理学療法士が病院内の腰痛予防活動をやってみた!10カ月間の活動報告(中編)
前回の記事では、プロジェクトを立ち上げたまではよかったのですが、チームの意思統一ができずいきなりピンチに。どう切り抜けたかご覧ください。
トップダウン的に
アイデアの集約が思うようにいきませんでしたが、この時点でまだ活動開始予定まで4カ月ぐらいありました。まだ軌道修正はできると思い、何とかメンバーに理解してもらえるような方向性を打ち出す必要がありました。
そこでサイボウズ上で、再度コンセプトを伝え、コンセプトに沿った今後の方向性をなるべく丁寧に語りました。
しかし、これからまた意見を集約して決め事をしていくとなると、途方もない時間がかかってしまいます。
そこでここはトップダウン的に「メンバーを活動内容ごとに班分けをして、その内容もある程度具体的なものを自分の方から示す」ということを思い切って行いました。
メンバーの人数は十分でしたので、頭の中にあった構想をもとに班分けしました。以下が班分けと示した活動指針の詳細です。
評価班
・シンプルな内容で腰痛軽減の効果判定に寄与する評価方法を考える。
・仮に職員に集まってもらい個別評価を行うにしても、誰にでも評価できて、1人5分以内で終わるような評価内容になるようする。(いつ、どこで、どのようにやるか)
・痛みに関するアンケートをつくる。
・腰痛の有無・腰痛の客観的な評価尺度・腰痛に対するメンタルの評価を入れる。
エクササイズ班
・シンプルで効果があり、継続可能な腰痛体操プログラムを作成する。
・場所をとらずできるもの、種目は多くても3種目ぐらいが限界か。個別性を考慮しないでも構わない。体操のデモ動画の作成・配布ができると理想的。
・腰痛体操教室の開催(月1回)月1回・定期的に腰痛を抱えるスタッフに集まってもらって腰痛体操を行う。(いつ、どこで、どのようにやるか)参加しやすい環境づくりがポイントになる。
介助技法班
・腰痛にならない介助方法教室の開催(月1回)月1回・定期的に腰痛予防のための介助技法を伝えられる場を作る。(いつ、どこで、どのようにやるか)参加しやすい環境づくりがポイントになる。
・第1回は寝返り・起き上がりの介助、第2回は立ち上がりの介助、最後は疾患別の応用編などとシリーズ化できるとおもしろい。
・介助している所のデモ動画の作成・配布などもできると理想的。
広報・院内ラウンド班
・広報活動をする。本活動の目的・内容・今後の活動予定・活動報告・腰痛予防コラムなどスタッフに周知できるような掲示物を作成する。リーフレットも作る。(最低月1回の発行を目指す。)
・院内のグループウェアの活用や全体朝礼資料に載せてもらうなど、できるだけ多くのアイデアを絞り出して、様々な手段を用いて活動の宣伝をする計画を練る。
・介護現場の作業環境チェックする。実際に介護を行っている現場をみて、身体的な負担が大きい場面や環境をチェック・評価して現場責任者に伝える。広報活動とリンクさせてもよい。
以上のように、班分けと活動指針を示すことによって、メンバーが目標をもって動き出せるように促しました。
この後は、各班の中でリーダーが中心となって活動内容をブラッシュアップしてもらいました。活動内容が具体化し、実行に移せる段階までにここから2カ月ほどかけています。
その間にリーダーミーティングを開催し、各班のアイデアや活動内容を把握して、各班同士の連携や活動内容の微調整を行っています。
また院内で活動するにあたり病院上層部の許可も事前にもらい、準備を着々と進めていきました。
院内勉強会開催とアンケート(活動開始2カ月前)
そして活動を行う前に腰痛予防活動に対するニーズを把握し、また活動内容を職員に知ってもらうために院内勉強会を開催しました。
ここではまず、以下の事を意識して話しました。
①腰痛に対する基礎的な知識をもってもらうこと
②活動の主旨と内容を知ってもらうこと
③ニーズを把握するアンケートに回答してもらうこと(アンケートはニーズの把握だけではなく、簡単な問診表にもなっています)
そして勉強会終了後、アンケートを各部署に配布し集計した結果、多くの職員が腰痛予防活に参加をしてみたいという結果になりました。
「腰痛予防へのニーズあり!」ということで、いよいよ活動開始の時がきました。
いま振り返るとここまで話を進めてくるのが、一番大変だったような気がします。
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