PSWの心構え(役割と線引き)1 某病院のPSWマニュアルの前書きから
【この病院は多岐にわたった業務がPSWに要求される病院のものです】
PSWの定着を勧めるためにマニュアルを作成した。PSWはスピードを要する。電話を2回コール以内に取る、病棟に呼ばれたらすぐに行く、書類は明日に残さないなどが基本である。この能力が身に着くと生活でも料理を作りながら洗い物が同時にできたり、自分に請求が来てもすぐに対応するようになるので滞納や無駄な遅延損害金を払わないですむ人間になれる。仕事はしないと溜まる一方になる。テトリスのブロックのようなものである。
迅速さは医師や他のスタッフからも求められる。自分が迅速に対応すれば周りもついてきてくれる。そこでスピードと正確さが大事になる。
ここ15年でいくつもの精神科を有する病院が倒産、診療所だけになる、大型医療法人に吸収されるといった事態が全国で起こっている。PSWは「患者様の処遇のため」という意識が強く、病院経営の一端を担っていることに気が付かない。そんなことを言うと反発してくるPSWも多い。しかし、よく考えてみよう。あなたの給与は診療報酬から出ているのであり、きれいな「処遇」「社会参加」「地域の社会資源をつくる」を最優先にしていて診療報酬につながるのか?現状、訪問看護、必置のデイケアや病院設置基準、入院精神療法などの加算くらいしかない。それで十分な給与といっても「給料泥棒」といってもいいだろう。ワーカーは貢献できるのは入退院の促進による病棟の回転率を上げることが不可欠である。
私がこんな主張をして就職活動をしていたときに「ふふふ・・・君は医療経済学だよ」といった某病院の副院長。この病院はある疾患の集団感染を起こしたのをきっかけに経営が傾いて大手医療法人グループに吸収された。長期入院をOKとし、生活保護の日常生活品費を満額まで徴収していた山奥の精神科を有する病院も経営陣と後から名乗りを上げた経営側が対立して泥沼になった。人権団体から目をつけられた病院も改善をしなかったため大手医療法人に買収された。これはごく一部。共通していえるのはPSWが問題意識をもっていなかったこと。問題意識を持っている医師は転職してしまったことなどである。PSWは経営の一端を担っているのだ。「給料泥棒PSW」はもう要らない時代が来ている。そういった感覚のPSWはデイケアにいっても患者様を集めないので経営逼迫に貢献するだけである。
私は「銭ゲバになれ」といっているのではない。大事なことは患者様である。患者様に良い処遇をするにもお金はかかる。最初からお金をかけることはできない。地域医療の歴史に出てくる今井澄医師は倒産寸前の諏訪中央病院に赴任した。数年で大黒字の病院にした。今井医師は「私は赤字を解消しようとしたんではないです。ただただ患者様のためにがんばったら収入があとからついてきたのです。私には商才はありません」とおっしゃっていた。
病床充足ができないのはコロナの影響もあっただろう。しかし、その時々に何をしていたのだろうか?何もしていなかったので現状の充足率になったのといっても過言ではない。過去を振り返って責任問題を追及するよりもこれからどうしていくかである。そんな思いで、新任者が困らないように早く1人前にこの病院のスーパーワーカーになってもらえるように願いを込めて作成した。
Save your complex! 固定観念を打ち壊せ
SympathyよりEmpathy
これを教訓にがんばっていただきたい。