話題になることは皆無だ。接点がないのだから当然だ。これは、例えば20代の営業職男性が「ジェルネイルの値段と寿命のコスパ」や「@cosmeの口コミ」を語るのと同じくらい、別世界の話だ。せいぜい、「ジェラートピケの店員さんって、ジェラートピケの服着て接客してくれるから店員さんと同棲気分を味わえるよね」と鼻の下を伸ばすのが関の山だろう。
学生時代のエピソード――300万円の信用を得た瞬間
資格の価値を実感するのは、思いがけない場面だったりする。自分の場合、それは学生時代のクレジットカード作成のときだった。
当時、公認会計士試験(CPA試験)に合格したばかりで、まだ学生だった。内定先の監査法人でインターンのような形で働いていたが、出張が多く、経費の立替えでクレジットカードが限界に近づいていた。そこで新しいカードを作ることにした。
出張帰りの空港でクレジットカードの勧誘を見つけ、「とりあえず作っておこう」と申し込んだ。職業欄には「学生(公認会計士)」、職場欄には「大手監査法人」、前年年収は「100万円未満」と記載した。正確にはまだ公認会計士登録前だったが、資格合格者としての肩書きは使える状態だった。
数日後、届いたカードを見て驚いた。カードはゴールドカード。そして、限度額は「300万円」と書かれていた。当時の学生が持つカードといえば楽天カードや百貨店系が一般的で、限度額はせいぜい20万~50万円。これに比べると300万円という数字は明らかに異例だった。
資格が生む信用
クレジットカードの限度額は、その人の信用力を表している。「クレジット」とはまさに「信用」のことだ。つまり、自分が評価されたというより、資格や職場に対して300万円分の信用が与えられたということだろう。
受験の苦労に比べると、公認会計士を取ったからといってちやほやされる機会は多くない。それでも、このように社会的な信用が形として現れる瞬間があると、資格を取った価値を改めて感じる。
まとめ――結局国家三大資格()の公認会計士ってどうなの
公認会計士は「すごい資格」だとよく言われるが、その威厳を実感する機会は限られている。そして、国家三大資格()という呼称には、多少のプロパガンダやちょっとした皮肉すら含有されているという被害妄想すらある。ただ、クレジットカードのエピソードのように、資格が社会的な信用を生む瞬間は確かに存在する。が、正直その機会は少ないことは間違いない。
一応フォローしておくと、公認会計士は高い専門性を持ちながら、幅広い業界で活躍できる柔軟性を持つ資格だ。医者や弁護士に比べると地味な印象があるかもしれないが、その分多様なキャリアを選べるのが魅力である。
それと、モテや異性ウケの話はあくまで学生や学生延長気分の20代の恋愛市場での話であることを追記しておく。結婚市場では異性ウケはいいし、人気の職業だし、正直かなりモテる。受験生諸君は安心して勉強に勤しんでほしい。