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20年間の病院勤務から考えた~医療職が未来のために今できること
20年以上の病院勤務で感じたこと ~未来に向けた理学療法士の反省点~
私は理学療法士として病院に20年以上勤務してきました。その間、毎日が目まぐるしく過ぎていく環境でした。患者さんを診ることが主な業務で、次から次へと舞い込む仕事をこなすだけで精一杯。自分の得意分野を深めたり、業務の質を高める方法をじっくり考える余裕はほとんどありませんでした。
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確かに、目の前の仕事に集中し、何も考えずに取り組める環境は、ある意味ではプラスかもしれません。しかし、その反面、社会や患者さん、そのご家族がどんなサービスを求めているのか、どうすればより良い方法を提供できるのかを深く考える機会が少なかったのも事実です。
また、新しい事業を提案したり、計画を立てたりする経験もありませんでした。病院勤務では、そうしたスキルを身につける機会自体が少なく、日々の業務に追われる中で、その必要性を感じることすら難しかったのです。
医療業界の未来を見据えて
しかし、今後の日本の人口推移や医療財政の状況を考えると、病院経営はますます厳しい時代を迎えるでしょう。高齢者人口のピークは2040年頃と予測されており、それ以降は減少に転じると言われています。高齢者が減れば、当然、医療機関の対象者も減少します。収入源である医療保険の財政難を考えると、診療報酬が大幅に上がることも期待できません。
こうした背景から、病院経営は新たな収入の柱を模索する必要があります。そして、病院で働く私たち医療職も、「あなたには何ができるのか?」と問われる時代がすぐそこまで来ています。
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現在、多くの医療職は業務の8割を患者さんのケアに費やしていると思います。しかし、これからの時代、自分たちが提供できる価値を明確にし、行動に移していかなければ、医療機関も個人も存続が難しくなる可能性があります。医療・介護保険以外の収入源を病院が確立すること、そして個人としても病院の収入だけに頼らない生き方を模索することが重要です。特に理学療法士は人材不足より供給過多状態です。収入上昇は見込めないと予測できるでしょう。
自分にしかできない価値を見つける
だからこそ、今から「自分が社会に何を提供できるのか」を考える必要があります。相手が求めるものを知り、それを提供するための技術や方法を学び、行動に移す力を身につけるべきです。
忙しさに流されているだけでは、10年後には同じ働き方ができなくなっているかもしれません。
これまでも「やりたいことを見つけることの重要性」について触れてきましたが、ただやりたいだけでは不十分です。社会が求めているものでなければ、それは価値を持ちません。特に、自分のサービスを提供する場合、顧客のニーズや問題を深く理解していなければなりません。
医療分野に従事していると、社会情勢やビジネスの動向、自分の市場価値について考える機会は限られています。しかし、情報収集を怠らず、必要とされることを見極め、自分に何ができるかを考え、行動に移すことは、どんな忙しい日々の中でも可能です。そして、そうした姿勢で働くことは、経営者にとっても大きな価値をもたらすでしょう。
未来に向けた一歩を踏み出そう
これからの時代、医療職が経営面を意識して働くことは必要不可欠です。自分のスキルや経験を見直し、社会に必要とされる価値を提供する力を磨くことが、医療職としての生き方をより豊かにしてくれるはずです。
「忙しいから無理」と思わず、まずは小さな一歩を踏み出してみませんか?その一歩が、未来の自分や医療現場の可能性を広げる大きな力になるはずです。
ここまで読んで頂きありがとうございます。
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