社員食堂とはなにか?と未来のふつうの社員食堂
こんにちは、今回は株式会社社員食堂CEOで栄養士で元楽天株式会社の社員食堂ディレクターのたかはしかよことして記事を書かせていただきます。
今日みかけたこのニュース!ヤフーさんの社食に「揚げ物税」が導入されて揚げ物が値上げ・魚料理が値下げというお話です。利用者の摂取カロリーを抑えることが目的のようです。
一瞬虚構新聞か?と思ってしまいました。
こんなふうに「社員の健康増進のため」と謳われて発信されているのはさすがヤフーさん!と思いました。
少し前までの社員食堂に求められる要件は「安くて早くてお腹いっぱいになる」でしたが、時代の変化とともに社員食堂に求められる役割は変わってきています。この発信は社員食堂のあり方を問うターニングポイントになるなと思いました。
1. 食事はメディア
私は社員食堂は会社が社員に向けて発信するメディアと捉えています。
揚げ物コテコテのしょっぱくてハイカロリーな食事を社員食堂で出されたらみなさんどう感じますか? 腹一杯になればどうでもいいんじゃない?というメッセージを案外ちゃんと受け取るんですよね。
逆に社員の健康に配慮された食事って意外と一瞬で判断できるんです「この食事、自分のこと考えてくれている!」って。
なので、せっかく社員食堂をもうけるのであれば「社員にどういうメッセージを伝えたいか」のコンセプトをまずは固めることがとても大事だと私は考えています。そういう意味でヤフーさんが「社員の健康に配慮したい」というメッセージの発信はよいなと思いました。
2. コンセプトをどう実装していくか?
健康に配慮したいというメッセージの先に、では具体的にどうしていくか?ここがまだまだ課題があるなと感じています。
先に結論をお伝えすると、食のバランスにおいて必要な食品しっかり摂ってもらうことに注力するとよくって、働く人が圧倒的に不足する1日に必要な野菜350gが確保できる環境整備が優先するといいよというのがご提案です。
人は食事をするにあたって「胃袋を満たすこと」と「栄養のバランスを満たすこと」の2つの要件があります。
みなさん薄々気がついていると思います、が。栄養のバランスが満たされないと胃袋はいっぱいなのに不足感を感じます。食べても食べても満たされない。
どかーんとハイカロリーで満たしたいという欲求の裏側には、実は足りてない栄養が潜んでいるんですね。
楽天の社員食堂においては「お腹いっぱい食べても太らない食堂」と言ってもらっていました。
楽天の社員食堂のコンセプトは「一日に必要な食品をここで全部選べる」ための環境をご用意していました。この一見当たり前そうな環境は実はそうそうありません。外食ではなかなかとれない「野菜、芋、豆」を必ず十分に用意してもらいました。
昼食は無料(現在は、朝・夜も無料)でしたが、メインの料理を一品に、汁物、野菜・いも・豆類の小鉢かデリを自由に盛れる2皿が支給され、利用者はそれぞれに山盛りの野菜を摂取していました。
また、小鉢には揚げ物と動物性タンパク質を出さないことも注意していました。
摂るべきものをしっかり摂ってもらうことこそが重要で、その分には揚げ物を摂ったってかまわないんです。だいじなのはバランスですね。
当初はみんな野菜とってくれるかなあ?と心配していましたが、肉も食べるけど野菜もしっかり摂る食生活になっていました。
自由に食べたら栄養のバランス崩れると思われがちなんですが、本当の意味で自由に選べる環境さえ整えればあんがいちゃんとそれぞれ主体的に自分がちょうどいい食事バランスって見つけていくという確証をこの現場で得ました。
3. 社員食堂1.0
かつての社員食堂は、利用する社員はそれぞれに帰る家があり奥さんか寮母さんがいて食事の世話をしてくれる、食生活の管理をしてくれる人がいる前提で組み立てられたテンポラリの場所でした。これを社員食堂1.0と私は呼んでいます。そこそこな値段で、そこそこなボリュームでお腹が満たされれば機能として十分でした。
ヤフーさんの社員食堂に伺ったときも案内してくれた知人の社員に「この食堂で満足しているのか?」と訊ねたところ「満足」という答えが返ってきておおっ?と思いました。
次の瞬間に「おうちでごはんちゃんと食べてる?」と訊ねたところ、お家は子供がいてご主人が専業主夫でしっかりごはん食べている、と。
「社員食堂」は、社員が家庭でしっかりごはんが食べられる環境があるかないかという相対的ところで評価が変わります。
いくつか社員食堂を見させてもらいましたが、おおむね単身者比率が低い会社は社員食堂に不満がでないと思いました。ともなって、平均年齢が高い会社ほど不満は出ないです
平均年齢が低くて、単身者・共働き社員が多い会社は、家庭でカヴァーできない食事バランスを1日のトータルとしてフォローすることが現実には求められてきていて、これが社員食堂2.0と考えています。
4. 社員食堂2.0とはなにか?
ヤフーさんの社員食堂で食べたいな〜と思ったのは「栄養バランス定食」だったのです、が行ったときは売り切れていました。この内容を拝見したときにこれで本当にバランスとれる?と考えたんです。
一人暮らしの朝晩も外食の人にとっては一食「栄養バランス」取れてても正直焼け石に水だよな〜と。
これは、学校給食にも言えていて、給食も一日に必要な栄養素の3分の1を満たすことには責任を果たしています。が、現代においてはあとの3分の2がそれをカヴァーできてないのが現実です。
私が考える社員食堂2.0は、「ここでごはん食べればあとは何食べても平気!」というレベルに持っていくことです。イコールいままで家庭の食卓が果たしてきた機能を社員食堂で実現するという野望です。社員食堂のごはんさえ食べられれば、食生活に自身が持てる!というレベルにありたい。
5. 外食と栄養バランスとおやさい350
外食も中食もだいぶがんばってはいるもの、の。概ね動物性タンパク質、炭水化物、揚げ物(脂質)の美味しいもので満たされていますが、野菜が不足!
あっても、サラダ!みなさん「野菜が必要」と思って一生懸命サラダ食べてますが、それほんとに食べたいのかな?と考えるとほんとは違うんじゃないかと思っています。
唐揚げやハンバーグは100円〜200円あればおいしいのが手に入ります。一方で、野菜のお惣菜の相場はどれくらいか?というと弊社リサーチによりますと380円/100g です。ちょうシンプルなサラダで300円/100g 。
いつも話しているんですが、380円あったらのり弁買えるんですよね。そりゃのり弁買うよね!揚げ物買うよね!
栄養バランスの肝である野菜の確保の目安は350g/日 ですが、まあまあ外食してたら200gくらいとれれば立派なものという感じです。カゴメさんの調査によると働く人のおやさいの平均摂取量は220g/日でした。
ちなみに、野菜がしっかりとれると、自ずと炭水化物や動物性タンパク質への欲求は下がっていきます。イコール摂取カロリーが下がり、ビタミン・無機質がしっかり確保できるようになります。
6.社員食堂2.0=未来のふつうの社員食堂
というわけで、社員食堂2.0にあるといいのはたっぷりのおやさい料理です。しかもできればサラダじゃない!
このサラダじゃない野菜料理って何よ?!というところでご紹介しているのが単菜料理です。1つの野菜で1つのメニュー。
一般的に飲食店が野菜を扱わない理由の大きな理由が、日持ちがしない廃棄が出ることです。
おやさい350の単菜料理は、技なく簡単にめっちゃおいしいくて日持ちがするおやさい350環境を実現します。
さらにいうと、これ、どんな食文化・アレルギーの人とも同じものをいただけるユニバーサルデザインにもなっております。
というわけで、ヤフーの社員食堂のご担当者様、おやさい350料理で社員食堂の食栄養環境の整備をおすすめいたします。
7. 自分のちょうどいい栄養バランスを自分で見つける
ここからは宣伝。それぞれの自分に合ったふつうの食生活を見つけるための
個々の食生活と健康について言葉を紡ぐお食事つきのワークショップを月に2回開催しています。(10月は1回)
日頃身体が感じている「ちょうどいい」と「ちょうどよくない」を言葉にしてみる時間が「未来のふつう」=社員食堂2.0 のスタートです。ご参加お待ちしています。
<開催予定日>
10月26日(土)19:00〜21:30 @上野 ROUTE BOOKS
11月10日(日)11:30〜14:00 @上野 ROUTE BOOKS
11月23日(土)19:00〜21:30 @上野 ROUTE BOOKS
12月8日(日)11:30〜14:00 @上野 ROUTE BOOKS
12月21日(土)19:00〜21:30 @上野 ROUTE BOOKS
わたしたちの「食べる」の向こうにいろんな世界がつながっています。
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