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足趾・足部機能から姿勢アライメントを紐解く

患者さんを評価する際に必ず診るであろう姿勢アライメントについて、足趾や足部機能からの影響を捉えてアプローチを展開していく流れについてお話しさせていただきます。

普段クリニックにて外来リハビリを行っていますが、評価をすすめる上で患者さんの日常生活に目を向ける必要があります。

日常生活姿勢

症状の原因を捉えていくために、患部に対してどんなメカニカルストレスがかかっているのかを推測していくことが重要となります。
そのため、実際に見て・触れて評価した姿勢や動作などの情報だけでなく日常生活における患者さんの状況も把握することがポイントになると考えています。

その得られた情報と、普段どんな姿勢や動作をする機会が多いのかの情報を擦り合わせて要因について紐解いていきます。

日常生活動作

もちろん問診でも情報収集していきますが、姿勢や動作評価、可動域、筋力、靴底の減り方や足裏の胼胝(タコ)など様々な情報からも日常生活における身体の使い方や状況を推測しアプローチをすすめていきます。

その中でも、運動器疾患の理学療法において姿勢アライメントへの評価・アプローチは、欠かすことのできない必須事項であると思います。

姿勢評価

アライメントとは『身体各部位の相対的位置関係を、矢状面・前額面・横断面の基準線からの逸脱の有無、程度から捉え、構造学的な特徴や安定性などの判断を行う概念』である。
※引用:運動器疾患の理学療法における姿勢へのアプローチ 理学療法 第33巻 第2号

そして、局所的な問題点だけに留まらず、全身的な問題でもある動作の要因を紐解く上で大事な要素の1つです。

アライメントを捉える上で、大きく2つに分けられます。

2つのアライメント
2つのアライメント (2)

その2つ両方のアライメントにおいて重要な機能として、足部の中でも今回フォーカスを当ててお話しする『足趾・足部機能』は、私自身臨床上診ることが多い機能の1つです。

立位・歩行において唯一地面と接しており、身体重心のコントロールを行うために足趾・足部機能は必ず働き機能するべき部位と考えています。

過去の記事でも重心位置との関係性から展開し、それぞれの疾患に対する評価・アプローチについて紹介しているのでぜひ参考にしてみてください!


○静的アライメント

|姿勢分類

姿勢分類ではケンダルの分類が一般的に知られているかと思います。

ケンダルの姿勢分類

これらを部位別に紐解いていくと下記のようになります。

ケンダルの姿勢分類(部位別肢位)

臨床上、患者さんとして来院される方の姿勢において圧倒的に多いのが頭部の前方変位姿勢(Forward Head Posture: FHP)です。そのため、比較的現代においてロードシスに分類される方は少ない印象です。

その理由としてパソコンやスマホなどの使用時間、頻度が増えたことによる姿勢の影響がかなり大きいかと思います。

日常生活でみられる影響

上の写真のような姿勢でのスマホ操作やPC作業をしている人が結構多いですよね?
またデスクワークといってもPC作業をデスクトップPCで行っているのか、それともノートPCなのかでも姿勢は大きく変わってきます。

PC環境による違い

ノートPCでは画面が下になってしまい目線が下がってしまうことが多く、どうしても頚部屈曲位となりやすくなります。そしてデスクトップPC比べてキーボード自体も小さいために肩関節内旋、肩甲骨外転位になりやすいです。

日常生活においてどんな姿勢で過ごしている時間が長いのかを把握することは姿勢アライメントを捉えていく上では大事な情報となります。

基本的には姿勢評価をする際に、頭部位置・骨盤肢位・脊柱の弯曲を確認することで大まかな分類が出来るかと思います。
そこからさらに身体重心位置を推測し、身体のどの部位に負担がかかっているのかをまずは捉えていくことで、その後の局所の評価との繋がりを考えていきます。

今回はその身体重心位置を足趾・足部機能から紐解いていこうかと思います。

|足部における静的アライメント

足部アライメントはLeg Heel Alignmentにて確認することが多いです。

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○動的アライメント

|Knee-in&Toe-out

動的アライメントにおいて、足関節背屈可動性を高めるための代償や足部アライメントの崩れの結果として、生じるエラーパターンで特徴的なのはknee-in&toe-outかと思います。

Knee-in&Toe-outは大きく2つの代償パターンがあります。

KITO足部外転・回内
KITO股関節内転・内旋

特に今回の内容でも触れることが多い足部機能の低下による上行性パターンでの膝に対する代償に対しては、足部からのアプローチで動的アライメントの是正をすすめていきます。単純に膝が内側に入るから股関節外転や外旋筋を鍛えよう!というだけではなかなか修正することが難しいかと思います。

上行性か下行性なのかの判断については、まずフォワードランジ動作などを行なってもらい、その際の足部の向きに注目してみるといいかと思います。上行性パターンの場合は、ほとんどが足部外転した状態で動作を行なってくることが多いです。

どこが引き金となりその現象、動作が生じているかを紐解くことが大切になります。そして動作アライメントの崩れに対しては、局所だけでの介入では改善が難しいことも多々経験します。

○足趾・足部機能

|立位における姿勢戦略

バランス戦略としては足関節戦略と股関節戦略が挙げられます。
そして一歩踏み出してより大きな動揺に対応する足踏み戦略があります。

立位における姿勢戦略

加齢に伴い足関節戦略<股関節戦略での対応が多くなってくると言われています。
その理由として足関節戦略には足関節背屈可動域と足関節底屈筋力が必要であり、それらの機能低下により股関節戦略での代償となるためです。

足関節戦略は股関節戦略より速い運動が可能で,微細な制御が可能とされており大きな重心制御が可能であると考えられています。
特に歩行においては、前方への重心移動の連続であり足趾や足部での前方に対する姿勢制御の貢献度が高くなることは容易に想像できるかと思います。

○臨床推論

|アライメントから展開

61%の高齢者に脊柱後弯姿勢がみられるとも言われており、現代においてはスウェイバック姿勢が多く、上半身重心は後方重心優位の姿勢となることが多い印象です。
そして胸椎後弯が強まることで後方化した重心位置を保つために頭部前方位姿勢が強まっていきます。

上半身重心と下半身重心

身体重心を中間位に保つために上半身・下半身重心をコントロールして姿勢を変化させて保っています。しかし、前述した通りスウェイバック姿勢では骨盤肢位は後傾位が多いものの前傾や中間位のパターンもみられます。

現代においてはスマホやPC作業などの生活姿勢の偏りにより頭部前方位姿勢になってしまうのは共通していますが、それに対して骨盤肢位や下肢の対応に違いがあることが見受けられます。

その骨盤肢位や下肢の対応の違いに影響してくる要素の1つが『足趾・足部機能』です。

仮に足趾・足部機能がしっかり働いているとしたら、静的アライメントにおいて上半身後方重心優位であっても、動作時の前方への重心移動に対して足趾及び足関節機能でしっかりと対応することが可能となり、重心位置を変化させ同一姿勢で留まることなく柔軟に対応ができると考えられます。

しかし足趾及び足関節機能に低下が生じていると、静的・動的どちらにおいても前方への重心移動を抑制するために、常に後方重心位を取る形となり膝や腰部などでの代償をせざるを得ない状況となってしまいます。
それが代償部位へのメカニカルストレスを生じさせることが症状の発生要因となり、痛みを引き起こすことに繋がっていることが多くある印象です。

前方への重心移動に対する代償

その代償動作や姿勢等によって優位に働く部位が限局的になってくることが静的な姿勢アライメント変位の要因の1つになってくると考えています。

そのため、疼痛を引き起こしている局所に対してのアプローチをして痛みが緩和しても、再発してしまうケースは少なからずいると思います。
再発を予防する観点からもやはり全身や姿勢アライメントの評価、アプローチが必要となってきます。

では足趾・足部機能及び全身のアライメントを捉えるための評価方法や全身への波及を狙った足部へのアプローチ方法についてもう少し詳しく解説していきます。

○評価

|静的アライメント評価

全身静的アライメント評価については、前述したケンダルの姿勢分類に基づいて評価します。

骨盤の前後傾に関しては、ASISよりPSISが2〜3横指高い状態を中間位としています。それ以上であれば前傾、未満であれば後傾と判断します。

骨盤前後傾評価

恥骨結節とASISで評価する方法もありますが、なかなか触診が難しいため基本的にはASISとPSISの高さで評価しています。

骨盤前後傾のフォースカップル

また姿勢アライメントにより骨盤前後傾に関わる筋群にアンバランスが生じてきます。

|動的アライメント評価

・前後への重心移動時の反応
立位姿勢から姿勢を維持したまま、足関節のみを動かす形で前後それぞれに重心移動をしてもらいその際の反応や姿勢を確認していきます。

前後への重心移動

その反応から、普段前後方向への重心移動時に働きやすい部位の推定を行なっていきます。今回は前方への重心移動時における代償動作のパターンにフォーカスを当ててさらに解説します。

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