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脳卒中の再発予防

今回は、脳卒中(脳出血・脳梗塞・くも膜下出血)になられた後、皆様が気になっている再発予防の高血圧についてお話しさせていただきます。

病院での入院生までは毎日
デイサービス・デイケア利用時には毎回
血圧・体温などのバイタルサインを図っていると思いますが、
普段は血圧を測っていますでしょうか。

そして、毎日の同じタイミングで血圧測定していますでしょうか。
この同じタイミングというのがとても大切になってきます。
同じタイミングというのは、
毎日、朝食前とか入浴前などということです。
どうでしょうか。
結構、食事前・食事後、外出前、などバラバラになっていませんでしょうか。
なぜ同じタイミングが大事かというと、
脳卒中になると、自律神経が乱れてしまうため
無意識に自律神経が行なっていることが苦手になってしまいます。
(自律神経は、血圧・脈拍・体温・呼吸などの様々なことをコントロールしています)
そのため、起きてからの時間や気温・室温の変化などのことが少しでも変わると
大きく変化してしまうためです。

そもそも血圧(blood pressure:BP)というのは、
左心室が収縮し、心臓が全身に血圧亜を送り出す時に動脈壁にかかる内圧。
のことを言います。
そして、血圧に影響を及ぼす因子として、
①心臓の収縮力
②末梢血管の抵抗
③動脈血管の血液量
④血液の粘稠度
⑤血管壁の太さと弾力性
などが挙げられます。
簡単にいうと、
心臓が縮む力、血管の抵抗、動脈を流れる血の量、血液のさらさら・どろどろ感、血管の太さと柔らかさ。
が、血圧に影響を及ぼしてくるということです。

①心臓の収縮力
心臓は心筋といわれる筋肉ですので、
適度な運動をすることで心臓のトレーニングができるということです。
いわゆる心臓リハビリテーション(心リハ)
心臓が鍛えられてムキムキになるということではありません。

②末梢血管の抵抗
血管内で起こる、血液の流れへの抵抗ですので、
血管内に何か物質があると、血液流れにくくなるので、
抵抗は増えてしまいます。
血管内の物質というのは、
コレステロールなどのプラークと呼ばれるものになります。
脂質異常症の方はここを気をつけていく必要がありますね。

③動脈血管の血液量
動脈内に流れる血液の量のことですので、
血液の量が多いと血圧が高くなるということになります。
血管の中の血液の量は、
水分量とも関連してきます。
そのため、血液を腎臓で越して、尿に変える機能に問題があると
血圧が上がってしまうということです。
糖尿病の症状として、糖尿病性腎症という言葉があるので、
糖尿病の方は、血液検査の定期検診の際には
この腎機能も気をつけていく必要があります。

④血液の粘稠度
血液自身のさらさら・どろどろ具合といったことです。
血液がどろどろであればどろどろしたものを押し出すためにはたくさんの力が必要になります。
そのため、水を飲むことがポイントになります。
が、③に書いてあるように、腎臓や心臓の機能が低下している場合には水分量というものに気をつけながらの飲水が必要になるため、お医者様とのご相談が必要となってきます。

⑤血管壁の太さと弾力性
血管そのものの厚さとその血管自身の柔らかさということです。
血管そのものの厚さは血管が傷つくことによってかさぶたのようなものができて分厚くなったり、石灰化してしまい分厚くなったりするということです。
動脈硬化と言われている方は血管自身の柔らかさが低下しているということですので気をつける必要があります。

これらが、血圧に影響を及ぼす因子となるわけです。
これらに関してリハビリで提供できることは「運動療法」ということになるわけですが、
ただ闇雲にしっかり運動すれば良い。というわけではありません。
この運動療法については、次の記事で記載させていただきます。

再び血圧の話に戻りますが、
よく、「上が〇〇で、下が〇〇」と聞きます。
では、上ってなんでしょうか。下ってなんでしょうか。
簡単いいうと
上(収縮期血圧:systolic blood pressure:SBP)というのは、
心臓が「ぎゅっ」っと縮んだ時に血を送り出し、その血が大動脈という血管の壁を押し出す時の力のことです。
なので、上が高い人は、血管の壁を押す力が強いということですので、血管そのものに大きな圧力・負荷がかかっているということです。
では、下(拡張期血圧:diastolic blood pressure:DBP)はというと、
心臓に血が戻ってきて、心臓内に血がいっぱい溜まった・心臓が膨らんだ時に大動脈の血管壁に掛かる力となります。
そのため、心臓に血がいっぱい戻ってくると、心臓以外の血管の中の血液は一時的に少なくなるので、血管壁に加わる力は少なくなります。
下の血圧も高い人は、日常的に血管に強い圧力・負荷がかかっているということです。

血圧測定でわかることは他にも、
上と下の差(脈圧)というものがあります。
これは、動脈硬化の指標の1つです。
この脈圧が大きいと動脈硬化が進行している可能性が高く
心筋梗塞や脳卒中を起こしやすいと言えるということです。

病院勤務中の若懸し日はよく、
先輩にリスク管理ちゃんとしよう。血圧注意ね。
などと言われていました。

脳卒中における血圧管理は、
脳出血と脳梗塞では違うんです。
また、脳梗塞でも心原性脳梗塞・アテローム血栓性脳梗塞でも違うんです。
脳出血や脳梗塞(心原性・アテローム血栓性)などのことは、別ブログにて1つずつ書いていますのでそちらをご参照ください。

簡単に振り返りながら、血圧について深めていきますが、
脳出血は、脳の血管が破れて出血するということです。
そのため、血圧が高くなると、血管が破れやすくなるため、
上の血圧が高くなることは避けていきたいです。

脳梗塞は血管が詰まる病気ですので・・・
と簡単に纏めずに、
心原性脳梗塞は、心臓で発生した血の塊が心臓から飛んできて脳の血管で詰まるということです。ということは、予防は、心臓から血の塊が飛ばないようにする。
ですので、心臓から血が押し出される勢いを少なくする。上の血圧が高くなることを避ける。脳出血と一緒ですね。
アテローム血栓性脳梗塞は、血管内にコレステロールなどが溜まり、血管が細くなって、詰まり血が脳の先端まで届かなくなってしまうということです。
そのため、上の血圧が下がりすぎたら、脳への血の供給が少なくなり、詰まる可能性が出てくる。ですので、上の血圧が下がることを気をつけたいです。

日常生活で血圧が上がるようなことは、息を止めてしまうこと。大声を出してしまう。などが上がります。
息が止まってしまいやすい場面は、
・重たいものを持ち上げる。
・硬い蓋を開ける。
・便秘になっていきむ。
などがあると思います。
上に書かれているようなことをするな。ではなく、重たいものを持ち上げるときは、おしゃべりできるくらいの力でできるくらいのものまでにする。硬すぎるものを開けるときは、自助具をつかう。便秘にならないように、食生活に気をつける。水分を取る。など、気をつけることで、大きく変わってきます。
また、様々な場面でトレーニングを自主的にされていたり、訪問リハビリなどで指導されているかと思いますが、この時もいきみすぎには注意してください。

これを読まれた方が、脳卒中になりませんように。そして、脳卒中になられた方であれば、再発しませんように。

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