【記憶】香りで蘇る思い出
ちょうど一昨日、塾でプリントアウトをしようと思ってコピー機に向かっている時、ある一人の生徒の後ろを通ったんだ。
その子がつけている香水が海外の人が好んで使うような香りの香水で、イギリスにいた頃に仲が良かった友達と全く同じ香りがしたんだ。
その時、僕はふと懐かしい感じがした。
イギリスにいた時の情景が頭の中に浮かんだんだ。
香りは記憶と非常に強く関係している。それは香りを処理する脳の部位に記憶を司る扁桃体などの部位も含まれているからだそうだ。
過去に一度嗅いだことのある香り、そしてその時感じた感情などが一緒に記憶として保存されるんだ。
だから、当時の話を聞いても思い出せないのに、その時によく嗅いでいた香りを嗅ぐと鮮明にその時の情景や自分自身の感情が思い出されるんだ。
また、別のある日、未知ですれ違った人から、僕が高校生の時に付き合っていた彼女の香水と同じ香りがしたんだ。
久しぶりに彼女のことを思い出した気がして懐かしくなった。
まぁ、その子とはあまり良い別れ方じゃなかったから、複雑な気持ちにはなったけども。
だから、もし誰かに自分のことを覚えてもらいたいのであれば、香りで印象づけをするのは非常に効果的だと言われているよね。
例えば、初デートで気になる異性へのプレゼントは香りのあるものにすると良いとか。
なぜなら、その香りを嗅ぐたびにその人は自分のことを思い出すだろうから。
他にも、香水や柔軟剤など、自分の身に纏う香りはなるべく変えない方が良いと言われる。その理由も同じで、同じ香りの方が印象付きやすいからだ。
特に、そこまで独特な香りじゃなければ、あなたがいないところでもあなたと似た香りの人を見つけると、相手の脳裏にはあなたが現れるはずだ。
そして、面白いのは、ただ香りとその場面の状況的な記憶だけが保存されるわけじゃないってことだ。
香りと一緒にその時の感情や感覚まで一緒に保存されるんだ。
細かい感情まではもしかしたら思い出せないかもしれないけれど、快か不快かくらいは思い出すことができる。
安心感や恐怖心、不安感など、ざっくりとその時感じていた記憶を蘇らせてくれるのが香りなんだ。
また、記憶に止まらずなんだけど、香りが人の心理に与える影響は、昨今盛んに研究がなされている。
例えば、アロマセラピーのように、香りによってリラックス効果があったり、エネルギーを与えてくれる香りもあるようだ。
家やオフィスに好みの香りのディヒューザーやアロマを置くことで、気分に合わせて集中力を高めたり、想像力を膨らませることができる。
もしくは、先ほども言ったように、香りは感情と強く結びついて記憶に保存される。
なので、懐かしい香りを嗅ぐことでその時の安心感に包まれることができるかもしれない。
でも、大切なことはどのようにしてそれぞれの香りやその知識を活用するかということだよね。
最もシンプルでオーソドックスなやり方としては、特定の香りと自分の状態を条件付けする方法だ。
条件付けが分からない人は『古典的条件付け』とかで調べてみてね。おそらく、パブロフの犬とかリトルアルバートなどの実験が最初に出てくるんじゃないかな。
どうやって条件付けするかっていうと、例えば、あなたが1日のうちで最もリラックスしている場面を思い出してほしい。
例えば、お風呂に入っている時だったらそれにしよう。
次からお風呂に入る時、例えば、ラベンダーの香りのキャンドルを炊いてみたり、入浴剤を入れてみたりするんだ。
すると、ラベンダーの香りがあなたのリラックスした状態の気持ちとともに記憶され、ラベンダーの香り自体にリラックス効果が生まれるんだ。
そうやって条件付けすることで、例えば緊張している時などに、いちいちお風呂には入れないとしても、ラベンダーの香りを嗅ぐと少しリラックスできるようになるんだよね。
別にお風呂じゃなくてもいいよ。
僕なんかは、家のトイレが結構落ち着くんだよ。
だから、たまに長居しちゃう時があるんだけど、トイレで座ってる時がなんか落ち着くんだよね。
だから、僕の場合はトイレに好きな香りを置けば良いってことだ。
そうすることで、その香り自体が僕にリラックス効果をもたらしてくれるようになる。
他にも、例えば、あなたが1日の中や仕事中などに最も集中しているタイミング、そのタイミングで何か特定の香りを置いておくと、その香りと集中している自身の状態が条件付けされて、その香りを嗅ぐことで集中力を高めることができる。
そんな感じで、自分自身のその時その時の状態に合わせて特定の香りをセットで置いておくんだ。
そうすることでその香りがそのあなたの状態を作り出すトリガーになってくれる。
それは紛れもなく、香りが記憶と強く結びついているからこそできることなんじゃないかと思うんだ。
もし、他にも香りと記憶の強い関係性の活かし方があると言う人はぜひ教えてください。
香りで蘇る思い出。
最後まで読んでいただきありがとうございました。