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ジョン・ウィックにさよならは言いたくないけど(多少のネタバレあり)

 9月22日は珍しく花金だったので,この日に公開初日の『ジョン・ウィック:コンセクエンス』を観に行った。今作で4作目にて最終章…ってあれ?3作目,見たっけか?…まぁいいや…,と思って観始めたら,冒頭の数分に前作までのおさらいがありました。ありがとう,安心設計…。
 アクション映画全般好きで,特にカンフー映画が好きだったりする。ジャッキー・チェンの映画はまあまあ見ているし,ここ最近の作品では,今作にも出演しているドニー・イェン主演の『葉問』シリーズの最終章を映画館で鑑賞した(泣いた)。加えて,キアヌ・リーブスは『スピード』でドはまりし,しばらく作品を追っていたことがあった。こりゃ観るしかないね…。
 『ジョン・ウィック』シリーズがいいところは,派手なアクション,「ガン・フー」もさることながら,ジョンがいつでもボロボロなところがいいのだ。病死した妻の死と,妻の忘れ形見の仔犬をロシアンマフィアの下っ端に殺されてしまったという,二重の喪失を抱え続ける,さえない中年男性,だが最強の殺し屋。それなのに,どうしても運命に抗うことができずに,組織から逃れることが許されない…。最終章ということは,これにどう決着をつけるかが,見どころのひとつである。
 今回,わざわざ映画館で鑑賞しようと思ったのは,たまたま日程が合ったのもあったけど,ここ最近のお気に入りであるドニー・イェンが出演すると知ったから,というのが大きい。「ジョンの旧友ながら最強の刺客」という役どころなのだけど,ある「縛り」があることが見どころでもある。確かに,ドニーの身体能力バリ高だから,あれくらいの縛りがないと他の俳優さんと釣り合わないんだなぁ…とか鑑賞中に考えてしまうの,大人の悪い癖…。でもそれが逆に,ドニーの体幹の強さを際立たせていたりして…。
 最終決戦の地は,パリのモンマルトルの丘の上。そこまで,とにかくずーっと戦闘シーンである。最後の最後の,階段のシーンは印象的だ。まるでジョンの人生そのもののよう…。なかなか前に進めない,三歩進んで四歩下がる…手に汗握りまくるシーンの連続。そしてようやくたどり着いた地で,ジョンはどう決着をつけるか。ある意味,予想通りと言えば予想通りなのだけど,見せ方がとてもよかった。
 さっき述べた通り,今回はほぼキアヌとドニーのアクション目当てで観たようなものだが,他のメインキャストもいい味出しまくりだった。特に,グラモン侯爵役のビル・スカルスガルドが,とにかくいい男だった。すげー嫌な奴で,ジョンを追い詰めまくるのだけど,悪ければ悪いほどいい男度が上がる不思議。いい男だから,腹黒さが際立つのか…。とにかく足なげーな…ってずっと思ってた。「侯爵」にふさわしい,品格と風格が漂うイケメンである。
 リナ・サワヤマ演じるアキラの戦闘シーンも圧巻だった。「柔よく剛を制す」を体現しているようなアクション,小柄で細身の女性が大柄の男性を倒していくシーンは見ものだ。でも,バッタバッタ倒していくわけではなく,四苦八苦しながら何とかかんとか切り抜ける感じがいい。大阪コンチネンタルでの戦闘のラストは,個人的には大好物である。
 『ジョン・ウィック』シリーズでは,いくつかお約束がある。今回も鉛筆アクションは健在だ(ちょっとひねりはあったけど)。キアヌ本人が臨むか―アクションシーンももちろんあるし,ジョンが運転する車はいつだってドアが取れてしまう(風通しがいいなー)。決戦前には防弾使用の上質スーツが用意されるし(当然すぐボロボロになる),使い勝手のいい銃も用意される(すぐに違うのに持ち変えることになるけど)。犬を助けたり,助けた犬に助けられたりにも,ニヤニヤしてしまう。
 最終章だから,ジョン・ウィックとはお別れすることになるのだけど,物語は続くのかどうか…。映画館では,最後まで席を立たないことをお勧めする。


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