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【短編ホラーミステリー】「善」の美女と「悪」の美女

短編小説:「善」の美女と「悪」の美女 (5〜7分で読めます)

エピローグ:誰もが心惹かれる美女


ここに2人の美女がいます。どちらも生首を持っており、あなたは少しぎょっとしたことでしょう。。
この2人、同じく美貌を持っていますが、1人は「善」、1人は「悪」の美女なのです。
ヒントは必ず、絵の中にあります。どちらが「善」の美女かきちんと見分けることが、あなたにはできるでしょうか。。

第一章:奇妙な男


雨がしとしとと降り続ける夜、私は仕事を終えた帰り道を歩いていました。霧が立ち込め、視界が悪い。。街灯も薄暗く、ほとんど機能していないように感じました。

突然、私の横に車が停まり、窓が開く音がしたんです。中から見知らぬ男が顔を出しました。

男「おい、こんな雨の中歩いてるのか?送ってやろうか?」

親切そうな声で話しかけられました。私は、こんな濡れてるのに乗せてくれるなんて親切な人がいるんだなぁ、車濡れちゃうのになぁ、なんて、そんなことを思いました。しかし、すぐに私は、警戒心が出てきたんです。だって知らない人の車に乗るなんて、ダメなことのはず。。

私「いえ、大丈夫です。近いので。」

ですが、男は引き下がってくれませんでした。

男「遠慮するなよ、雨も強くなってきたし。」

その瞬間、男が車から降りようとしました。





男は窓から手を出してドアを外側から開けた。。。






この一瞬で私の不安は確信へと変わりました。






この状況で何人の人が、分かるでしょうか。

これは何を意味しているかというと、
内側からは降りられないようにする誘拐用の細工を施しているということなんです。

「やばい、これは誘拐だ。」たまたま知ってた映画の知識でそう確信した私は、急いでその場から逃げ出しました。背後で男が何か叫んでいましたが、私は振り返らずに走り続けました。


第二章:梨川さんの誘い


翌日、私は友人の梨川さんに昨夜の出来事を話しました。

梨川「それは危なかったですね、気づいて逃げられてよかったです。。」

私「でも、あの男のことが気になって。何か怪しいことを企んでいるに違いないです。」

梨川「実は、最近怪しい男がうろちょろしてるって噂を聞いたことがあるんです。何かを探してるようだって、特に雨の日には現れるらしいんです。。」

私「危険ですね」

梨川「何が目的かこっちがつけて見てみますか?」

本当はお互い怖いという気持ちが強かったのですが、我々の正義心と好奇心のせいで、少々調べてみることになりました。

第三章:骸骨との遭遇


雨の夜、私たちは梨川さんの車に乗りガソリンスタンドの近くにいました。
あの男は車で移動するでしょうから、ガソリンを入れにくるかもしれないし。。前回遭遇したのもここの近くだから、単純にこの道を通るかもしれないし。。

今日もあの日のように、霧も出ていて視界が悪い日でした。

私「あっあの車だ!」

嫌でも憶えている・・あの大きな黒い車。あの窓から手を出してドアを開けてたんだ。。

こちらには気づかなかったようで、少し間を開けて我々も後を追ってついて行きました。


着いたのは、古い洞窟でした。男はどこに行ったのか、姿が見えません。


洞窟は荒れ果て、長い間放置されていたようでした。内部に足を踏み入れると、冷たい空気が肌を刺します。

私「本当にここで何かが起こってるんですかね?」

梨川「待って、見てください!」
指差した先に、骸骨が転がっていました。

私「これは……一体何が……?」

梨川「何かが起こってるのは確かです。今日はここまでにして、一旦警察に相談しましょう」

第四章:「善」の美女と「悪」の美女


明くる日、我々は警察と共に再度洞窟に訪れていました。

そして、その骸骨の近くには、二つの分かれ道があったんです。一つの道には皿のシンボルが、もう一つの道には剣のシンボルが描かれていました。

私「梨川さん、なんか描いてるようですけど、どうしたらいいんですかね?」

梨川「うーん、、これは……サロメとユーディトの暗喩ですかね。」

私「サロメとユーディト、、ってなんのことでしたっけ?」

梨川「2人の美女です。宗教画というのは、綺麗なものだけじゃなく、意外と血まみれのものが描かれることも多いんです。特に好まれた題材が、生首を持つ美女でして。グロテスクなものが綺麗なものを強調するんですかね?ボッティチェリやクリムトなんかも描いてます。」

私「はぁ。。」

梨川「一方は皿を持つサロメ、一方は剣を持つユーディト、「善」の美女か「悪」の美女か持ってるもので見分けるんですが、どちらが「善」だと思いますか?」

私「剣を持っているっていうことは、絶対殺した本人でしょ、、?皿の方が良い気がします」

梨川「なるほど、でも違うんです。皿を持つサロメはイエスに洗礼を施した預言者ヨハネの首を求めた女性で。宴会の席で美しいダンスを披露したサロメは、ヘロデ王にお礼に欲しいものはなんでもやると言われます。そこで、ヨハネの首を皿に乗せて欲しいと所望した悪女がサロメなんです。」

私「確かに、皿の上ってどんな趣味、、」

梨川「一方ユーディトは敵将のオロフェルネスを祖国を救うために斬った勇敢な女性として知られています。剣は今でも正義や法を意味しますよね。つまり剣は「善」の象徴なんです。」

私「つまり、「善」の美女は、剣を持つ方、、剣の道を進みましょうか。。」

第四章:男との再会


剣のシンボルの道を進み、我々は奥にたどり着きました。

そこには、何か古い絵や字が描かれており、祭壇のようなものがありました。
そこで私たちは、男が何かの異教の信者だと気づきました。そんな時、先ほどの分かれ道の皿の方を探索していた方の警察たちから、中に骸骨が複数見つかったと報告されました。
何かの儀式に使う部屋だったのだろうか。。


梨川「そろそろ我々の出番はここまでにして、後は警察に任せましょうか。」

私「そうですね。ここまでですね」

我々はそうだそうだと言いながら、素早い足取りで帰路に着きました。
危ない目にあっちゃあ、しょうがないですからね。。


後から聞くと、やはりあの男は邪教徒で、儀式に使う生贄を探していたらしいです。
あの骸骨は古いもので、彼はまだ何もしてなかったのが、まだ救いです。


剣のシンボルの道を進み、我々は奥にたどり着きました。

そこには、何か古い絵や字が描かれており、祭壇のようなものがありました。
そこで私たちは、男が何かの異教の信者だと気づきました。そんな時、先ほどの分かれ道の皿の方を探索していた方の警察たちから、中に骸骨が複数見つかったと報告されました。
何かの儀式に使う部屋だったのだろうか。。


梨川「そろそろ我々の出番はここまでにして、後は警察に任せましょうか。」

私「そうですね。ここまでですね」

我々はそうだそうだと言いながら、素早い足取りで帰路に着きました。
危ない目にあっちゃあ、しょうがないですからね。。


後から聞くと、やはりあの男は邪教徒で、儀式に使う生贄を探していたらしいです。
あの骸骨は古いもので、彼はまだ何もしてなかったのが、まだ救いです。


エピローグ

私「サロメとユーディト、どちらも美しいのに、善悪正反対の存在なんですね。」

梨川「そうですね、でも正義だって味方や立場が変われば、正義じゃなくなります。あの男もきっと自分の中では自分が正義。他の者は悪として皿の道を行かせたのでしょう、」

私「うーん、善と悪、、とにかく何か、美女と異常に親切な人には気をつけろってことですね。。」



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