学習性無力感(learned helplessness)
学習性無力感(learned helplessness)
うつ病とも大きく関連
〇 学習性無力感とは、自分の力で対処不可能な体験を数多く重ねることによって、行動への動機づけが失われること。セリグマン(Seligman,M.E.)は、電気ショックから逃れられない環境に長く居続けたイヌが、回避可能な環境になっても電気ショックを回避しようとしないことを報告した。イヌは自分にはショックを止めることができず、無力であることを学習したと考えられる。
無力感や無気力は生得的なものではなく、学習によって獲得される。無力感や無気力といった望ましくない行動や態度も学習される。
〇 シェイピング(shaping)とは、達成することが困難な課題について、課題を細かく区切り(スモールステップ)、順に強化していくことで困難な課題の達成に近づいていく方法。オペラント条件づけを活用したもの。
〇 学習の転移(transfer of learning)とは、前の学習が後の学習に影響を及ぼすこと。後の学習を促進する場合は、正の転移(positive transfer)、後の学習を抑制する場合は負の転移(negative transfer)という。
〇 高原現象(plateau phenomenon)とは、施行を継続しているにも関わらず、学習の成果が上がらず一時的に停滞すること。意味のない言葉を学習するときや運動技能を学習するときに生じやすい。学習性無力感につながるおそれもある。
〇 ストックホルム・シンドローム(Stockholm syndrome)とは、人質になった被害者が犯人に対して精神的に強い絆を感じる症状。被害者は行動や心理をコントロールされ続けることで、しだいに無力感をいだくようになる。さらに犯人と人質が閉鎖的空間で長時間にわたり非日常体験を共有したことによる、高いレベルでの共感や同情とも解釈される。