水戸芸術館『ケアリング/マザーフッド:「母」から「他者」のケアを考える現代美術_遠足にっき
忘れるために書いておく。
はじめに
2023年5月6日(土)は『ケアリング/マザーフッド:「母」から「他者」のケアを考える現代美術』のために、初めての水戸芸術館へ。
いつもは1人で行くことが多いのだが、流石に今回は長旅だし同じ興味をもってくれそうな同じ大学院の小曲さんと水戸駅集合で行きました。水戸に行くのは40年近くぶりなくらい久しぶりです。片道3時間弱くらいかかるのでなかなか遠い!
展示『ケアリング/マザーフッド』への興味と感想
個人的に「ケア」に興味がありました
コロナ禍以降、家庭の主婦の自殺が増えたという話があります。京都大学の「”立ち止まって”考える」のYouTube配信が私にとってケアについて考えるきっかけでした。経済の再生の場である「家庭」が社会・経済の外側に置かれてしまっているという問題を提起されていました。いま知ったのですが、落合先生今年体退官されたことを今知りました。最終講義参加したかった。とてもお世話になりました。
栄養士という立場では「介入」という言葉が使われますが、これと自立との境目ってどこにあるのかな?というところです。よく言われる「自己責任」だけでは人の生は成り立たない、、けれど、介入には「やりすぎ」もある。どのあたりがちょうどいいの?
ケアは本来、する側とされる側の相互のエネルギー交換があると思っている。が、実際にはそれが非対称になっていることがある。たとえば、介護の現場での、双方での暴言などなど。よいバランスのケアってなんだろう??
全体的にはアート色が濃くて社会学的な課題提起やそれに応答する感じの展示ではなかったかなと思いました。テーマがテーマなだけに、もうすこし社会学的視点を踏まえた展示だったらよかったなというのは、個人的な要望です(あくまでも)。
ただ、一点。異色の展示が入り口の横にあったミエレル・レーダーマン・ユケレス《メンテナンスアートのためのマニュフェスト、1969!》よかった。タイプされたA4用紙2枚が貼り付けられており、単純に会場説明?!とすっかり見逃すところでした。
ここに、家庭のケアのことだけでなくアート作品においてもケア(運用、メンテナンス、ファシリティ等)があって初めて成り立っているんだよということが書かれていてこれは目から鱗!でした。
作品は生み出されても、いろんな人の手を経て作品たらしめるということを考えさせられました。これ、藤原達史の『分解の哲学』に通じるものを感じます。ケアさまざまな営みの中の再生と循環にあるのだというつながりが感じられたよいメッセージでした。
水戸芸術館は施設がすてき!
ここは、磯崎新アトリエが設計した芸術の複合施設です。現代美術ギャラリーだけでなく、劇場、コンサートホール、ライブラリー、パイプオルガンが配置されたエントランス、広場に象徴的な塔(タワー)と見どころが盛りだくさん。
ギャラリーは構造がおもしろくて、今回は、映像作品と展示作品の部屋が交互に配置されてカーテンをめくって次の展示へ移るという体験がよかったです。
展示室にいらっしゃる担当員さんはFAITHさんと呼ばれるそうで、来場者のサポート的位置付とされているという取り組みにちょっと心が熱くなりました。今回は展示に合わせていつもとは違った制服として、白シャツにすてきなエプロンをされていて、テーマカラーに沿ってデザインされたものだそうです。売っていたらほしかった。
展示室の途中に工作室があって、誰でも気軽に立ち寄れてなにか手を動かしてつくるという体験もうまく設計されていてこれも素敵でした。私も工作に参加して、ギャラリーの方々ともおしゃべりできてラッキー!でした。
会場内にあった布で作られた授乳室もすてき。
そして、水戸芸のシンボルであるタワー!
これ、てっきりただのシンボルだと思ったら「展望台」になっていて登れるんですね。この日は風が強くて揺れますよと言われましたが、エレベーターでのぼってきました。
外から見える円は窓になっていて外が見えます。このタワーあとで来たら、チタン製だそうで、こういう加工はかなり大変なのだけど磯崎さんが「どうしても」とめちゃくちゃこだわって開けた窓だそうです。
ランチはご近所のイタリアン
工作室で学芸員さんに教えてもらったお店へ。日曜日はお休みだそうですが、土曜日だったので入れました!
to_dining&daily goodthings
水戸芸に内蔵されたSAZAコーヒー
茨城といえばSAZAコーヒーのお膝元! まさか美術館にあるとは!ということで、休憩タイムはSAZAで一服。都内のSAZAだと焼き菓子はあるけど生菓子は珍しいので、これは頼まないわけには行きません。これショートケーキに見えますが、カステラでつくったサンドケーキ?!でした。コーヒーにあうおやつのセレクトはSAZAは絶品です。
おみやげは、水戸納豆
小曲さんに教えてもらったおすすめの、切り干し大根入りの納豆が絶品!でした。また食べたいー!切り干し大根の旨みと歯応えがたまりません。
あとひとつ、メイコーのなっとう味スナック。うまい棒の納豆味版みたいなものですが、個人的にはうまい棒より味が濃くなくて納豆感もあっておもしろお土産にもよかったです。
おまけ:常磐線急行切符はオンラインで
交通費もけっこうかかるなーと見てみたら、常磐線特急券はオンラインで買うとチケットレスで割引もしてもらえました。購買情報と、列車の座先のランプが連動しているシステムがちょっと胸アツでした。
https://www.eki-net.com/top/cp/ticketless/
お昼前に集合してまる1日、水戸芸術館を堪能する充実した1日でした。ありがとうございました。