part4 HSPの幼少期の足りなかった愛着形成と心の傷を癒して前に進む方法
こんにちは。
HSP気質の心理カウンセラーです。
Twitterもブログもほぼしていなかった私が、疾駆八苦しながらnoteを書き出して約3ヶ月が過ぎ…苦手分野にもちょっと慣れてきました。
何よりも3カ月以上前はnoteの存在すら知らなかった私。
この3ヵ月は、発信するよりも多くの記事を読ませていただき・・すごい~。なるほど。うん、うん、その通り、とか。面白くて笑ちゃたり。かなり楽しく学ばせてもらっています。
勉強になることばかり。
時には、辛い体験の気持ちに共感したり。寄付をユニークな方法で集めるすごい発想なども。
様々なnoteの記事に感銘を受けています。
noteのお陰で私の世間はとても広がりました。
みなさまありがとうございます。(この場を借りてお伝えします。)
今後も地道に書きながら、学ぶことを楽しんで行きたいと思っています。
さて、「HSPの幼少期の足りなかった愛着形成と心の傷を癒して前に進む方法」part4はこのシリーズの最終回になります。
part1~part3の連載記事で私たちの愛着に関連した話題を取り上げてきました。
ボウルビィを含め、過去の心理学者が研究した愛着スタイルには4つの型がありました。①安定型愛着 ②回避型愛着 ③不安型愛着 ④無秩序型愛着。
過去の記事では、ご自身がどの愛着スタイルかを探ること。また、パートナーの愛着スタイルを知ることが、互いの円滑なコミュニケーションに役立つかもしれません。
もしかして、こんな経験はありませんか?「あれっ、なんでこんなことで自分はムキになって反応したのかな…。」とか案外自分自身のことって、分からないことありますよね。
それも愛着が関係しています。
ご興味があればぜひpart2とpart3をご参照ください。
日本の愛着治療の先駆者
愛着障害の治療で有名な岡田尊司先生は、大阪府枚方市で心療内科をされています。
クリニックの特徴は、患者の症状だけを診るのではなく、そのベースにある発達課題や認知、パーソナリティの特性、愛着スタイルを視野に入れた治療を行っておられます。
また、不登校や引きこもりの支援にも力をいれておられるそうです。
余談ですが、うちの息子も二十歳を過ぎてから2年ほど引きこもりニートになりました。やはりこれも、愛着の不安定さが関係しています。
当時やせ細った我が子を、一人暮らしから呼び戻して必死に育てなおしました。
ある日、昼夜逆転してネットゲーに夢中だった息子が「専門学校に行こうかと思ってる。」と言って、自分で調べた学校案内を見せて私を驚かせました。
そして、卒業後にI T関連会社に就職も決まり。自信を取り戻した息子の笑顔を思い出します。
しばらくすると…また私の元から巣立って行きました。
こんな親でも、微力ながら息子の安全基地の役割を果たせたのだと感じています。
本日は、私の愛読書でもある岡田先生の書籍を中心に、愛着の安定と愛着障害の改善方法を洞察していきたいと思います。
不安定な愛着を改善する愛着アプローチ法
①本人にカウンセラーなどが安全基地を提供するアプローチ
(愛着安定化アプローチ)
②親やパートナーなど本人の支え手である人をサポートしたりトレーニングしたりして、本来の安全基地(親)を高めるアプローチ
③本人が自ら振り返る力や共感力を鍛え、一つの視点にとらわれないスキルを身に付けるトレーニング
④日々の日程に取り組み、主体的な自己決定の力や行動力、向社会性の能力を高めるトレーニング
①②は、問題意識を持たないご本人、あるいは子どものケースでも用いることができます。③④は、ある程度自分で問題意識をもち自己改善に取り組みたい意欲を持つ人が行います。
親が安全基地になれない場合は①のようにカウンセラーや医師に安全基地となってもらいます。
だけど、①を活用しながら親も安全基地となるなら、愛着トラウマの早い回復と安定を期待することができます。
愛着障害は、家庭環境の要因で社会性が身についていないことも往々にしてあります。
日々の生活のリズムや社会性を身に付ける訓練は親やカウンセラーの指導が必要でしょう。
その為に、正しい支援を受けられるよう一時的であっても心理の専門家の支えを受けることをお奨めします。
例えば、各都道府県には精神保健福祉センター内に「こころの相談」の窓口があります。参考までに東京都を下記に添付します。
そこでは、運営時間内に電話が繋がり次第その場で無料の相談ができます。もし。ご希望があればクリニックもご紹介してくださいます。
また、対面相談は電話予約後に無料で相談可能です。こうした公共の相談員も有資格者ですので、相性が合えば安全基地として活用することも可能です。
面白いことに、安全基地は人間以外でも大丈夫です。
私達のどんなネガティブな感情も悲惨な話も黙って包み込んで聴いてくれる存在なら、個人的に安全基地は人間でなくても可能だと思います。
私はクリスチャンなので現在は神様を安全基地にしていますが。仏教徒の方は、仏様なども安全基地になることでしょう。
友人は亡くなった祖母を思い出すと、とても安心すると言っていました。
当然ですが、赤ちゃんには両親が安全基地となることが求められます。
私の息子のように、大人になってから安全基地が身近に必要になる人もいます。
では、私たちが誰かの安全基地になる為には、どんな特質が求められるでしょうか。
安全基地の4つの条件
①相手の安全を脅かさない
②共感的応答をする
③秩序性を保つ
④振り返る力と相手の立場で考える力
では、この4つの条件の詳細を一つづつ見ていきましょう。
①相手の安全を脅かさないとは
安全基地の役割は、その人にとっての安心感の拠り所となり決して本人の安全感を脅かさないこと。
本人が傷ついて避難所を必要としている時に、批判や評価や過剰反応することなくありのままの状態を受け入れることです。
愛着障害は、何度も同じ過ちを繰り返したり、感情的になって暴言を吐いたりすることもあります。
安全基地となる人は、それを攻撃と受け取ることをせず冷静に対応する必要があります。
もしも、本人が失敗をした時に、自分の成功体験や価値観が正しいと押し付けたり説教するなら、相手はうっとうしく思い心を閉ざすかも知れません。
どんなに動機は良くてもこれでは相手の安全感を奪ってしまいます。
私は話せば分かってくれると思い、子ども達に懇々と説教をしたことを反省と共に思い出します。
たとえ回り道に見えても、本人が決めて実行することが一番早い回復の近道になるということを多くの経験で学びました。
それは、子どもの年齢に関係なく自主性を育むために自己決定をさせ、安全基地はそれを支持し見守ることが求められます。
②共感的応答をするとは
相手の求めているものを感じ取って相応しい反応で応えること。
赤ちゃんの頃は、注意深く見守りながら泣き声をあげたら声や表情からお腹をすかしているのか、喉が渇いているのか抱っこして欲しくて甘えているのか。
何か苦痛や恐怖を感じているのか読み取って状況に合わせた対応をします。
大人に対しても同様に、こちらの一方的な関わりではなく相手の反応を見ながら共感的にやり取りをしていくことが求められます。
また、十代の子どもをもつ親は世代のギャプもあり、今の若者の価値観に共感するのが難しい場合もあります。
たとえば、未成年の子どもが何かのことで親の承諾をもらいたいと相談してきたときに、そんな危険なことは駄目だと早々に否定するなら、子どもはそれ以降二度と親に相談ごとをすることがないでしょう。
そんな時こそ、子どもの興味や関心に共感を示しながら親子で話し合い、双方が納得できる道を見いだせるなら安全基地としての親の役割は果たせます。
支援側の体調が優れない時は、相手に不安や見捨てられ感を抱かせない為に、「今日はちょっと体調が良くなくて‥‥ごめんね。」といつものような応答ができない理由を伝える配慮もできます。
③秩序性を保つとは
揺るぎない秩序を与える存在であることが必要です。
子どもが危険なことをしようとした場合に、すかさず止めに入ったり声を出して制すること。
外敵や危険から守り安定した生活を過ごす中で子どもは安全で快適に過ごす術を学べます。
生活の秩序を保つ為には、安全基地となる人自身の情緒が安定していて一貫性が求められます。
親の感情の揺れで子どもを叱りつけたり甘やかしたり兄弟間で差別的な接し方をしません。
また、穏やかに見守る安全基地は、目先の安全だけではなく将来的な福祉を考慮して対応する必要も生じます。
たとえばですが、覚せい剤に依存している我が子が逮捕された際、何人も弁護士をつけて無罪を勝ち取るよりも、本人に責任を取らせることが本人の立ち直りに必要なら一時の辛さを忍んでそうするでしょう。
安全基地には、そのような揺るぎない強さも求められます。
④振り返る力と相手の立場で考える力とは
安全基地となるためには、自分を振り返りつつ相手の気持ちを考えた共感力が求められます。
自分を客観的に振り返り自己反省できる人は、メタ認知力が高い人です。
また、自分の視点を離れて相手の気持ちになって考えられる人は、メンタライゼーション能力(リフレクティブ・ファンクション)が高い人です。
この能力は、part2で安定型愛着の特徴として取り上げました。
愛着の安定化には、愛着の面だけでなく認知的な面での働きかけが必要になります。
この認知的な面の働きかけの中核が、自らを振り返り接する相手の思いを汲むことなのです。
それを育むためには、実際に身近でその手本を見せてもらいその存在から自分を大切にされることを身をもって味わうことも必要です。
本人がメタ認知力やメンタライゼーション能力を培い始めたら、これまでのように周囲の些細な言動に傷つき落ち込んだりイライラしてキレることも少なくなっていきます。
安全基地となる人は、振り返る力や相手の立場に立って考える力を発揮して接する必要があります。
それは、多大な忍耐力も求められることでしょう。
家庭環境の要因ですが、自分の視点でしか物事を見れない親は子どもとの感情のズレが起きても、それがどうしてなのか分かりません。
そのような場合は、相手の気持ちを汲み取り、共感しつつ、少し視点を変えて物事を見る認知トレーニングを積んでいく必要があります。
例えば、やり取りの最中に相手の顔の表情はどんな気持ちが表れているのか。「このことで本当はどう感じているのだろう。」少し時間をとって振り返る練習をするのも良いことです。
これは愛着安定のための重要な鍵なので、可能なら支援者が専門家の援助のもとでトレーニングをするなら早い習得も期待できるでしょう。
愛着アプローチ以外のこころの回復方法
①自分の思いを書く
②子どもや孫を可愛がる
③遣り甲斐のある仕事や趣味
①自分の思いを書くこと
本心を誰にも言えない場合、自分の気持ちを日記やブログにありのまま書くことをお奨めします。
文章で感情表現をすることで、抱えている悲しさや苦しさを吐き出すことで負の感情を消化するカタルシス効果があります。
心の深い傷は、泣きながらでもありのまま書いて後にその紙を燃やすこともすっきりします。
そして書くことは、自分の感情や状況を客観的に見る練習にもなります。自分を客観視できれば、衝動的な負の感情や苦しい落ち込みから抜け出せます。
もちろんこの手法は、抱える傷の大きさによって効果や回復の期間も異なります。
だけど、苦しい時のセルフセラピーとしてお勧めです。
②子どもや孫を可愛がること
子育ては、困難を伴う面も大きいですが子どもに愛情を注ぐことで抱えている愛着の傷を癒すことができます。
自分の子どもは可愛がれなかった人が、孫を可愛がり変化した例もあります。
子どもとのスキンシップで愛情の絆をゆっくり育んでゆくことは、幼少期の寂しさや満たされなかった気持ちの克服につながることがあります。
③遣り甲斐のある仕事や趣味
自分が誰かの役に立っていると感じること。喜びや励みを得られる仕事またはボランティア活動は愛着障害の寂しい心を満たし、失っていた自信を回復するのに役立ちます。
たとえ仕事がつまらなくても、生き甲斐となる健全な趣味があれば生活の楽しみや喜び、また明日への励みになるでしょう。
趣味がないという人ほどストレス耐性が低いく落ち込みやすいと感じますから、気持ちをリラックスさせたり心躍る趣味は愛着の回復にも大いに貢献するでしょう。
振り返り
本日は、愛着障害の克服方法の4つの愛着アプローチ法について言及しました。4つ思い出せますか?
まとめると、4つの条件を備えた親とカウンセラーが本人の安全基地になること。
相手の立場で考えて共感することを模範で示してあげることです。
また、それ以外に3つの方法がありました。
文章を書いて思いを吐き出すこと。
家族との交流や自分の楽しみや遣り甲斐をもつこと。
このように、その気になれば私たちは数多くの安全基地を持つことができます。
複雑なストレス社会の現代、厳しい養育環境で両親に恵まれない子ども達も多くいます。
その子供たちが成長すると深い心の問題を抱えます。
ですが、どんな問題も解決に向けて一歩踏み出せば。
そこから変化していきます。
そのようにして…必要とする全ての人がご自分の安全基地をもち穏やかな生活がでることを心より願っています。
(参考文献 愛着障害 愛着障害の克服 愛着アプローチ)
愛着障害に付随するご相談があれば、こちらnoteか「こころの相談すずらん」にお気軽にご連絡ください。
本日も長文にお付き合いくださりありがとうございました。