「この魚はどこからきたの?」を問いかけよう〜映画「ゴースト・フリート」〜知られざるシーフード産業の闇
2022年6月5日、渋谷のシアター・イメージフォーラムへ
今回見たこと知ったことわかったことをA4一枚にグラレコしました。文章を読むのが面倒な方はこちらを眺めてくださいませ。
■食べ物とフェアトレード
かつて日本が米不足だった時に外国から米を緊急輸入してことがあります。当時は「外米」という言い方をしていて日本の米に比べたらおいしくない、、みたいなことを日本人は言っていたわけですが、、それによって輸出国に小さな飢餓が起こっていたということを最近知り衝撃を受けました。
みんな大好きな、チョコレートの原料であるカカオの収穫にも児童労働の問題が潜んでいます。
私の日常になくてはならないコーヒーもまた、原産地の児童労働や貧困の問題があります。
「この食品の向こう側で誰かが傷つけられていないか?誰かの不幸の上に成り立っていないか?」をいつも問いながらハラハラしながらごはんをいただている自分がいます。
■IUU漁業って何?
この映画で取り上げられているのはタイ王国、IUUという「違法・無報告(過小も含む)・無規制」漁業の問題です。このタイでのIUU漁業が国際的に問題になったきっかけを作った、LPN : Labour Protection Network (労働者権利推進ネットワーク)のパティマ・タンプチャヤクル女史の活動のドキュメンタリーです。(映画は2,018年に公開。撮影・制作に5年かかっているそうです。
タイ近海の資源は無秩序に乱獲されて枯渇して、遠洋に出るしかない。タイの漁師たちは遠洋に行くのを嫌い、水産会社は人手不足。それを、タイにいるミャンマーやビルマの移民(貧困層)の男を拉致しては800ドルで売買し、まさに奴隷として働かせているというのです。
さらわれた男たちは、気が付いたら船の上。しかも、この船は何年もずっと海上にあり、接岸しない。1日の睡眠は3−4時間、休んだりしようものなら暴力を振るわれ、寝ないために覚醒剤が与えられる。環境も劣悪で、手足を失うものも多く、命を落とすものもいる凄惨な状況の中でひたすら働かせ続けられます。
■国際問題のきっかけとなったLPNの活動
この映画の主人公である LPN(労働者権利推進ネットワーク)のパティマ・タンプチャヤクル女史らがIUU漁業への調査・対策活動によって2015年の3月から半年間で5000人以上の元漁船乗組員らを発見・救出し、それが報道されたことから、ヨーロッパ・アメリカで大きな問題として取り上げられました。
EUは、IUU対策をタイ政府に強く求め、国際社会もこの動きに呼応してEUは2015年、アメリカは2018年IUU漁業のスクリーニングのための輸入規制を設けるとともに、タイ国にたいして改善を強く求めるようになりました。
■日本のIUU漁業対策はまだこれから:私達にできること
現在、WWFが主体となってChanre.orgで署名を募っています。一人でも関心を向けてくれる人が増えるとよいなと思います。
WWF瀧本さんからのコメント
日本はタイにとって第二位の輸出国で、日本の輸入水産物の24-36%もIUU漁業に由来しているという報告があります。
(SEAFOOD LEGASY TIMES より)
私達が日常に口にしている魚にも、IUU漁業による魚が入ってきているのが現状で、まずはこれらに関心を向けていくことが大事ですね。
■映画のグラレコメモ
今回、分からないところも多かったので振り返りに1枚グラレコメモを書きました。
私達の「食べる」の向こう側にちょっと想像力を伸ばしてみるきっかけにしていただけたら幸いです。